ずんあし Pro. 1/13

「時を止める事ができる。」
何を突然と言われてしまっても仕方ない。
順を追って話す事にしよう。


俺は東京にあるA高校に入学した。
入学理由はなんとなく。
別に今の時代、てきとーな高校行って
てきとーな大学行って、てきとーに仕事して…。
そんな風になんだかんだで
俺の人生は順調に進んでいくだろうと思っていた。
なぜなら、俺は運がいいからな。

そんなノーマルな俺をアブノーマルにしたのは、
冬休みも一週間前のある休み時間だった。
クラスメイト達がいつものようにくだらない話をしている。
流行の曲、新しいドラマ、話題の芸能ニュース…
興味の無い話というのは、一種の拷問だ。
一瞬でいいから俺に静寂をくれと願った。

次の瞬間、音や色は消え、クラスメイト達は動きを止めた。
一秒たらずの出来事だった。
俺の力だ。俺には時を止める力があるんだ。
その力が今、目覚めてしまったのかもしれない。

「俺は時を止めることが出来る。」

…なんてあるわけないか。
ジョジョの読みすぎで「ザ・ワールド」を
使える気になってしまったのかもしれない。
高1にもなって空想と現実が入り混じるとは
我ながら笑ってしまう。
でも、本当に時を止める事が出来るなら
このくだらない世界中の時を止めて
空を眺めたい。風景画を眺めるかのように。
そんな事を想い耽っていても、
さっきのように時は止まらなかった。


そう、時は動き続ける。それが普通だ。
でも、今振り返ってみれば
あの瞬間たしかに「時は止まっていた」。
新たに動き出した時間。
そこから俺の物語も始まったんだ…

ずんあし Pro. 1/13

ずんあし Pro. 1/13

時を止めることができる。 止まった時間の先に答えはあるのだろうか。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-07-29

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