白い砂浜と青い空
紅桜篇と一国傾城篇のネタバレ少々あります。
白い砂浜に着地することに成功したが、すっかり疲れ切った二人はそのままごろんと横になっていた。
雨は上がり、白い雲がゆったりと空に浮かび、太陽が燦々と輝いていた。
その遙か遠くに宇宙船がかろうじて確認できた。そして「紅桜」を載せた戦艦は海に落ちていくのまじまじと見えていた。
「用意周到なのはいいがなんでパラシュートはエリザベスなんだよ」
沈黙を割ったのは銀時の方だった。
「何分、隠密に行動してたものでな。これしかなかったんだ」
「いや、バカだろ。おまえ、頭のねじ何本かとれてるだろ。ドラえもんみたいに」
「大切な先生の教科書捨てたやつにいわれたくないぞ」
間。銀時はあたまをかいた。
「いやね、おれだってがんばったんだよ。でもさすがに味噌ラーメンはなぁ・・・。服は洗濯できるけど紙はなぁ・・・。まぁジャンプ読みながらラーメンすすってたからわりーんだけどよ」
「貴様、そんな行儀悪いことしてたんですか、そんなんだからいつまでも頭がパー子なのよ」
「なんで途中で口調変わるんだよ・・・。だいたい高杉もおまえも典型的なバカなロマンチストなんだよ。いつまでもいつまでも懐にいれとくなんざー。最初の失恋乗り越えられない小学生のガキだろ」
こればかりは反論できないのか桂のほうが黙ってしまった。
潮騒の音が聞こえる。
とてもおだやかな音で、季節が夏ならば海に向かって駆け出したくなるような海だった。
しかし季節は春である。
「最初の失恋が簡単に忘れないバカどもだから未だにこんなこと(攘夷活動)してるんだろうが、貴様はどうなんだ」
「あぁ、俺か?そうさねぇ・・・」
思い出すのは最後の夜。
赤々と燃える寺子屋。
非力な自分に先生が託した約束。
・・・なあに、すぐ戻ってきますから。それまで、仲間を。みんなを守ってあげてくださいね・・・。約束ですよ・・・。
「恋の味を知っちゃったから、また次の恋でも探そうかなってそんなかんじ?みたいな?」
「あほか・・・」
遠くで自分たちを呼ぶ声がする。
あの人が居ない世界だけど、この世界もまたあの頃と変わらない大切なものがある世界が広がっていた。
白い砂浜と青い空