飴と雨

朝起きると
雨が降っていた。

ベランダに出ると
晴れの日とは違う空気が漂ってる。

雨の匂い。
言葉では説明できない匂い。

わたしはそんな匂いが好きだ。
何故だか解らないがほんわりとした気持ちになる。

外へ出てみる。
お気に入りのネイビーの水玉傘をさしてみる。

パタパタパタ

傘に雨の雫が落ちる。


ふと昨日の事を思い出す。

面白くもない授業
他人の悪口で盛り上がるクラスメイト
点数の悪い答案用紙

ああ、
私はひねくれ者だ。
こんな事しか思い出せない。
楽しかった事だってあったはずなのに。


近所の駄菓子屋に顔を出す。
いつも陽気なお店のおっちゃんは今日も相変わらず陽気だった。

パイン飴を買った。
灰色の景色に映える黄色。


カラン

一粒口に入れて
私は散歩を続けた。


雨はまだまだ止まないようだ。

飴と雨

パイン飴美味しいですよね。

飴と雨

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-06-04

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