神の国~伝承の科学~ 第一章:伝承の始まり
いくらかでも読んで頂けると嬉しいです。
キャラブレはお許しください。
かなり更新が不定期です。(※毎日書いてはいますが、やり直しだなんだで意外と時間がかかります)
一応週に一度は更新していきたいです。
町に行くまでgdgdです。
第一章と題名には書きましたが未だ第何章まで続けるかは未定です。
第一話
【ピピッ…外界の定期検査を完了…第二次世界滅亡発生を確認】
誰もいない無機質な部屋に薄らと文字が浮かび上がる。
【外界環境調査…完了…暗黒物質の使用を確認】
【自然現象を発生させていることを確認】
【前世界での体では適応に不十分です】
【体の改造を開始します…完了】
【現在の施設環境を調査…完了。約0.3%が奇跡的に保存されています】
【最低限の環境が確保されていることを確認】
【KSGの正常作動を確認】
【中に入っている体の正常を確認】
西暦3056年―――
人類は栄華を極め、科学技術の発展に心血が注がれていた。
そんな時であった。
世界は一度滅亡した。
その事実が世界中を駆け巡った。
ある物は恐怖を。
ある物は絶望を。
その事実は何度も検証された。
だが全てにおいて【事実】の結果が出た。
その時である。
日本…全ての科学技術において最高の技術を持っていた彼の国はある計画を発進させる。
我々の技術を―――血と涙の結晶を―――受け継がそう。
その計画名は〝神ノ国ノ継承ノ儀〟
計画は発進するとともに地下に巨大な施設(シェルター)が建設を始めた。
建設は僅か一ヶ月で全ての工程を終了した。
しかし問題が発生した。
『誰がその施設に入るのか』
施設だからと言って安全であるわけではなく、あくまである装置の防御壁。
その装置とは―――コールドスリープ装置―――永遠に命を永らえさせる装置である。
その装置は当時の技術では一人分しか作ることができなかった。
そして3056年最後の時―――12月31日―――世界は隕石の衝突によって生ける物を失った。彼を除いて。
そして今―――彼が目覚めようとしている。
【KSGを吸収…排出します…排出完了】
【体の活性化…確認】
【脳の活性化…確認】
【前世界の科学技術の受け渡し…完了済み】
【意識の活性化…確認】
プシュー…
第二話
…は?
え、ちょ…何故に?
…理解できないんですけど。
「コールドスリープで未来に旅立とう」なんていうふざけたキャンペーンになんとなく応募してみて何故か当たったら狭苦しい装置に体押し込まれて寝ちゃったんだけど…
…マジですか。あれ本当だったんですか。あーそうですか…はぁ…
【意識の正常を確認】
ん?
【はじめましてmaster。私は装置完成時最先端AIのMINORI(通称:ミノリ)です。masterのお役に立つことを最優先にprogramされています】
「えっと…」
【なんでしょうか?】
「とりあえず英語要らない」
【わかりました。日本語の割合を増加させます】
「で、状況説明頼む」
【了解いたしましたマスター】
狭い部屋の中心に画面が出てくる。
…おお。さすが最先端技術だわ…空中ディスプレイとか…小説でしか知らなかった。
【この画面にて説明をいたします。
まず現在の年数は西暦5032年3月9日です】
…マジでタイムスリップしたか。
【マスターが寝ている間に起きたことを大雑把に話すと、第二次地球滅亡→生命滅亡→生命誕生→人類誕生→現在となっています】
…え?
