白い瞳と青い惨劇

乱文第二だーん(^o^)

今回は青の暗殺者の過去を語った話になります!
どうぞごゆるりと!

オリジナルストーリー七色birbante!の番外編

孤児園での生活は決して裕福なものではなかった。

ーこれは…記憶…?ー
白銀の瞳が見つめるままその風景は歩みを始めた。

"青藍ハウス"と書かれた看板を傾けた碧い建物はどこか古びた痕が残っている。

ー…孤児園…?ー

恐る恐る足を踏み入れていくとそこには何十人かの年端にばらつきのある子供達…。何人かは無邪気に遊び、何人かは何度も読まれた本を黙々と読んでいたりする。

ー誰の記憶…?ー

地面も床も区別の無いような土埃の舞うこの部屋を見回すと、そう広くは無い空間の隅の隅に、手入れもせずに伸びきった青い髪を耳にかけ、ただただ座っているだけの少年がいた。

ーあれは…ー

少年に少年より一回り大きい"ガキ大将"という言葉の合う男児が近付いて来た…。
「オイ、お前!トランプに混れ!人数が足りないんだよ!」
「…。」
「聞こえてねぇのか!?」
「…。」
少年は沈黙でしか返事をしなかった。
そんな態度に腹を立てたのかガキ大将は顔をみるみる赤くして少年のよれた服の胸倉を掴んだ。
「おちょくってんのかおま…」
「離せ。汚い。」
「!?」
やっと沈黙以外の返事をよこしたかと思えば、それはとんでもない罵詈雑言だった。
「何だとぉ…?」
ガキ大将は数秒前よりも顔を赤くして片手を握り締めた。
「離せって言ったんだよ。数増やしの為にてめぇらなんかと遊んで俺の何になるんだ。」
火に油を注ぐ如く悪態をつく少年により今にも殴り合いが勃発しそうな雰囲気に周りを凍てつかせた。
「コラ!二人共何やってるの!」
部屋の奥の方から大人の女性の声が通る。見た目は三十代前半といった所だ。

ー園長さんかな…?ー

「ハル君は手を離しなさい!」
「…でもっ」
「でもじゃない!」
「ぅ…」
"ハル"と呼ばれたガキ大将は物怖じするように手の力を緩めた。それを見ると女性はその先にいる少年に顔を向けた。
「あと…"綾君"も断るならもっと優しく断りなさい!」

ーっ!…これは綾さんの過去…!?ー

「知らないよ。んな事。」
少年…綾は冷たくあしらうと元の定位置らしい部屋の隅へと戻っていった。
『オイ、見たかよあの態度。』
『年上に対する言葉遣いじゃないよ…。』
『無理もねぇよ。あいつ産まれたての状態で園の前に捨てられてたらしいから…。』
『それにしても…』

ーやめて、やめて、やめて、やめて…ー
周りの子供達が吐くのは全てが少年の綾に対する陰口ばかりだった。
いくらなんでも仲間の悪口は聞きたいものではない。
人の話す信憑性の無い過去さえも耳障りだ…。

園長の声がまたもや鳴る。
「みんなぁ〜!おやつだよー!」園長の手によって配られるビスケットのようなおやつを片手に子供達は大はしゃぎして喜ぶ。一人を除いて。
綾はただチマチマとビスケットの端を齧って感情の無い顔で嚥下していた。
その時、職員の一人が困ったような声を出す。
「あら…?困ったな…牛乳切らしちゃった…。うーん…。」
職員は殻になった牛乳瓶を持ってふと目に入った綾にハッとした。
「ねぇねぇ、綾君!」
「…何。」
綾は顔を上げると興味無さげに応える。
「牛乳買ってきてくれないかな?皆の分が無くなっちゃったの…」
「先生が行けばいいじゃん…。」
「今は手が離せないの。」
「やだ。」
「行って。」
「やだ。」
「行って。」
「やだ。」
「いっ」
「やだ。」
「行ってよ。」
「嫌って言って…」
「行ってって言ってるでしょ?」
「…。」
青色の死んだような目は面倒そうに位置を上げ、手を差し出す。
「…牛乳の金。」
「!ありがとう。」
職員は満面の笑みを浮かせ牛乳代を手渡す。
綾はボロボロな綿のズボンのポケットに牛乳代を突っ込むとのそのそと園の門を出た。
見知らぬ黒いスーツの男が園の前を見つめていたが気にしない。
"仕事は絶対"だ。

