拝啓 大切な貴方へ1
手紙風の物語です。 良かったら読んで下さい。
拝啓 だいっきらいな先輩へ
だいっきらいな先輩へ
これを見ているということは 卒業式は終わったようですね?
卒業おめでとうございます。高校へ行っても頑張って下さい。
この手紙をこっそり先輩の机に入れて置いたのは 中学校最後の先輩にどうしても言いたいことがあるからです。
先輩が私に関わってくる理由が今一わかりませんでした。
もちろん 今も不明です。
先輩のせいで 私の静かに過ごしていたお昼休みは騒がしくなりました。でも 感謝してるんですよ?恥ずかしくてなかなか口にはしませんでしたが 誰かと少しの時間でも共有することがどれほど楽しいことか理解することが出来ました。
ありがとうございます。
もう一つ言いたいことがあるんです。
私は先輩が"だいっきらい"でした。いつも人の邪魔をしてきて大切な時間を奪っていく先輩は"だいっきらい"でした。
でも 先輩のおかけで大切なものに気付くことが出来ました。
今では先輩が…
屋上の扉を開ける音がした。
「来るの早いですよ?時雨先輩」
手紙を机の中に入れて5分も経ってない
「読みながら 探したからね…」
「よく わかりましたね? 私の居場所?」
「俺 栞のこと図書室か屋上でしか見たことないから」
「そうでしたか?」
私と会話をしながらドンドン時雨先輩が私に近付いてきた。
すると 時雨先輩は私の腕を引っ張り抱き締めた。
「なんで卒業式にこんな可愛いことしてくれるの?」
「先輩? 意味不明です」
「卒業したくないなぁ…」
「いくらボヤいても現実は変わりませんよ?」
私はそっと先輩を抱き締め返した。
「ほんとなんで今日なの?」
「卒業式だからですかね?」
「困った後輩を持ったものだよ」
「それは大変迷惑をお掛けしましたね」
「ほんと困ってる。 俺もずっと"好き"だった」
"だいっきらい"じゃなくて
「私は"大好き"ですよ?時雨先輩?」
拝啓 笑顔な先輩へ
笑顔な先輩へ
卒業おめでとうございます。
卒業する先輩になんて言えばいいか 今一わかりません。
すみません。
だから 俺の言いたいことだけ言いたいと思います。
先輩は気づいてましたか?
俺が演劇部に入った理由。知らないと嬉しいんですけど…
俺は少しでも先輩と一緒に居たくて 近付きたくて演劇部に入ったんです。
動機が不純だって 思われますよね?
でも 入ってみてすごく楽しくて演劇部に入って良かったと思えました。
全部先輩のおかげです。
とても感謝してます。
最後に俺は先輩が…
部室のドアが開いた。
「やっぱり ここにいた…」
急いで来てくれたのか 制服が大分乱れている。
「制服が大変なことになってますよ?」
「別に大丈夫… それよりこれ!」
先輩は手紙を俺に見せた。
「この手紙を見て 俺に気持ち悪いといいにでもきましたか?」
「違う!」
「それか どんだけ不純な動機なんだよ!ですか?」
「違う!」
「私のおかげなんだから 感謝しなさい!ですか?」
「それはちょっと思った。けど… 違う…」
「じゃあ 何ですか?」
先輩の様子が少しおかしい。原因はきっと…
「わかってるくせに… 意地悪…///」
剥れる先輩も可愛い
「知りません。先輩の口で言ってくれないとわかりません。」
「馬鹿…私も紘が"好き"…」
「俺も先輩が"好き"です」
拝啓 ツンデレな君へ
ツンデレな君へ
この表現を使うと君は怒るよね? 多分今も手紙握り潰そうとしてると思うよ。
捨てるのは読んでからにしてね?
僕は 大会が終わってしまえば受験生まっしぐらだ。
だから 悔いのないように 受験生になる前に君に話したいことがあるんだ。
今も 受験生だけどね?(笑)
おおっと きっと今君は舌打ちをしたね?
