キスする理由は俺には理解しがたい 第二章

第二章 俺と彼女の同居生活


 また俺は夢を見ていた。今度は彼女と別れているときの夢だった。
 俺は電車の中でみこと、という少女は電車の外、お互いに向き合って別れの・・・、最後の会話をしていた。
「昨日した約束、絶対忘れないでね。」
 彼女が元気そうにそう言った。 だが俺は、みこととの最後の会話なのに、なぜ、みことがそう元気に話すのか理解できず、
「うん・・・・・。」
 っと小声で、でもみことには聞こえるように、悲しみを込めて俺はみことに言った。 すると、
「・・・なんでそんなに悲しい声で言うの?別にもう会えないってわけじゃないでしょ?」
「・・・え・・?」
「だって、また会って・・・結婚するって、約束したでしょ?・・・もしかして、もう私と、もう、一生会いたくないの?」
 っと今度はみことが悲しい声で言った。それに、涙まで出していた。 それを見た瞬間俺は、みことが悲しんでる、何とかしなきゃっ、って気持ちになって、その気持ちがさっきの悲しい気持ちを上回って、悲しい気持ちが嘘のように消えていった。 それで、俺は慌てたように、
「い、いや、そんなことないよ。また、僕もみことに会いたいよ。うん。」
 と言うと、みことが手で涙を拭って、おどおどした感じで、
「・・・ホント・・・?」
 と聞いてきた。 それに俺は出来るだけみことを悲しませない程度の声で、それでも元気な声で、
「うん!」
 っと答えた。 その一言で安心したのか、みことが笑顔で、
「じゃあ、また会おうね!」
 と言った瞬間、電車が動きだした。
 電車がだんだん駅を離れるにつれ、俺はまた本当にみことに会えるのか不安になって、俺はだんだんは離れていく駅に向かって大声で、
「絶対―――、絶対、また会おうな、みこと!」
「うん!」
 絶対また会おうね―――。っというみことの声が、遠くなる駅から聞こえてきて、夢はそこでプツン。っと音をたてて途切れた・・・・・・・。

 ・・・・・・・?・・・なんだ?・・・身体が動かない・・・?。それに、なんだか微かな重みを感じる・・・。・・・そうか、これが世にいう「金縛り」ってやつか・・・。
 っと俺は、金縛り?にあったんだと思い冷静になっていると、顔だけが動いたので、うっすらと瞳を開けると・・・・。
 そこには、夢で見た”みこと”っと思しき人物がいた。
「・・・みこと・・・?」
「!!」
 っと俺が呟いた瞬間、その”みこと”と思しき人物が驚いたのか、すぐに、
「薫!思いだしたの!?」
 っと言ってきた。
 俺はその一言でそれが誰なのかだいたい分かった。だから、俺は冷静に、冷たい声で、
「・・・・・何してるんだ?”美琴”・・・?」
「・・あ・・・・。」
 っと焦ったように、俺の顔のすぐ近くに、"美琴の顔"があった。
「こ、これは――そ、その――、か、薫が寝てる間に、キ、キスでも、しようかと・・・。・・・・そ、それよりも薫!昔のこと、なんか思い出したの!?」
「・・・なんのことだ・・・?」
 ですよねー。っと美琴が言った瞬間、俺は今さっき見た夢の事が脳裏をよぎった。
「・・・昔?・・・まさか、な・・・。」
 そう小さく呟き、俺は頭を横に振り、今の考えを消した。
 そんことよりもまず、目の前にある美琴の顔がどうしても気になって俺は、
「その前に、顔を早く退けてくれないか?・・・・・って、ちょっと待て、今なんて言った?寝てる間にキス?なぜ!?」
 って言うと美琴が、
「なぜ?って、それは、寝てる間にキスした方が、恥ずかしさが薄れるじゃん。」
 なんでそんな事が分からないの?とでも言いたげなその口調に、
「さらってそれ言ってるが、お前みたいにすぐ顔が赤くなるような奴が恥ずかしくないって言っても、お前、キスすればしばらく俺の顔見れないんじゃないのか?」
「そ、そんなことないよ!・・・・・で、でもーー、薫がもう起きたのなら、恥ずかしいから、今はやめとくね!」
 そんなことを言った美琴は、俺の身体の上から退けるとき、とても焦りながら退けた。・・・・・いや、退けようとしたのだが、あまりの焦りで俺の脚に引っかかって、俺と美琴はそのままベットから転げ落ちた。
 ・・・・・・・・・・。
 ―――――――!!
(い、イッテー!。何考えてんだ!?美琴は・・・?・・・・・なんだ?なにか、みかんのような甘酸っぱい香りとなにかが俺の身体と唇にあたって――――。)
 っと俺は目を開け今の俺の状態を確認した。・・・が、その状態に俺はすぐ理解できなかった。
「な――なっ――!?」
 っと俺は言葉がすぐ出なかった。 いや、言葉が出せなかった。
「・・・・・・。」
 それは、今、美琴の豊満な胸や髪、唇が俺の身体の各部にぴったりと美琴の身体と同じところに密着してるからだ。 つまり、端的に言うなら、”キス”っしてるってことだ・・・・・。
 (っていうか美琴がさっきから黙ってるんだが、どうしたんだ?)
 っと思ってたら、急に美琴が俺の唇の中に舌をいれてきやがった。
「んっ・・・・ちゅぱっ、ちゅ・・・ちゅぱっ、ちゅ・・・・・。」
 ―――――!!
 (きゅ、急にどうしたんだ!?美琴は!!何かスイッチでも入ったのか!?・・・ヤバい、これはヤバい!!今すぐどうにかキスをやめないと!!)
 「っちょ、や、やめ、やめろ!!美琴!!目を覚ませって!!」
「・・・・・・!!」
 そう俺が大声で言ったら美琴が目を覚ましたのか、すぐに俺とのキスをやめて、俺の唇と重なっている唇を離した。
「わ、私、い、今何をして・・・・!?」
 「あ、あっ。」っと言葉にもならない声で美琴が言った後、すぐに大声で、
「きゃあああああああああああーーーーー!!!」
 その声を聞いた俺は、鼓膜が破れると思ったと同時に、 
「あ、朝から何でこんなことになるんだ・・・・・。 もう、なんて言っていいか・・・。・・・最悪だ・・・・・。」
 そう小さく呟き、朝から最悪な感情にひたりながら、朝をむかえるのだった・・・。

キスする理由は俺には理解しがたい 第二章

キスする理由は俺には理解しがたい 第二章

どこにでもいるような平々凡々男子高校生・一之瀬 薫は 一つだけ特別な事があった。 それは男や女、そこらへんの老人、動物からも結婚を求められるという体質をもっていることだ。 ところがある日、1人の女子高生が薫の通う高校に転校してきて、 「あなたの体質、直してあげましょうか?」 「・・・はい?」 っと言ってきた。 こうして、薫の体質を治す忙しい日常が始まったのだった。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-06-21

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