「現世」「クエスト」「きわどい主人公」ジャンルは「学園モノ」

「旅に出よう」
 そう思い立ったのはテスト期間真っ只中の時だった。もう嫌なのだ。分かりもしない数式の前で頭を抱えるなんて、もうこりごりだ。しかし突きつけられるのは悲しい現実ばかりである。財布をひっくり返しても明日のジュース代すら危うい金額の小銭しか出て来ず、今回のテスト結果次第で差し止めの危機に陥っている。周囲は冒険する余地のない開拓された住宅街。まったくもってこの世界はつまらないものだ。
 だったら仮想世界に探索しに行くかとパソコンの電源を付けてみるが、その入り口は塞がれていた。ケチンボ。
 そもそも考えてみれば外に出ることも光る監視の前では難しい。なんてこった、これじゃあ八方塞がりじゃあないか! もう僕にはこの目の前の敵と戦う事しか道が残っていないというのか。失意で目の前が真っ暗になりそうになる。
(……ん? 待てよ……?)
 目の前の敵……。そうだ……、僕は敵と戦う勇者なんだ! そうすると僕は用意をしなければならない、この敵を打ち倒す強力な武器を。それはどこにあるのだろう? その途端目の前から敵が消え、石畳の空間が広がった。そこは暗がりでよく見えない。早く歩くと何かあるか見落としそうだ。焦らず、ゆっくりと目を凝らしていく。
「おや……?」
 そうして歩を進めていくと木箱が見つかる。これはまさかと思い、それを開けると鋭い切っ先を持った短剣が。
「これだ……!」
 嬉々としてそれを掴むと空間が歪み、再び目の前に敵が現れた。そいつは不思議と怖くなく、むしろ手に持つ短剣を恐れているように見えた。
「そうか、こいつが怖いか……。悪いな、たっぷりと食らってもらおう!」
 くるりと手の中で短剣を一回転。一息に距離を詰め、そいつに銀色を食らわせてやる。聞こえてくる断末魔、間もなく溶けてなくなってしまった。
「なるほど、こういう探索も悪くないかもしれない」
 他にも強大な敵は目の前に立ちはだかっている。だけど、僕は屈しない。この旅が楽しいと感じてしまったから。

「現世」「クエスト」「きわどい主人公」ジャンルは「学園モノ」

「現世」はまあ普通に満たしてますよね。「クエスト」は探索や探求を意味してるそうで。「きわどい主人公」ってのが苦しかったですが、成績が際どいってことでどうか一つ。

「現世」「クエスト」「きわどい主人公」ジャンルは「学園モノ」

三題噺。「現世」「クエスト」「きわどい主人公」ジャンルは「学園モノ」

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-06-13

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