赫く網
赫
ちらちらと埃舞う
灰だらけの病んだ少女の伏せる
薄暗い湿った部屋に
差し込んだ新緑の光が
斜めに倒された銀色の網を
弾いて奏でた夏の初ゐ音
銀が火照り錆を溶かせば
ちりちりと紅い熱を発して
大気を焼いて渦を描いた
彼女の張り付いた瞼が思い出していた
幼い頃に母と森の奥で
ふたりで住んでいた小屋での
夕暮れの焚き火の香り
赫く網
ちらちらと埃舞う
灰だらけの病んだ少女の伏せる
薄暗い湿った部屋に
差し込んだ新緑の光が
斜めに倒された銀色の網を
弾いて奏でた夏の初ゐ音
銀が火照り錆を溶かせば
ちりちりと紅い熱を発して
大気を焼いて渦を描いた
彼女の張り付いた瞼が思い出していた
幼い頃に母と森の奥で
ふたりで住んでいた小屋での
夕暮れの焚き火の香り
赫く網