なんとなく わかるよ…(苦笑)
頼むから 普通に手紙を読んでくれ。
君が 陸上部に入ってきたときはとてもビックリした。
だって君は バスケでとても有望視されていたからね?
でも 理由を聞いて納得した。 君にとってはとても辛いことだと思うし 悔しかったと思う。
でも 君が一生懸命陸上に取り組む姿を見て 頑張っているのがよくわかった。 まぁ 皆に馬鹿にされたくなかっていうのが理由だと思うけどね。(笑)
そんな君を見て 陸上部全体で技術が向上した。
ありがとう。口で言うと君 怒るからさ? せめてで手紙で…
それから 君に言いたいことが一つ!
僕は君が…
携帯の着信音が鳴った。
勿論 相手は…
「もしもし?」
「何 趣味の悪い手紙を人の鞄に勝手に入れてるんですか?」
「ははっ! やっぱり掛かってくると思った!」
「ストーカーですか?貴方は?」
「もっと可愛い反応してほしいなぁ? 『先輩からの手紙を見てドキドキしました』とか『嬉しくてドキドキしてます』とか?」
「気持ち悪くて 吐き気がしました」
「うーん… ちょっと切ない…」
「どうでもいいんですよ!なんかこの手紙…」
「別れの"挨拶"みたいだった?」
「笑って言わないでくださいよ…」
君の声が震えて 低くなった。
「嬉しいなぁ… 僕のために泣いてくれるんだ?」
「なっ!泣いて…ないですよ…」
「そのわりには声が震えてるけど?」
「うるさい…です… なんで… こんなこと…する…んですか?」
弱々しい君の声は とてもいとおしかった。
「君の心を独り占めしたかったから?かな?」
「ほんと…迷惑ですよ…」
「あらら。もしかして嫌われてる?」
「元からだいっきらいです。 嫌みばっか言ってくるし からかってくるし 意味わかんない行動ばっかとるし 辛いときはそばに居てくれるし なんだかんだ助けてくれるし なんで…」
プツッと 電話が切れた。
ふと後ろを振り向くと…
「先輩を"好き"になっちゃったんでしょうか?」
泣きながらそういう君を見つけたんだ。
俺は君に近付きながら
「よくこの場所わかったね?」
「電話の向こうから 河原の音が聞こえてたんです」
「ほんとに困っちゃうな…」
「キャッ!」
僕は君の手を引っ張り 抱き締めた。
「僕は君が"好き"だ。」
拝啓 無口な貴方へ
無口な貴方へ
貴方はこの手紙を読んでどう思うのかな?
第一 最後まで読んでくれるかな?
読んでくれると嬉しいです。
貴方はさりげなく何でもフォローしてくれましたね? いつも感謝してます。
だから私は 生徒会長として堂々としていられます。
貴方は 嫌々引き受けてくれたけど 貴方が居てくれるからこそ生徒会は成り立っているので やめないで下さい!!!
お願いします!
それに貴方は皆に人気があるし 優しいから次期生徒会長は貴方がなると思うのでやめられないと思いますけどね?(黒笑)
感謝してもしきれないくらいに 助けてもらっちゃってますね?
貴方は私より何でも出来ちゃうから 私はどうしていいかわかりません。
だから 私に出来ることがあったら言って下さい!
最後に…
生徒会室の扉が慌ただしく開いた。
「やっぱり ここにいたんですね…」
「仕事残ってたからね」
「この手紙…」
「あら? ラブレター?」
「誤魔化さないで下さい!!!」
貴方は怒鳴り 私の前に立った。
「これを書いたのは貴方ですよね?」
「なぜ そう言い切れるの? 私の字に似た人だって」
「俺が貴方の字を間違えるわけないじゃないですか!!!」
「いつもは無口なのに 今日はよく喋るのね?」
「貴方がこんな手紙書くからですよ…」
手紙をグシャッと握り潰して しゃがみこんだ。
「貴方らしくないじゃない。いつもなら堂々としてるのに」
「これが本来の俺ですよ。ていうかなんなんですか?そのキャラ?気持ち悪い」
「失礼しちゃう! ちょっと頑張っておねぇさん風にがんばってたのに!!!」
「ったく… 俺 を殺す気ですか?貴方は?」
「そんなつもりないもん!」
「心臓に悪い… 俺は先輩が"好き"です。」
私は顔が真っ赤になった。
「先輩は?」
「"大好き"だ。 バーカ…///」
拝啓 真面目な君へ
真面目な君へ
今もきっと勉強してるのかな? ごめんね?邪魔しちゃって?
