扉の向こう

この作品は、「のっく のっく ちゃいむ」のシナリオをかじって想像して膨らました作品です。
初めて書いた小説なのでグダグダしていますが、それでもよければ読んでください。
<登場人物>
斎藤 聡(さいとう さとる):19歳の主人公。普通の社会人

小島 隆(こじま たかし):19歳 聡の友人。お調子者

葛(かずら):プレイヤー 優しい声の女性

シギ:ゲームキーパー 今回のゲームの主

土曜日、斎藤 聡はとあるゲームに誘われた。
誘い主はあの男である。まぁ、こんな誘いをするのは、彼しかいないのだが…

〜〜………〜〜

rrrrrr…聡の携帯電話が鳴った。
「なぁ、聡!」
電話を取った瞬間にそう聞こえる。
「あのな、いきなり大声で言うなよな。」
「わるいわるい」
そういつものよう答えるその男がこう言った。
「今度の土曜ゲームしない?面白そうなのがあるんだよ」
「またお前は…二十歳で結構暇だな」
いつも急に電話をしてくるが、よく言ってくる。それに毎回付き合っている自分にも呆れてくるのだが、腐れ縁というやつなのだろうか断るに断れないのも事実なのだ
「で、隆お前仕事は?」
という感じで苦し紛れに相手の中止を望む。確かに自分も暇だから、これしか断る内容が思いつかない。
「残念だが、休みだ」
隆もそれに気付いたのか、話し声が嬉々としている。

〜〜……〜〜

そんな事があって今パソコンの前に座っている。
隆によるとそのゲームはパソコンのソフトで通話しながらするTRPG的なものらしい。
「4、5人くらいでするから」という言葉から協力プレイするのだろうと推測できる。
誰が来るのだろうか、どんなゲームなのだろうか、と密かな期待をして待っていると着信が来た。

始まり

「聞こえるか?」
そう隆の声が聞こえた。それに、僕は「聞こえる」とだけ返す。
「じゃあ、紹介するね」
と隆は、二人を紹介した。
「えーと…まず今回のゲームキーパーのシギさん。」
「次に、俺らと同じプレイヤーの葛さん。」
「で、改めまして俺は、隆だ。」
とたんたんと紹介していく。
「で、こいつが俺の友達の」
と僕を紹介したので僕は
「あ、聡です。」
と答える。お互いによろしくと言った後シギが
「えーと、ゲームを始める前にルールを改めて説明します。」
「この、ゲームは『およばれさん』からどう逃げるかというゲームです…」
と諸々説明した後
「では、頑張って"生き残ってね"」
と言った瞬間、シギの方から音が聞こえた。
コンコン、コンコン、ピンポーン
ノックとチャイム
「すみません、来客のようです。少々お待ちください。」
と言ってシギが席を離れた。
その後、一つの悲鳴がスピーカー越しに聞こえた…

およばれさん

パリンッとガラスの割れたような音と悲鳴が聞こえる。
「大丈夫ですか⁉」
と葛は心配する。しばらくしてシギの声が聞こえた。
その声は絶え絶えしていて、今にも消えてしまいそうだった。
「みんな気を付けろ…"およばれさん"は…ホントに…い…」
そう一生懸命に伝えるとそこからは、なにも聞こえなくなってしまった。
「おい、どうするんだよ」
と隆が言った後すぐに「コンコン、コンコン、ピンポーン」と三人の玄関から聞こえてくる。
僕は、なぜか自分でも驚くほど、冷静な気がした。二人はどうするかわからなく会話にならない言葉を言い続けている。
「ちょっと待って!」
と僕が言うと二人は、同時に口を噤んだ。
こういう時どうしていいのか自分でもわからない、でも何かしないといけないのは事実。
外には出られない。人とは会話はできるが、一緒に行動する事はできない。
「とりあえず、敵がどんな姿だけでも見ておこう」
僕の家には、モニター型のインターフォンだった。たしか隆も同じ物だった気がする。
「隆、インターフォンで見てみないか?」
「お、おう。」
「えっと葛さんは、インターフォンとかで見れますか?」
「あ、家もモニター型ですので見てみます。」
みんな見たくなかったかもしれない。こんなゲームしたくなかったと思ったかもしれない。モニター越しに見たものは、その後悔を恐怖に変えた。ただ恐怖だけが残った。
そこに居たのは、不気味な笑みを浮かべている隆がいたのだ。だが『それ』は隆ではない事はすぐにわかった。
「た、隆ふざけてる?」
一瞬声が出なかったが、出来るだけ軽く見せるように言った。実際の事はわからない。
「お前もな…」
と返ってきた。隆のインターフォンには、僕が見えるらしい。
「あ、葛さんどうですか?」
一つ聞いてみる。
「ハハハ、えーと…彼氏でした…」
と乾いた笑いと共に返ってくる。
「とりあえず、話してみます。」
誰もが息を呑んだ。一拍
「お前は、何者だ」
それは、まだ不気味な笑みを浮かべている。そしてそれは、そのままこう言った。
『開けてくれよ』