【現在存在する人種は滅亡した人類とほぼ同じ人。さらにドワーフ、エルフが存在しています】
…ファンタジーが来たかここで。
【現在の人類は暗黒物質(通称:魔力)による自然現象発生(通称:魔法)によって少しずつ発展をしています。また暗黒物質による動物の凶暴化(通称:魔物化)が顕著に見られます】
…なんというテンプレだよ、おい…
「なぁ」
【何でしょうマスター?】
「外には出れるのか?」
【はい。奇跡的に緊急通路が開通します】
えっと…奇跡的なんだ…
【ですが、現在マスターの体における適合率が未だ適正値に達しておりません。外に出ることは緊急事態でない限りお勧めいたしません】
「…適合率?」
【はい。現在マスターの体にはナノマシンによる器官の強化、改造を行っています】
「…ナノマシンとの適合率ってこと?」
【はい】
…ほんとにすごい技術だよなぁ…日本はもうないだろうけど、さすが技術大国なだけはあったってことか。
【現在改造完了時に置けるデータを提示しますか? YES/NO】
「あー…」
んーなんか自分の体知るのもなぁ…
【では新要素となる魔法分野におけるデータのみ提示しますか? YES/NO】
「んじゃぁYES」
【了解しました。データを提示します】
パネルに表が出てくる。
魔法総合素質…全に素質あり
魔法創造素質…イメージの明細があれば創造可能 ※一般人は不可能
現魔法素質…全て習得可能 ※一般人は10~30個習得可能
旧魔法素質…全て習得可能 ※一般人は習得不可能
遺産魔法素質…全て習得可能 ※一般人は習得不可能
魔力量…1兆(単位M) ※一般人を100Mと置いた場合
魔力回復率…毎分1億M ※一般人は毎分1M
魔力変換率…100% ※一般人は0.1%
…えっと…何をしてるんですか?
【以上となります】
肉体面での改造もすさまじいこととなっているのだが、それを知るのはまだ先のことである。
【それではマスター】
「ん?」
【現在の地球一般常識を叩き込みましょうか】
「…いいよ。覚えるのは得意なんだ」
【ではさっそく始めましょう!現在…】
AIによる一般常識勉強会が始まった。
第三話
そう言えば俺の名前を言ってなかったな。
俺は神野 信也
中二病を引きずってた高校生だ。
弊害として彼女…なし。友達…1~2人
という残念な状況だったけど、まぁそれなりに楽しかった。
で
AIの勉強会は一カ月で終了して、今は体の調子と魔法の練習に励んでる。
【マスター、施設の開放が確認されました。書物庫、研究室、生産室が解放されたようです】
「ん?解放?」
【説明いたします。このシェルターはマスターを保護する目的以外にもマスターに世界の科学技術を全て継承できるための施設が入っています。マスターの成長度よって施設は解放されていきます】
で、今回は本と研究と生産ができるようになったと。
「そこに行くまでの通路は?」
【奇跡的に残っている0.3%は全ての通路を意味しています】
「…え」
【崩壊した施設と閉鎖されている施設の判断がつかないため、残っているという表現をとっています】
「…ちなみに今解放された施設を加えると?」
【9.3%です】
…ちょっと待てよ?一つで3%だから…全部で33施設!?
【ピッ…マスターのナノマシンの浸透率が規定値を突破しました。外に出ることを許可します】
おっマジか…じゃ一回でてみるかな。
【矢印の方向にお進みください】
地面に矢印が浮かび上がる。
さすが最先端か。
▽▽▽外▽▽▽
「ん~…ここどこらへんなわけ?」
すでに第二次世界滅亡によって地形はまったく異なっていた。
【マスター】
ビクッ
え、ちょ…どうしてAIの声が聞こえるの!?幻聴!?やっぱり一カ月AIの声を聞き続けたのが原因かっ!?