『火事だ!水!水を持ってこい!』
『ダメだ!勢いが強すぎる!』
『役人は、役人はまだかー!?』
『酷ぇな…園の借金が理由か…。』
赤い紅い…炎が青い瞳を染める。
燃えている…。今日までの自分の家だったものが…。
どうやら園には多額の借金があったらしい。溜めて行く内にマフィアから返済を迫られるようになっていたようだ…。
「…。」
…今更どうすればいい…?自分だけが生き残って…何になる…?

ー!?ー

どうせ望まれなかった命だ。こういった運命なんだ。
細い足が炎につられて進んで行く…。

ー待っ…ー
伸ばした手は届かない。何度掴めど空を切った。

あと少し…あと少しで…終われる…。
「君、ここの園の子かな?」
「…。」
止められた。進んでた足はあと少しで火の粉に触れる距離で肩を掴まれて静止した。
「…誰。」
長身にサングラス、スーツ…明らかに当事者の裏社会の人間である…。
「質問で返されちゃったか…。うーん…。命令は皆殺しだったけど…モルモットが足りなかったからストックしないとなぁ…。」
よく分からない言葉の数々に綾は首を傾げていた。
「…?モルモッ…っ!?か…っは…!?」
話す余裕は残されなかった…。口を開いた瞬間に男の革靴の爪先が腹に抉り込んで来たのが分かった…。

白が揺らぐ。
意識の遠のく感覚に眉根を寄せる少年に何もする事が出来ない…。
ー…無力感…ー

目を覚ましたのは孤児園よりはるかに狭く、薄暗い所だった。横目に見て同じ年端の子供はいくらでもいるが不思議な事に園よりも殺風景だ…。
「…どこだ…ここ………痛ぅっ!?」
見慣れぬ光景を確認しようと起き上がると走った激痛に身体がその場で再び堕ちる。
「…痛っっ…」
「やっと起きたか。」
突然聞こえた声に顔を挙げるとそこには金髪の小さな少年が覗き込んでいた。
「…誰だ…お前…。」
「俺か?俺の名前は智則…トモノリだ。お前は?」
少年…トモノリは"狭い部屋に入れられている"という現状を感じさせない笑顔で答えた。
自分も何か答えねば… 。
「………綾…、リョウ…だ。」
「綾かぁ…うーん、何か名ばかりかっこよくてムカつくからアヤって呼ぶわ。」
「…は?」
何を言ってるのかわからないトモノリの言葉に首を傾げつつ、「何を話しても通じ合えそうに無い」と判断して、とりあえず話題を戻す事にした。
「ここはどこなん…
『うぁぁぁぁぁああぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっあ、かっ…ぐっぁあ!!!!!!!!!!』
「!?」
突如走った断末魔。
綾の声を遮ったそれは子供の声をしていた…。
「ここがどこかって?…そうか、お前は誘拐されて来たんだな。」
困ったような笑顔でトモノリは囁く。
「ここは、リモーネファミリーの人体実験室だ。」

ー人体実験…?ー

どうしよう。何も頭に入って来ない…。リモーネファミリー…?人体実験?何だそれ。何だよ…。何なんだよ…。
響く、犇く断末魔に横たわっている身体が震えた。
『次、…トモノリ…入れ。』
扉の向こうから落ち着いた大人の声が嗤う。
「うーい。」
トモノリは何でも無いような声を出して扉に手を掛け押し開ける…。
隙間から見えた世界は見た事も無いような器具に埋められ、床にはへばりついた血と転がる小さな肢体…。
希望なんて最初から持ち合わせていなかったが、初めて感じるには大き過ぎた絶望に目の前がハレーションした。

