俺と猫の1週間

俺と猫の1週間

ああ、ダイアナ。


愛してる。

出会い

夏休みが始まったのは、雨の日だった。


俺は、足取り軽く家路を歩いていた。
天気は雨でも、気分は快晴だった。

そんな俺の視界に、なにかが入った。
猫だ。道端に子猫が捨てられている。
泥だらけで、寒さで体を震わせている。


俺は放っておくつもりだった。
経済的にも余裕もないし、なによりこれから夏休み。猫の相手などしている暇はない。


その猫の前を過ぎ去ろうとした時、段ボールの中に子猫より大きい何かがいる事に気付いた。



親猫だ。



ピクリとも動かない親猫に包まれながら、子猫はブルブルと怯えた目付きで俺をみていた。

風呂

結局、俺の良心が耐えられず段ボールを抱え帰宅した。
中では怯えた様子で、親猫にしがみつく子猫。


別にとって食いはしないのに。



適当なタオルを出し親猫を包む。
子猫は引き離されたくないのか、暴れていたが強引に離した。
タオルで包んだ親猫を、今度は綺麗な籠に寝かせる。



明日、埋葬してやろう。



そんな事を考えながら、風呂にお湯を入れ子猫を入れる事にした。
俺はゆっくりと子猫に近づき、そっと抱き上げた。綿菓子みたいに軽くて、今にも壊してしまいそうな程弱かった。



風呂場に着き、桶にお湯をいれ子猫を浸からせる。以外にもおとなしく入ってくれて、俺は助かった。
湯冷めしないうちに体を拭いてやり、ぬるめのミルクを子猫に与えた。


「うまいか?」


どうやら相当お腹が空いていたらしく、一心不乱にミルクを飲む姿に、俺は圧倒された。


飲み終え満足したのか、クッションの上で気持ち良さそうに眠っている。


それ、俺のクッションなんだけど。



こうして、猫を拾った1日は終わった。

俺と猫の1週間

俺と猫の1週間

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-06-02

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  1. 出会い
  2. 風呂