【マスターのナノマシンとの接続から私はマスターの感覚器からマスターの状況を判断して適切なアドバイスを行っていきます。また、アドバイスは解放された施設から読み取れる情報が元となります】
…ナンダソレハ
【では情報を処理、統括、表示していきます】
信也の視界に情報が表示されていく
【表示完了】
視界には文字がずらりと並んでいる。
「…えっと…視界を埋めないでほしい…」
【わかりました。必要な物を選択、処理、表示します】
少しずつタブが閉じていく。
【表示完了】
すっきりとした視界に情報タップが細かく表示されている。
「じゃあ…敵がいたら最優先で表示頼む」
【了解しました。現在設定している敵は魔物となっています】
「今日はまだ戦闘はいいよ。帰還する」
【了解。魔力認証があるので指をパネルに触れてください】
入口には確かにパネルが。信也がパネルを押すと
【魔力認証完了。登録No.0カミノ シンヤ。マスターお帰りなさいませ】
少し人工じみた機械音声が流れ、入口が開く。
【マスターどういたしますか?】
「施設見てもいいかな?」
【どの施設にいたしますか?】
・保存室
・書物庫
・研究室
・生産室
「まずは書物庫から」
【わかりました】
通路には矢印が表示される。
第四話
結果から言うと…凄い施設だった。というかそれ以上わけわかんなかった。
AIの説明としては
書物庫…
超圧縮データによる本の3D化によって完全に本の形を再現しています。この書庫はさらにデータを入れていくことができるので頭を整理したいときに要る施設です。
保存室…
マスターが保存されるために作られた旧世界の状態を保存していました。現在は時を止めておきたい物を保存するために稼動中です
研究室…
新世界における発見をさらなる発展や旧世界との技術融合を果たし、発展をするための部屋です。現在は書物庫にある知識をさらに研究中です
生産室…
書物庫に書かれている知識や研究室で生まれた知識を使ってその通りに作っていく部屋です。現在はナノマシーン・ナノコンピューターを生産中です。
…これ以上は
【☆■!▲▼?…】
専門用語だったみたい。だから
「要するに?」
で上の説明が出てきたってわけ。
【ピー…魔法の状況を確認しました。いつでも魔法媒体の生産に入れます】
「えっと…銃って出来ないわけ?」
【銃…リボルバー、自動拳銃、ライフル、アサルトライフル、機関銃、短機関銃、ロケットランチャー、レーザー銃、赤外線銃、音銃がありますがどれを生産いたしますか?】
銃なら多少わかるんだよね!
えっと…
リボルバー…回転式で弾をこめ、近距離の的に当てる銃
自動拳銃…自動で弾を押し上げることによって、近距離の的に当てる銃
ライフル…一発ずつ遠距離の的に弾を当てる銃
アサルトライフル…連続で遠距離の的に弾を当てる銃
機関銃…中距離の的に弾を当てる銃(弾を適当にばらまくことも多い)
短機関銃…近距離の的に弾を当てる銃(連射数が自動拳銃の2~10倍)
ロケットランチャー…大型の的を粉砕するために遠距離から使う…銃?
レーザー銃…光を収束して的を爆散させる銃
赤外線銃…赤外線を収束して内部から発火させる銃
音銃…空気の振動によって内部から細胞を破壊する銃
こんなとこかな。
「ロケランとレーザーに赤外線と音ね」
【了解しました。ロケットランチャー・レーザー銃・赤外線銃・音銃の生産を開始します。時間は約5分です】
…ん!?
え、ちょ…5!?5分ですか!?
確かにリボルバーとかなら五分も納得だけど…音銃なんかの部品はとてつもなく繊細はずだけど…あれ?
部屋をぶらぶら歩いて暇をつぶす。
【生産が完了しました。受け取ってください】
生産室に足を向ける。
▽▽▽生産室▽▽▽
「おお…」
夢にまで見た銃がここにっ!!!
どんなに科学が発達した世界でも資源は有限。地球どころか火星にも手を出してたりしてたみたいだけど…とにかく物価が高かった。レーザー銃なんかでも100万$とかで、もう…いろいろと手を出せる物じゃなかった。
そんなものがここにっ!
【戦力の補充が完了しました。また魔法と科学を応用し、四次元亜空間収納(通称:倉庫)
を研究完了。荷物等は全てこの中においれください】
…ヤバイ物を生み出しているのは気のせいなんだろうか?
【また、外部での一般装備をすでに収納しています。また、この収納空間には時間停止機能を付属してありますので生物でも心配は要りません】
…ミナイフリデモシヨウカナ…
【他にも状況に応じて作成していきます。作成された物は全て倉庫に分割・収納されていきます。分類等の要望が無ければ種類別に収納していきます】
…便利と言えば便利かな?
【ではどうぞ外界へ】
第五話
▽▽▽外界▽▽▽
プシュッ
通路から外界に出てみる。
…周りが森とは…フラグ来るか?
「…だ…か…たす…て…」
…いや、来なくて良かったんだけど?なんで来たの?やめてくれ…
【『誰か助けて』との救援要請ですが、マスター救助いたしますか?】
「うん。まぁ…後味悪いからね」
【了解です。通常状態から戦闘状態に移行】
…は?
【では。すでに予測ルート完了済みです】
サクッとマップに進路が表示される。
…ゲームかよ。
森に突風が吹く。
▼▼▼???▼▼▼
私は遺跡を専門に探索する冒険者。
今の所、仲間は…いない。種族のせいでもあるが、そこは仕方あるまい。
今回は特に大きな反応を示していた遺跡を調査することになった。
その道すがら―――。
私はこの地における最強の種族―――ドラゴンを見つけてしまった。
これは私が戦って良い魔物じゃない。
本能に突き動かされて逃げようとした。
ギョロリ
瞬間―――私の視線とドラゴンの視線が合った。
もう…終わりだ。
「GAOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!!!!!!」
ドラゴンの吠え声に身がすくんだ私は
「誰か…助けて…」
ドラゴンの口は私の目の前にあった。
▼▼▼神野信也▼▼▼
【救助対象者、魔物を確認。解析中…解析完了。解析結果:トカゲの変異種(通称:ドラゴン)と判明しました。弱点を解析中です。発見ができ次第、赤い丸でそこを示していきます】
「比較的攻撃が通りやすいのは黄色で表示!」
【了解しました。解析が完了しました。結果を表示します】
視界に出たのは尻尾の先が黄色く光っているだけだった。
【ドラゴンの裏側の解析が完了していません。解析が可能になり次第、解析を開始します】
っ!こうなったら尻尾に攻撃してドラゴンをあの女性から一旦遠ざけるっ!
【剣を装備します】
手に現れたのは自分の身長ほどもある(現在180cm…?)大剣が出現する。
【最も効果的な装備です】
…まぁ重くないから良いけどねっ!
ザシュッ
「GYAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!」
ドラゴンの尻尾を切り落とすと、痛みを感じたのか体をのけぞらせる。
「危ないっ!」
すぐに女性の元に辿り着く。が、ドラゴンは前足を振りおろそうとしている。
【立体起動に入ります】
くっ!
最大限のジャンプをすると、10m位飛び上がった。
………えええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!
【解析が完了しました。腹部は全体的に弱点であることが判明。現在の状況から切り上げによる真っ二つの切断をお勧めいたします】
了解っ!
ドラゴンは翼を広げている。確実にこっち狙ってるよね!?
【魔法の選択が完了。魔法耐性が不明なため、今回は魔力剣を行使します。マスターは叫ぶだけで発動可能です】
「魔力剣っ!」
大剣の幅そのままにドラゴンの身長よりも少し長い程度の魔力の刃?ができる。
「喰らえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」
「!!!!!!!!!!」
ドラゴンの目が見開く。そんなことお構いなく腹に魔力の刃をたたきつける。
バキバキバキッ!
ドラゴンは魔法の刃に巻き込まれて真っ二つに割れたまま地面に墜落した。
…ってこっちも落ちるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ
【マスター、問題ありませんので、しっかりと両足で着地してください】
…あ、はい。
ドンッ
…確かに怪我はなかったよ。でも地面にクレーターは…さすがにやりすぎだよ。
完全にお姫様抱っこしていた女性が目を開ける。
「えっと…ありがとうございます」
盗賊じゃなくてドラゴンが来たけど…まぁいいや!