トモノリが入ってから何十分経っただろう。機械音はよく聞こえるが、叫び声は一瞬も聞こえて来なかった。
ガタンッと音を立て、扉が開かれた。
「っ!」
そこにいたのは身体中傷だらけのトモノリだった。
「オイ…何をされたんだ…?」
綾は壁にもたげたトモノリを前にした。
不安気な顔を目の前にトモノリは先刻のようにニッと笑って答えて見せた。
「どーにもこーにも、人間の子供が耐えきれるだけの電流の数値を出してたんだとさ〜、電ムチでも作るんじゃね?」
「…電ムチを…?」
「あれ?いうの忘れてたっけ?ここで行われる人体実験は新兵器を作る為の実験なんだ。」
「っ!?」
…それって…確実に…。
「死人は出るぞ。」
「…。」
凍てついた空気。そこに追い討ちをかけるように紡がれる言の葉。
「でもまぁ、死んだ方が楽なのかもしれない。」
トモノリの言霊には妙な深みがあった。
「ここで死ねなかった奴は死ぬまで兵器を作る為のオモチャとして扱われるんだ…。ある意味ここは地獄なんだと思う。」
「…。」
どうすればいいんだ…?先が見えない。あの時早くに炎と混じれば良かったのか?
『次、新入り…入れ。』
扉の奥から呼ばれる声がした。
さぁ、地獄の始まりだ。
冷や汗がつうっと通った。額が気持ち悪い。

私が見た彼の過去は酷いものだった…。

「ようこそ実験室(ラボ)へ。」
この言葉が綾の人生の中で一番の恐怖となる言葉だった。
縛り付けられた寝台は今まで何人の子供が死んだのだろうか…。鉄臭くて赤くて茶色っぽかった…。
ファミリーの科学者のような男は大雑把に蓄えた無精髭をザリザリとかきながら"肌の適性"だとかよく分からない事を言いながら見た事の無いナイフを取り出して、綾の左腕の皮を一部分だけ切り裂いた。
「ッー!?!?ぁ"っ!?」
声にならない悲鳴は滴る血液と迸る激痛にかき消される。
熱を持ち出した左腕に目もくれず、科学者は薬品につけた皮膚を見つめて怪し気な笑みを浮かべた。
「凄いね君…君の細胞はそこらの人間よりも回復ペースが早いみたいだ。」
何を言っているのか本気で分からないがこの状況がまずいという事はひしひしと伝わってきた…。
「君達、今すぐ"アレ"の実験する。」
男は後ろに控えていた何人かの部下達に"アレ"と頼みゴムの手袋をはめた。
「クククク…ちょぉーっと痛ぇけど我慢しろよ?」
科学者の右手には先刻綾の腕を剥いだナイフが躍っている。
部下達が"アレ"を持ってきたのを確認すると男は躍らせていたナイフの持ち方を変える。
「今から、CSN-AKの初実験を行う。」
CSN-AK…?聞いた事の無い何かに恐怖心は煽られるばかりだった。
部下の持ってきた"アレ"は明らかに機械だ。"アレ"とはそのCSN-AKの事らしい。
「腹部切開。」
「…っ!」
男は握り直したナイフを綾の腹部に晒して引いた。
「ぐぁ…っ!?やっ…あぁ!」
刃渡りの三倍はあるであろう穴を麻酔薬も使わず開けられても叫ぶしか許されなかった。
激しい出血にも目の色を変えず、部下達は機械についたチューブを穴へと抉り込ませていく。
中に入ってくる管の先には針が入っているようで、入れられる度に激痛に顔を歪ませるしかない。
「あぁあああぁぁぁあああぁあー…」
啼いていたから気付かなかったが足やら腕やらの何処かしらにも腹と同じ穴が開けられていたようだ…。
身体中に付けられたチューブには血と言う血がこびりついていて生々しい。

ー見てられない…っ、何でこんな目に…ー

「CSN-AK注入。」
冷たい声が響いた時、ヴー…という音と同時に管を巡る青く発光した液体が流れ込んできた。
「っ!?!!?!?」
訳の分からない大人達に訳の分からない薬を入れられ、訳の分からない実験をされている。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐いコワイ…!
ほぼ初めてと言っていい恐怖。
いつの間にか身体の力は抜け、意識もろとも堕ちていく…。