でも ちゃんと読んでくれると嬉しいです。
いつも勉強している君は 周りのことがとても疎かでほっとけなくていつも心配しています。
ご飯だって サプリメントとかだし… ちゃんと食べろよ!!!
じゃなくて 君が演劇部入ってくれた時は ビックリした。
前から興味あったみたいだし 演技上手いから演劇部の刺激にもなった。ありがとう。
期待の新人!とかいって 注目されてるみたいだし。
台本も書いてくれるし助かってる。ぜひ 恋愛ものもみたいというご要望もあるから 書いて下さいお願いします。
馬鹿な俺に勉強教えてくれて ありがとう。
俺の方が上なのにな… なんかお礼したいから考えといて?
それと 真面目で鈍感で頑張り屋で天然でぶっきらぼうで不器用で自分で何でもやろうとする馬鹿な君が俺は…
教室の扉の開く音がした。
「死ねばいいと思いますよ?先輩」
怒りに満ちた君が立っていた。
「わーお! 俺いいこと書いてなかった?」
「何も書いてませんでした」
「えぇー? 嘘だぁー」
「キモい うざい 気色悪い この世から消えればいいのに」
「一応俺 先輩…だよね?」
「すみません。つい… 本音がポロっと…」
「さっきのが 本音なのね…」
「ていうか… いつのまに私の台本の間に手紙入れたんですか?」
「え? 偶然?」
「キモッ!ストーカーじゃん!とは 思ってないんで 安心して下さい」
「全然安心出来ないよ…」
俺はため息をつき 君にこういった。
「"劇"の練習をしよう!」
「え?」
「台本32ページから」
「絶対負けませんから」
生き生きと宣言されたので
「いいねぇー」
受けてやるよその勝負!!!
『さぁ?行きましょうか?』
ここで王子は姫の手を取るのだが
『"凜"姫? 少しお伺いしたいことが』
『何かしら?』
ここだ
「俺は お前が"好き"だ」
拝啓 真面目な貴方へ
真面目な貴方へ
最後だから 手紙で言いたいことがあるんです。
いつもありがとうございました。
貴方と一緒に過ごした少しの時間は私にとってとても大切な時間でした。
いつも 人のことを小馬鹿にする貴方 いざというとき助けてくれる貴方 年下のくせに頼りになる貴方。
たくさん たくさん 貴方のことを知れた気がします。
字… 滲んじゃっててごめんなさい。
涙… 止まんないや…
ごめんなさい。 見えないかもね?
私の書く言葉なんて お見通しでしょ?
だから 最後に…
体育館の扉の開く音が響いた。
「何… 泣いてるんですか?」
低くて綺麗な声が 体育館中に広がる。
「卒業… 式… だもん… 泣いたって…いいでしょ?」
「式の最中もずっと泣いてたじゃないですか?」
全部 お見通しか…
「ただ…卒業したんだなぁー…って 思ったら…涙出てきた…」
「泣き虫なんですね?」
スッとハンカチを出してくれる貴方
「ありがと… そのっ… てっ…手紙…」
「読みましたよ? 先輩からの手紙…」
私の顔は今きっと…
「真っ赤ですよ?顔?」
意地悪く微笑む貴方 そんな貴方にキュンっとする私はおかしいのかな?
