隣人

野良猫

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 家の近くを最近野良猫が歩いているのを目にする。四匹か、もしくはそれ以上。
一匹は家から大通りへの道にある、古い平屋建て民家の陰にいつも隠れている小さな猫。ときたま、すこし体の大きな猫と寄り添っている。二匹とも同じような茶毛である。といっても普通の茶毛猫よりかなり黒く、濡れた土の色に近い。きっと親子であろう。
二匹目は、いや、三匹目か。こいつには定位置はないが、家の周りを歩いている。近づこうとするとすぐ逃げるものだから、見た目はあまり覚えていない。たぶん白と黒のブチだったかもしれない。
 四匹目。こいつは一度しか見ていないが、何ともおかしな猫だ。
毛は白い。とはいえ泥やら何やらのせいで少し茶色い。目は黄色、顔が大きく何ともふてぶてしい。そして何より、尻尾に目がいく。
先が二つに割れて、歪に曲がっている。
たいていの猫は私に会うと逃げる。(私でなくても逃げるのだろうが。)だがこいつは平然と、私を無視した。ただ横を通り過ぎた。
尻尾を少し大きく振った。
こいつは私のお気に入りである。

 さてこれで四匹説明し終えた。だが私の記憶が正しければ、実はもう一匹いる。青目の白い、華奢な猫であるが、正直野良猫などはどうでもよい。
 ただ家の近所に、野良犬がいないことが救いである。

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  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-06-15

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