「…。」
目を開くと同じ床、壁、天井。
「大丈夫か?」
そしてトモノリ。
「生き…て、る…?」
自身の生存を俄かに信じ難くて呟いた。
「…あぁ、災難だったな。生き残ったからには地獄は続く…。」
「…。」
身体を見ると至る所に包帯がかけられており、すぐには動けそうもない。
それより気になる事がある。
「なぁ…さっきより人数減ってないか…?」
初めて目覚めた時よりも五、六人いない気がする。
トモノリの顔が一瞬色を失った…。
「…三人は舌を噛み切った…。二人は今…」
『おぁっあがっぁあああ!!ゔぁっあああああ!!!』
デジャヴのような断末魔…聞いてない聞こえない聞かな…!
「先に逝った三人は賢明だったかもな…。」
「…。」
「 」
トモノリの口から"お前も逝くか?"と聞かれていたようだが、如何せん断末魔で聞こえそうにもない。

地獄の日々は続いた…。
牢とも言える子供達の部屋は日を重ねるごとに人数が減っていく…。
脱獄を試みて殺される奴、飢えて死ぬ奴に出血死、自殺と様々な死因だ。
綾とトモノリはその中をただただ生きていた。
注がれる薬の量は日に日に増していき、電流の大きさもかなりの所まで来ていた…。
生きてる意味って何だろう?
分からない…答えの無い問題に答えを求めている自分がもう分からない。
十五日位経った頃にはもう牢は二人の貸し切り状態へと変わっていた。
相変わらずトモノリは悲鳴を上げたりはしていなかった。…ただ、今日は何か違った…。
『トモノリ。』
いつものように呼ばれ、いつものようにドアノブに手をかけて実験室へと歩く…。
ここまではいつもとおなじだ。
ドアの向こうからは大人達の話し声が聞こえる。皮肉な事に部屋が静かなお陰で向こうの部屋の音はこれでもかと言うように聞こえる。
『数値を一気に上げろ。』
その冷徹な声が聞こえた時だ…。
『 』
「っ…!?」
聞こえた…。トモノリの声で間違いは無い。
一瞬だけの悲鳴だった。
恐る恐るドアノブに手をかけて部屋を覗く…。
そこにいたのは口端から涙と唾液が少量にも混じった泡を垂らすトモノリと何が嬉しいのか口角を上げた科学者達だった。
大方今まで無反応を決め込んでいたトモノリが反応したのが嬉しくて堪らないようだ。
この時綾は頭の中が真っ白になった…。

ー!?何で中に入っ…!?ー

「ああああぁぁあああぁああー!!!!」
手に取るは科学者の持っていたあのナイフ…。
『何だお前!?』
『お前達気を付けろ!"アレ"が注入されたガキだ!』
『貴重なサンプルだ!捕らえろ!』
刺して裂いて切って斬ってー…!
自分でもびっくりする程の力が出た。
筋肉の付いていないこんな貧相な身体からここまでの力が出ていいのだろうか分からない…。
分かるのは自分が今、人を殺めているという変えようの無い事実だ。
自分の奇声と大人達の断末魔。
トモノリの目にはどう映っていたのかな?