「だっ!誰のせいよ…///」
「先輩のせいです」
「なっ!!!」
「先輩があんな可愛いことをしてくれるから悪いんですよ?」
「ん?どういう…キャッ!!!」
貴方は私の腕を自分の方へ引き寄せ 抱き締めた。
「俺は 真面目キャラで通すつもりだったんですけど 必要なかったみたいですね?」
「耳元で言わないで…///」
「先輩 "好き"です」
「わっ!…私も… 好きぃ…///」
拝啓 わからず屋の君へ
わからず屋の君へ
クラス離れてから 全然話せなくなったな?
ちょっと 寂しいよ(笑)
小さいときからずっと一緒にいたから 少しは寂しがってくれてるかなぁ?っと思ったけど お前は平然としてるから少しイラッとした。
部活も一緒だし 帰る時も一緒だから対して変わらないけど俺はもう必要ないよなって 実感したよ(笑)
だから お前が俺から離れる前に…
俺は小さいときからずっと お前が…
階段を駆け上がる音がした。
物凄い勢いで俺の部屋の扉が開かれた。
「意味わかんないよ!!!」
「第一声が それかよ…www」
ぎゅっと手紙を握り締めるお前を見て
「ごめん… お前ずっと 先輩のこと好きなの知ってたんだよ… こんな手紙送られても困るよな? ごめん…」
ははっ っと乾いた笑いを上がると
「なんで… なんで 気付いてくれないの?… なんでわかってくれないの?… ずっと… 見てきたのに…」
言ってる意味がわからない。泣き出すお前を見てどうしていいかわからず戸惑っていると
「わからず屋は そっちでしょ?… 私だって"好き"なんだよ 馬鹿!!!」
「ちょっ…マジ?」
「死ねばいいと思う」
「ごめんって マジで俺のこと"好き"?」
「何回言わせるのよ!"好き"だ馬鹿…」
いじけるお前も可愛いと思うのは 重症な証拠?(笑)
そんなのどうでもいいか… 俺はただ…
「お前が"好き"だ」
拝啓 マニュアル通りの貴方へ
マニュアル通りの貴方へ
先生ごめんなさい。 迷惑なんて知ってる。 だって生徒が先生に告白しても先生が困るだけだもんね? ずっと先生言ってたし…(笑)
先生は私の想い知ってたんだよね? だから 私が勘違いしないようにちゃんと区切りがついてた。
先生 人気あるし カッコいいし 優しいし 何でも出来るし… 好きなるなって…言う方が無理だよ…
先生ごめん。 涙で滲んじゃった…
先生? 卒業最初で最後のわがまま聞いてくれる?
私は 先生が…
屋上の扉が開く
「やっときたね? 先生?」
「頼まれたからね? どっかの誰かさんに?」
この意地悪い顔を もう ここで 見ることは無くなるんだ…
「もしかして… 泣いてる?」
「泣いて…ない…」
俯きずっと下を見続ける私を先生は
「下じゃなくて 前を向け 上を向け 明るい方を見ろ」
「急に 先生らしいこと言わないで…下さい…」
「君も急に生徒らしくなったね?」
「馬鹿じゃないですか?」
強がって見たものの 涙がボロボロ流れる。
「一応 先生だよね?俺?」
「先生…です… でもっ… 私の…だ…い好きな…人です… 先生 "好きぃ"」
"先生? 私は先生が好きです。 だから 最後のわがまま聞いてくれる?先生は いつものマニュアル通り振ってくれればいいの… 気持ちの整理もつくし 先生もその方が楽でしょ?(笑) まぁ? マニュアル通りの先生が 生徒を好きになるはずないしね?"
「お望み通りに… ごめん 俺は… なーんて言うと思ったか馬鹿ちんが!!!」
「いたい!!! デコピン!!!」
急にデコピンをしてきた。
「残念でしたぁ? 俺が言うこと聞くと思ったか?バーカ!」
「先生らしいね?」
「意味 わかってないだろ?絶対?」
「何が?キャッ!!!」
先生に抱き寄せられた。
「残念でした。 俺もお前が"好き"だ。 俺から離れられると思うなよ?」
「ずる… 反則だよ…」
私は先生が…
誰よりも好きなんです。
拝啓 大切な貴方へ1