世界決戦 第二話

隼人と春也

―― last fightersアジト

「何故隼人を見逃した?」

ミズキ「…………私にはまだ情があるようです……」

「………気持ちは分かるよ。彼奴なら俺達を分かってくれると思ってたんだけどな……」

ミズキ「ワク先輩……」

ワク「…………彼奴が選んだ道だ。構わないよ。」

「そう思うなら次は僕が行って良いですか?」

ワク「春也……」

春也「さすがにこれ以上あの人を野放しにしてると、計画に支障が出ますからね」


春也「すみませんが、殺しに行かせて貰います」

ミズキ「けど春也先輩……」

春也「ミズキ。我々の目的を邪魔するようなら誰であっても叩き潰す必要があります」

春也「僕も疲れてるので動きたくは無かったんですが……」


春也「仕方ありませんね」ニヤ

グレーのパーカーをまとい、黒くて長い髪を後ろで結んだ、まだあどけなさが残る青年の笑顔からは、異様な不気味さを感じていた。


――アジト入り口

隼人「さすがに見張りが居るか……」

入り口付近には見張りが3人居て近づけ無かった。ここを通らないとアジトに入れない。

隼人「麻酔銃の出番か」 カチャ

三人の内一番右の兵士に照準を合わせる。

隼人「よし!!」

引き金を引くと針が兵士の首に刺さり、兵士は気絶した。

兵士A「何だ!?」

隼人「たぁぁぁ!!」ドガッ!!

茂みから勢い良く飛び出し、
強烈な飛び蹴りをくらわすと簡単に兵士は気絶した。案外弱いな……

兵士B「き、貴様!! 川谷隼人だな!?」 カチャ

隼人「そういうのは良いから寝てろ!!」ガン!!


手元を蹴り上げ、銃を
弾き飛ばす。

その瞬間に兵士の腕と胸ぐらを掴み、背負い投げで地面に叩きつける。

兵士B「がは!!」

隼人「バーカ」

ここに来てようやく本調子が出てきた。

そう思いながら 扉を開けると見覚えのある男が立っていた。

そう。 かつての俺の同級生にして親友の一人

春也「やっと来ましたか。待ちくたびれましたよ」

青井春也だった。

隼人「春也……か。口調も顔つきも変わったな」

春也「変わりましたよ。ですが一番変わったのはあなたでしょう」

隼人「俺は変わってないぜ。ただ変わったのは立場だけだ」

春也「それは同感です。 しかし甘いですね。 僕を目の前にして、麻酔銃を使っている…… 」

春也「それでこの僕に勝てるとでも思ってるのですか?」

隼人「……傲慢で陰険な性格は変わってないな」

春也「さて……無駄口を叩いてる暇は無いので」



春也「チャッチャと死んでください」チャキ

手に持っていた日本刀を抜くと 俺に向けて来る。本当に殺す気で来てやがる。

隼人「悪いが俺も死んでやる訳にはいかない!!」カチャ パン!!

麻酔銃を構え 一気に引き金を弾く

春也「やはり遅いですね」ブン!!

隼人「ちっ!!」

スウェーバックでかわし、
そのまま後ろに飛んでかわす。

隼人(動きが見えなかった……まぐれでかわせはしたが、次は無理だ……)


春也「このアクセルブーツは地面を蹴る力を増幅させて、脚力を強くする事が出来ます」

春也「脚力が強くなると言うことは速さが上がります。
そして当然ながら………」 ビュン!!

隼人「また消えた!?」

春也「蹴る時の威力も上がります」 ドガッ!!

隼人「ガハッ!!」 ガン!!

振り向き様にもろに蹴りをくらい、木に激突して 停止する。めちゃくちゃ痛ぇよ。

隼人「首が吹っ飛ぶかと思ったよ」ペッ

血の味がしたので 唾を吐くとやはり血が混じっていた。

春也「やはりその程度ですか」

隼人(たった一発で足にきてるな……)

春也「…………情けをかけてあげましょう。僕たちの仲間になる気はありませんか?」

隼人「……………無関係な人を巻き込んで、戦争が起きるなんて結末は……」





隼人「誰も望んじゃ居ねぇんだよ!!」 バン!!