血。
今この場所を埋めるものは機械でも悲鳴でも断末魔でもない。
血である。
贓物の飛び散るこの部屋に二つの生命が残っていた。
「トモノリ…生きてるか…?」
つぶやくような綾の声に耳が震えた。
「…誰に聞いてんだ?アヤ。」
「…良かった…。」
「良かったじゃねぇよ!」
「!」
血相を変えたトモノリが寝台から飛び起きるようにして綾に掴みかかった。
「もうすぐ楽になれると思ってたのに…何でお前が手を汚す必要があった!?」
「…。」
「感謝してもらえるとでも思っていたのか!?大バカだよお前は!」
震えた手が胸に伝わりそこに生命がある事を再認識させられる…。
「…大バカでいい。」
「!?」
「大バカでいいから逃げないで生きてきた奴には生きてて欲しかった…。」
何でこんな事を言っているのだろう…自分は…。これではただのエゴイストではないか。
変な事を言っているのは重々承知の上だ…。ただ、これだけは言いたかったんだと思う。
「あとさ、トモノリ、俺…思ったんだ…。」
「…?」
一瞬目が塞ぎそうになったが、それでも口はしっかりと働いた。
「ここまで生きたんだ、俺達は強くならなきゃいけない…。弱者には死…そんな世界を壊す力が欲しい…!」
トモノリは驚いたような顔をした…。しかし、少し考えてから口角を少しだけ上げた…。
「へっ、何だよそれ…結局強者になろうとしてるだけじゃねぇか…。」
「…。」
「でも…。」
トモノリは先刻の力より緩めに綾の両手を握った。
「おもしれぇ、強くなろうじゃねぇか!」
今まで見た中の一番の心からの笑顔だった。
「ただし、次会った時、俺等はライバルだ。二人一緒に鍛えたってたかが知れてるからな。」
「…そうだな…次あった時は手合わせでもしよう…。」
「約束だ。」
柄にも無く指切りを交わした後は知らない。

特別戦闘員教育育成学校…裏門で校長は落ち葉集めをしていた…。
「?」
「…ハァ…ハァ…ッ…ぐ…」
不思議だ。先刻から喘息の声が近づいて来ている。
「なぁ…あんたが…っ、ここの、校長…か?」
振り向くとそこには青い髪を不恰好に伸ばした六歳前後の少年が満身創痍な格好で立っていた…。」
「俺を…、俺をこの学校に入れてください!」

ーコレハキヲクー

「あ…ら…?」
白い瞳が開かれる…。どうやら今まで眠っていたようだ。
「おはようございます。」
「うひゃ!?」
突然聞こえた少し高めな男声にわかなは小さな悲鳴を上げた。
「…え?何か…すみませんでした…。」
気を負ったのか声の主、青い忍装束を見にした暗殺者…綾はその場を去ろうとした…。
「わぁぁあ!違う!ごめん!びっくりしただけ!驚いただけだからぁあああ!」
焦って飛び起きると綾の顔が困り顔へと変わった。
「ちょ、ダメですよ起き上がったら!また倒れたりしたら大変ですよ!?」
「へ…?」
話を聞いた所、わかなは数時間前の戦闘のサポートで能力を使い、倒れたらしい。そこに丁度別行動で敗戦した綾が休んでいたという事だ…。
「夢でも見ていたのですか?」
「っ!え…?な、何で?」
肝が冷える。寝言か何かで過去に触れる事でも言ってしまったのだろうか…。
「いえ、軽くうなされていたのでね…。」
その答えを聞いて少しばかりか安心した表情を見せてしまった。まぁ、気付いても綾はこう言った事には突っ込まないはずだ。
内心で勝手な構想を繰り広げていたものの、よく見ると至る所に包帯のかけてある青年は困ったような笑みを見せていた。
とても五、六歳で大人を何人も殺したり、十七歳にして何人もの標的を殺して来た人間とはかけ離れた笑顔をしている。
「まぁ、ちょっとね…。それより敗戦したって聞いたけど…大丈夫?」
「…それはもう…はらわた煮え繰り返る程悔しいですよ?」
「変な所でプライド高いものね〜。」
面食らった顔をした綾だったがすぐにいつもの顔に戻って言った。
「でも…約束しちゃったんですよ。」
「…?何を…?」
「次に会う時はライバル…。」
そう言って立ち上がって扉に手をかけた…。
「次にあったら強くなって戦うんだって…。」
扉が開かれて少量の光が差す。
「だから…」

『次こそ勝ちますよ…。』

何故だろう…あの子と重なった。

白い瞳と青い惨劇

読んでくださりありがとうございました!
眠たながら書いたので誤字が気になります;指摘されたい…;

白い瞳と青い惨劇

オリジナルストーリー、七色birbante!の青の暗殺者過去話編

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • アクション
  • 時代・歴史
  • 青年向け
更新日
登録日
2013-06-11

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted