修道士ファルコ

修道士ファルコ

2001年青池保子著

白泉社文庫から1冊になって出ています。
もともと2冊の単行本(コミック)でした。

読み始めたきっかけは、修道士カドフェルの巻末解説で紹介されていたから。
修道士ものの漫画ということで、中身を知らずに読んだのですが、結果的に大満足でした。

徐々に話がおもしろくなっていくのですねー。
最初はそれほどとも思わなかったのですが、最後の方は圧巻でした。

主人公はカトリックのシトー派の修道士で、派閥だけでおそろしくたくさんあるので、とても覚えられません。
普段は白いローブを着ていて、作業着として白と黒のローブも着ます。
時代背景は…よくわかりませんが、14世紀後半のドイツらしい。

名前をファルコ(鷹)という。
もと騎士だった男で、剣の腕はずば抜けている、という設定。
修道院の中で俗世に慣れ親しんだ者は少ないため、なにか問題が起きるとファルコが駆り出される。

彼の仲間、わき役たちが良い味を出している。
まずは修道院長。
小鳥の心臓を持つと噂されているくらい、俗世の事件に疎い。
なにかあると必ず倒れる(笑)。
それをカバーしているのが太っ腹な副修道院長で、実質、修道院を切り盛りしている。

美しい者が大好きな芸術家アルヌルフ修道士。
彼のトンスラは美しく、常にキラキラ輝いている。
芸術のためなら、盗作もいとわず、なにかと問題を起こす修道士。
オド修道士はファルコと似た境遇の男で、頼れる存在。
なにかというともめ事を任されているが、本人たちは俗世の問題にかかわりたくないらしく、問題を解決してはいつも反省しているのが笑える。
オドはもと警察官のようなことをしていたため、剣の腕はたつのだが、以前の部下に気に入られていて、追いかけられるのを疎ましがっている。

修道女のマルティナ。
婆ばかりの女子修道院に一輪咲く白い花。
俗世で生活したことがないので、純真な神聖な存在。
芸術をたしなむ性格で、アルヌルフを知らずに助けている。

もと娼婦の修道女フィリス。
修道女は娼婦を改心させることに命をかけてる感あるね(笑)。
見事に餌食にされたのがフィリス。
ファルコに恋して会いたい一心で修道女になってしまった!
俗世を知り尽くしてるおもしろい人。

こんな感じでおもしろいキャラが盛りだくさん。
もっと続いてくれたら良いのに~。
フィリスなんて最後の話で出てきたから、少ししか出てこなくて残念。
ファルコに一石を投じるような気がするんだけどな~。
もちろんファルコは迷惑がってるけど(笑)。

連載が再開されるのを願います…。

修道士ファルコ

修道士ファルコ

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-06-02

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