第六話
「えと…ありごとうございます」
「え、あ…はい」
「えっと…その…耳を見ても何も思わないんですか?」
さて、今回助けた女性の全体像を言っておこう。
まず…防具をつけていてもわかるその膨らみ。本当にありがとうございます。
後ろには尻尾。いいですか?尻尾です。大事なことだから二度言いましたよ?
さらに頭には猫耳。
…猫耳キタァ――――――!!!!!!
さてと、気持ちを落ち着かせて…
「えっと…助けて貰って悪いんですけど…私の耳とか尻尾とか見ても…何も感じないんですか?」
…はぁ?
「そんなわけないだろう!その究極のモフモフの尻尾に耳!その完成度!最高じゃないか!」
「え、えと…は、はい?」
【マスター…獣人族は差別の対象になっていると言いましたが?】
あ、ねぇねぇこの子施設に入れていい?
【…はぁ…マスターの性癖は理解してますよ。すでに準備しています】
「ねぇ!」
先ほどの発言で固まっていた猫人はビクッとする。
「は、はい」
「うちに来る?」
「…はい?」
「いや、だからうち来ない?猫ちゃん」
「…私の名前はアイナです」
「じゃあアイナ、うちに来る?」
「えっと…その…どこにあなたの家が?」
「ん?来ればわかるけど?」
「…まぁ私には定住地なんてないですし、まぁ良いんですけど…」
「じゃあ来いよ!」
かなりの迷いを見せた後にアイナは
「わかりました…ついていきます」
何ともまぁあいまいな感じでアイナが居住者になりました。
【個体識別認証…OK両者すでに登録が完了しています】
「えっと…」
「あー名前言うの忘れてたな。神野信也。んっと…カミノ=シンヤかな?」
「シンヤ…さん?」
「まぁなんでもいいよ」
「シンヤさん、この…遺跡?はまだ動くんですか?」
「動くも何も絶賛稼動中だけど?」
「…え…超古代文明というか遺跡でしかその存在を認められない旧世界の建築物ですよね?」
「そうだよ?」
「…えっと…動くとか理解できないんですけど」
「んー…簡単にいえば…永久機関登載だから」
「…なんですかそれは?」
「とにかく入って?」
「あ、はい」
第七話
カコン…(※実際の音ではありません)
「さてと…衣食住は揃ってるし、何か制限することもないかな?」
「えっと…そ、その助けてもらったお礼とかは私無いんですけど…」
「別に…気まぐれで助けただけだから。(うん。それで猫耳に会えたのは僥倖だったな)」
「私、一応冒険者なんですけど、錬金術師が本職なんです」
「ふーん…で?」
「いえ…そ、その…お礼がしたいので…えっと…」
【報告いたします。個体名:アイナからの記憶を読み取った結果、現在魔力によって一部の残った魔道書や聖書、経典、神話などの生物が発生しています。
また、それらの生物は凶暴化することが少なく、知性を持っていることがほとんどのようです。
また、個体名:アイナはマスターを無意識に異性として見ているようです】
…無駄に必要性なかった気がするな。
「何か作らせて下さいっ!」
「じゃぁ…錬金術師にとっての宝庫を紹介してあげるよ」
「…え?」
ん?