麻酔銃を打つと同時に
走りだす。

春也「…………残念です」

弾をかわすと、刀を上段から降り下ろしてくる。かわせる状況では無かった。 だったら……

隼人「やぁぁぁぁ!!」 ドガッ!!

春也「ぐはっ!?」ズザザ

受ければ良いのさ。刀を銃で防ぎ、 春也の顔を殴る。 結構効いたらしく、後ろに下がる。

春也「……さすが隼人…… 僕では考えられないことをしますね……」

隼人「へっ!! 勝負はこれからだぜ!!」

春也「……勝負ですか…… そう考えてるのなら…… あなたは僕に勝てません」

隼人「抜かせ!!」

春也「これは戦争です」 ビュン


再び春也を見失った。
打開策は逃げ回るしかない。
だが俺はそれはしなかった。

それをしたら 全否定されそうな気がしたからだ。

隼人(見えないなら 地面を走る音で判断するしかない!!
そして音の方向からして
春也はこっちだ!!) バン!!

左に銃を構えて発砲すると
春也の肩に刺さったらしく
こんどははっきり姿が見えた。

春也「大した人ですね…… 僕の来る方向を音だけで判断するとは……」

隼人「そう褒めるなよ。にしてもお前まであのバカの理想に着いてくとはな……」

春也「仕方なかったんですよ…… ワクを信じなければ
他に何を信じれば良いのか分からないんですから……」

隼人「だからって こんな道を行く必要はないんじゃないか? final boxの爆発するきっかけなんて分かってないんだ」

隼人「お前達のしてることに意味があるのか?」


春也「意味ですか…… 別にそんなものは必要ないです。 ただ信じる物が他に無い。 ただそれだけです」

隼人「やっぱ口で言っても分かって貰えないか……」


隼人「ならぶん殴って なんとかしてやるよ!!」

春也「……… 黙れよ……」

春也「散々逃げてたくせに
今更なんとかするなんて、ふざけたこといってんじゃねぇよ!!!!!」

口調が変わった。 いや、元通りになった。

俺達が笑って過ごしてたあの頃のように。

こんなゲームみたいな今じゃなくて 楽しかったあの頃のように…… 少しだけど……確実に…… 戻ったんだ。


隼人「おおおおおお!!!」

春也「死ねぇぇぇぇ!!!!」

銃を投げ捨て殴りかかる俺と、刀で斬りかかる春也。 分が悪いのは元より承知。 けどやるしかない!!

隼人「もらった!!」

右足の蹴りで刀を弾き飛ばす。 さらに右足でこめかみに蹴りを叩き込む。

春也「ぐあ!!」 ドサッ!!」

地面に倒れこむ春也。


隼人「俺の勝ちだ」

春也「まだ……だ……」

春也「まだ負けるわけにはいかないんだ!!!!」

また立ち上がろうとする春也。こいつの眼を見てると
謝りたくなる。

あの時 こいつらを見捨てた事を。

隼人「春也…… もうやめにしよう」

春也「ふざけるなぁ!! ここまで来てやめることなんて許されるわけないんだ!!!」

隼人「俺が許す!!!」

春也「………はぁ……?」

隼人「世界が許さなくても 俺がお前らを許す!! だからもう一度俺を信じてくれ!!俺がお前らに今よりも正しい道を示すから!!」

春也「…… 本当……バカ野郎ですね……」

口調が落ち着いていく。
それでも少しは前に進めた。

春也「確かに…… そんなバカを信じるのも面白いかもしれませんね……」 フッ

少し笑って言ってきた。
その笑顔は昔のように穏やかな顔だった。

隼人「春也……」

春也「僕はもう一度貴方を信じましょう。 これを持っていってください…… 必ず役に立ちます」 スッ

渡されたのはidカード立った。

春也「このカードなら全ての扉は開きます。 それと……」

春也「シュガーには注意してください……」

隼人「シュガー?」

春也「この計画を練ったときに協力すると言ってきたアメリカ人です。 けど彼からは得体の知れない何かを感じます…… 十分きよつけて……」

隼人「おう。 色々ありがとうな。またあとで合流しようぜ」 タッタッタッ

春也「後は任せましたよ……隼人。 僕は少し眠ります……」 スースー

世界決戦 第二話

世界決戦 第二話

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-06-13

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