ガラスノ欠片

それの声は老若男女の声が混ざったような声をしていた。それを聞いた聡は、吐き気がするほど気分が悪くなった。
その人ではない何かは、また続ける。
『開けてくれよ。君たちが、よんだんでしょう』
「呼んでない。それとシギさんは、どうした!」
すると、それは少し黙ってからこう言った。
『"よんだでしょう" "よんだでしょう"なのにあいつは『おもてなし』してくれなかったんだ』
…どうやら『おもてなし』とかいうものをしないと帰ってくれないらしい。
その『おもてなし』も何かわからない。とても最悪な状況だ。
それを二人に伝えて考える事にした。
「なぁ、どうにかしてあいつを倒せないのかよ」
「隆…そんな事出来ると思うのか?」
相手は、化け物だし倒し方なんかわかるはずがない。
「じゃ、どうすればいいんだよ…」
ここで僕ら二人は、手詰まりになった。少ししてその沈黙を破ったのは、葛さんだった。
「あの、これが元々ゲームだったら、このページにクリアするための説明とか書いてないんですか?」
「え?あ!ありがと。えーと、じゃあ全員で読んでわかった事や疑問に感じた事、細かい事でいいから見つけて」
少し希望が見えてきた。そのルールには、"よんでしまったら"ある物を見つけてそれを渡して帰って貰う。と書いてあった。
全員が読み終わった後またノックが聞こえた。だがそのノックは、最初聞いたノックより激しかった。
僕は、もう一回インターフォンを覗いた。
『"よんだでしょう"どうして開けてくれないの?』
それは、続けてこう言った。
『開けてくれないんだ…じゃあこれならどう?』
それがさらにニタッと笑い次に、顔が体が歪みとある姿になった。
僕は、それを見て後ずさった。
後ろでパリンッとガラスの砕けた音がした

割レタ水

その音で我に返った。
扉の向こうにいたそれは、姿を変えてこちらを見ている。
それは、1年前に病気で死んだ彼女の姿をしていた。
『ねぇ、開けてよ』
それは、そう言う。気が動転して今にも開けてしまいそうだ。
後ろに下がると足に急な激痛が走った。
「い!…ッ痛」
見れば足にガラスの破片が刺さっていた。
「おい、どうした?」
隆が心配して言った。
「あぁ、大丈夫だ。ちょっとガラス踏んだだけ」
おいおい気を付けろよと声がする。隆の声はいつもと違って余裕がない。それも当たり前だが。
その瞬間ふっといくつか思い出す。
「おい、隆!最初にシギがやられた時ガラスが砕けた様な音したよな?」
「あー…あったな、確かに、それがどうした?」
もしそれがキーだとしたら、みんな助かるかもしれない。今は、それしか対処を思いつかなかった。
「あった。あったぞ。でもこんな物持ってなかったんだけどな」
でも、気付いてしまった。僕は、それを割ってしまった。
「あ、ていうか葛さんは?」
確かに、あれから応答がない。どんなに呼びかけても反応がなかった。
足下には、割れたガラスとそれに入っていたのか、水のような液体が巻き散っていた

空ニ浮カブ緋イ月

GAME OVERその言葉が頭に浮かぶ。
「聡 、これからどうすれば?」
「え⁉…あぁ」
ぼーっとしていた。訳のわからない恐怖から明確なものに変えられてしまった。
死への恐怖。それを簡単に突き付けられ頭の中が真っ白になった。
隆に声を掛けられ我に返った。心配させまいとルール通りに説明した。
「まず、落ち着いて扉を開けて、そのコップを渡す。そして、黙って見送りそいつが外に出たら、扉をしめる。」
簡単だ。落ち着いてやれば誰でもできる。だが既に隆は、パニックを起こしていた。
隆は、手が震えていたのか、コップをあいつの目の前で落としてしまったらしい。
悲鳴が聞こえた。次は?
扉を開ける。目の前にいたものは、満面の笑みを浮かべていた。
後ろには緋い不気味な月が浮いていた…

扉の向こう

気が付くと僕は、玄関の前に立っていた。自分の家なのだろうが、周りには何もない。
玄関の扉しかないのだ。
扉を開ける。
"扉の向こうには……"

扉の向こう

どうだったでしょうか?誤字とかがあったらすいません。
およばれさんが言った"よんだでしょう"は漢字に直すと『読んだでしょう 呼んだでしょう』になる。
「扉の向こうには・・・」と微妙な終わり方をしていますが、これの次の章を「想像の世界」という章にしようと思っていたので、こうなりました。
「想像の世界」は扉の向こうはどうなっているのか自分で考える章なので結果は僕も分からないし、たぶん聡本人もわからないでしょう。なので考えてみてください。

最後までありがとうございました。

扉の向こう

斎藤 聡がとあるゲームに誘われて参加するものの、そのゲームは、やってはいけないゲームだった。聡の最後はどうなったのか

  • 小説
  • 掌編
  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-06-05

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work
  1. 始まり
  2. およばれさん
  3. ガラスノ欠片
  4. 割レタ水
  5. 空ニ浮カブ緋イ月
  6. 扉の向こう