「宝庫?」
「うん。だって旧世界の知識知りたいでしょ?」
「…」
ブンブンと首を振るアイナ。かわいい。
「じゃあこっちだよ?」
「うん。私、シンヤに一生ついていきます!」
えっと…そ、そう。
▽▽▽書庫▽▽▽
「こっこれは…」
感動のあまり絶句しているアイナ。
「一つ手に取ってみたら?」
「いっいいの?」
「別に腐食とかするわけじゃああるまいし」
手を震わせながら近くにある本を引っ張り出すアイナ。かわいい。
パラパラ…
「え?」
「ん?どした?」
「えっと…これ終わらないんだけど?」
「ああ、圧縮ファイルの4D方式で紙の手触りを再現してるから、一冊でも10000ページ位はあるんじゃない?」
押し売り☆
「…凄」
「まぁいつでも読み放題だし、なんなら検索してもらったら?」
「…はい?」
「ああ、紹介してなかったか。俺の右腕のAIだ」
ホログラム(と言っても触れるし、ほぼ実態と言っていいけど)で
「紹介を受けましたミノリです。マスターの片腕として現在も精進させていただいております。何かご用件があればいつでも及びください。ただしこの姿での出現はこの施設内のみですのでご注意を」
と紹介をするAI。…名前覚えとこ。
「え…あ…は、はい」
「それではアイナ様が検索されたい種別などを言って頂ければ」
「じゃ、じゃぁ…古代文明、ポーション」
「了解しました…検索ヒット数10000項目です。絞り込む必要がありますね」
「じゃぁ…基本からお願い」
「了解です…検索ヒット数10項目です。リストを表示するので…」
なんだかのめり込み始めてるから先に戻っていよう。
第八話
▽▽▽統括室▽▽▽
う~ん…やっぱ無理だな。
え?何が無理かだって?…料理だよ。全然できねぇ。黒こげ料理見たいにはならないと思うけど、やり方がわけわからん。
「あっシンヤさん?どうしたんですか?」
「ん?…いや、料理が苦手でさぁ」
「…料理…ですか…私、料理出来るので料理しましょうか?」
「おっほんと?じゃぁ大体の物は全部あるから、AIに頼んで?」
「あっはい!」
なんだか随分と嬉しそうだし、よかったな。
「はい!」
目の前に置かれた皿には何とも言えない匂いが漂う料理が置かれた。
「アイナ、お前…凄いな」
「そう?シンヤさんに褒められてアイナ嬉しいですっ!」
笑顔全開で眩しいくらいだよ…。かわいいけど。ついでに猫耳がピコピコ動くのが溜まらない。
「じゃぁ…」
「「いただきます」」
食器が立てる音が鳴り響く。
「アイナ」
「なんですかシンヤさん」
「町に行ってみたいんだけど、案内してくれる?」
「えっ…ま、まぁ良いですよ」
「その時なんだけど、アイナと俺の関係はどうするんだ?」
「えっ…そ、それは…」
「一応恋人か夫婦か友達か」
「じゃ…じゃぁ恋人で」
「ん。恋人ね。じゃぁ明日は町に行こうかな」
「あ、あのっ」
「ん?」
「シンヤさんは魔法を使えるんですか?」
「いや?出来ないと思うよ?」
「…魔力剣は立派な魔法なのですが?」
「AIが勝手に引き出してきたから」
「…あまり詳しくはないですけど、シンヤさんに魔法の基礎は教えましょうか?」
「ん」
~魔法理論・基本編&簡易歴史編~
まずこの世界には「魔力」があります。
その「魔力」から「自然」にアクセスします。
この時アクセスのために「通路」が要ります。
この通路が「魔法陣」「魔法石」「魔術書」などです。
そうですね…「ペンタクル」「ソロモン王の遺言」「モーセ幻の書」「大奥義書」などが失われた遺産として有名だったりします。
ではアクセスした後どうなるか
言い伝えに近い形で魔法の属性について語られています。
火は風に強く水に弱く土と共存する。
風は土に強く火に弱く水と共存する。
土は水に強く風に弱く火と共存する。
水は火に強く土に弱く風と共存する。
四人の精霊たち。
炎は氷に強く雷に弱く金と共存する。
氷は金に強く炎に弱く雷と共存する。
金は雷に強く氷に弱く炎と共存する。
