生首の話

生首の話

自分の体験に関係する。


子供の時、寝室に置いてあるサイドボードの中に、
家族や親類の旅行でもらった土産物を並べていた。
ある日の未明、その土産物の一つを見ていた。
しばらく見つめていたそれは、人形の首だった。
いや、青い肌の男の生首だった。
「あんな物なかったはず」と思ったその時、
金縛りにかかっていた。
私はそういう存在よりも金縛りのほうが怖くて、
金縛りを解こうと必死だった。
さいわい自力で解けたが、
あったはずの場所にそれは無く、
似ている物さえ置かれてなかった。


ある日、寝ている時に金縛りになっていた。
そういう時に目を開けていると不気味な物が
見えたりするので目を閉じていた。
しかし、目を閉じた視界の真ん中に
不気味な男の顔が浮かんできた。
現実に見たことない知らない人だった。
しかも、その顔は苦しんでいる表情のまま
ケタケタというか奇妙な笑い声を出した。


ある日、変な夢を見た。
用事があって、目的地に行くのに
人も車も多い大通りを避けて裏道を通っていた。
だんだん草木がうっそうと茂ってきて通り難くなってきた。
途中から大通りに移動しようか悩んだ時、
服が破けたような布があちこち散乱していて、
散り散りに木の枝にひっかかっていた。
次の瞬間、見てはいけない物を感じて目をそらした。
しかし、確認してみようと少しずつそれに視線を移すと、
枝に突き刺さった生首であることに気付いてしまった。
実際に見たのは鼻から下だけだったが、
目から上半分を見る勇気はなく、
恐怖を感じて元来た道を引き返した。
草木が茂っていない場所まで戻った時初めて
警察に通報すべきか考える余裕を持った。
しかし、そのためには正確な場所や状況を確認する必要があると思い、
再び見に行かねばならないと思ってその場所に戻ろうとすると、
男が一人立ちはだかっていて、ここから先は通行料を払えと言った。
(忘れたので中略)
なぜかその裏道で結婚式の行列に出会った。
その行列の一人がなぜか私にこう言った。
「ここから男の生首が見えるのですよ」と。


昼飯の時間が近づくと三人の争いが始まる。
一、「今日は近所の定食屋だ」
二、「いや、弁当にする」
三、「昼くらい自分で作れ」
一、「定食がいちばん美味しい」
二、「弁当がいちばん気楽」
三、「自分で作るのがいちばん健康」
一、「弁当はゴミが出る、自分で作っても出る」
二、「店では行儀良くしないといけない、自分で作るのも大変」
三、「店も弁当も健康に悪い!」
実は一個の肉体を共有する三人は、言い争いながら外へ出た。
そして、近所の定食屋に入った。
今まで何度も入ったことがあるのに、
今まで見なかった、変な物が置いてあった。
気付かなかっただけだろうか、いやそんなことない。
どう見ても生首だ、確かに生首だ。
顔で歳や性別がわかるというのは間違いだけど、
中年男性のように見える。
さいわいと言うのも何だが、目を閉じている。
しかし、飯を食い終わって再び見た時、
目が開いていたら怖い。彼と目が合ってしまったら、
おそらく、私は彼と何かを交換するだろう。
たとえば記憶とか、魂を。
しかし、他の人はそれが見えないのだろうか。
絶対にあってはならない物を見た時、
人は心の底から無視してしまうか、
無視できなければ自分の中に、
耐えられる別人を作って記憶を背負わせて
主人格は結局、無視するらしい。
私の場合、その生首は「絶対にあってはならない」
というものではないらしいから見えるのか。

飯を食い終わった後すぐに生首の方を再び見た。
再び見た時に消えていたら怪談になるのだろうけど、
それは今度は目を開けた状態でそこにあった。
確か、最初はお互い視線が合ってなかった。
そのせいで恐怖感もあまり強くなかったのが、
いつの間にかこちらに視線を合わせてきた。
ついに互いの目が合ってしまった時、
確かに何かが変わったのを感じた。
その時から私は三人から四人に増えた。

昼前、四人はいつものように争いを始めた。
一、「外食」
二、「弁当」
三、「自炊」
四、「断食」

生首の話

今まで書いた中から生首だけ集めた。後々空想で追加するかもしれない。

生首の話

いろんな生首の話。

  • 小説
  • 掌編
  • ホラー
  • 青年向け
更新日
登録日
2013-06-07

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