雷は炎に強く金に弱く氷と共存する。
四人の上級精霊たち。
血は体に強く脳に弱く幻と共存する。
体は幻に強く血に弱く脳と共存する。
幻は脳に強く体に弱く血と共存する。
脳は血に強く幻に弱く体と共存する。
人と共に生きた精霊たち。
光は闇を支配し時に支配され、次元と繋がる。
闇は次元を支配し光に支配され、時と繋がる。
次元は時を支配し闇に支配され、光と繋がる。
時は光を支配し次元に支配され、闇と繋がる。
超自然の摂理を求めた精霊たち。
この全部で16の精霊の力を借りるという形をとります。
古代魔法世界ではこの全ての精霊を使役する「精霊王」と呼ばれる人々が居たらしいです。
しかし、大規模な世界戦争が起きてしまい、超自然の精霊たちを使役する技術が廃れてしまいました。
そして世界は帝王神国によって統一されて12の精霊の力を使役する形に落ち着きました。
しかしその栄華も反乱や内乱での分裂によって戦いが絶えなくなり、人と共にいた精霊たちは離れて行ってしまいました。
しかし神から授けられた聖剣を使って世界は統一されました。
聖王国が作られました。
この時点で精霊は8の精霊の力を使役する形に落ち着きました。
しかしまたも世界は分裂し、戦いの絶えない時代へと突入しました。
今は少し統一され始めましたが大国でのにらみ合いが絶えません。
上位精霊にさえ見捨てられた世界です。魔法使いの価値は下がり、今は戦士の方が価値が高くなってしまいました。
これが魔法使いの辿ってきた歴史ですね。
「へぇ…」
「ええ。私は錬金術師の方なので極一部だけ金の精霊の力を使役できますかね」
「じゃぁ少し魔法を覚えてみたいかな」
「あ、本当ですか!最近は魔法使いの道に進む方はほとんど居なくなってしまったので」
「じゃあ外に出るか」
「はい!」
第九話
【訓練場の開放を確認】
【訓練場(最低)→訓練場(低)の開放を確認】
【訓練場(低)→訓練場(中)の開放を確認】
【訓練場(中)→訓練場(高)への開放条件は???です】
おっ?
「アイナ」
「はっはい!」
「訓練場が解放されたみたいだからそっちに行こうか」
「えっ…あっはい」
現在エレベーターに乗ってます。
にしても…惑星間移動用にしか使われないはずの超距離専用エレベーターを使う必要性は感じられないんだよね。
【惑星間移動用エレベーター
その名前の通り惑星間を移動するために開発されたエレベーターである。
移動したい惑星どうしに「重力発生装置」によって重力線をつなぎ、重力線上に「重力安定用ナノ端子ケーブル」を設置し、ケーブルを伝わせる「箱」を使用する。
ですので、安全に移動するのならばこの方法が確実だからです】
あ、いや別に教えてくれなくてもよかった。
「シンヤさん」
「ん?」
「これ…後で資料みたいです」
「…〝ミノリ〟に聞け」
「はい」
▽▽▽訓練場▽▽▽
さてと、訓練場に来たわけだけど。
「す、凄い魔力濃度です…」
「じゃあアイナ、教えてくれる?」
「あ、はい。えっと…まずは詠唱です。魔法陣を書くのは手間がかかるので詠唱で魔法を使っていきましょう。
詠唱には「型」があります。
魔法剣を出したいのならば『「属性」の精霊よ、今我(私)は剣を求める。「属性」の剣』
などですね。失われた「型」もありますが、剣や、槍、一番有名なのは球ですね」
「ん。じゃあやってみるよ。火の精霊よ、今我は剣を求める。火の剣」
言いきると同時に魔法陣が目の前に浮かびあがる。
「あ、一回で成功ですか…あはは…」
ちょっと落ち込んだ様子を見せるアイナ。彼女は乾いた笑いをするしかなかった。
魔法陣から剣の柄が出てくる。
「あ、それをつかんで取り出してください」
グッと握って魔法陣が出してみる。
剣が完全に出ると魔法陣が消え、剣に掘られていた文字が光り輝いて剣が火をまとった。
おお。魔法凄いな。
「…元々の剣が「精霊の剣」で「精霊文字」とか…もういろいろと規格外すぎませんかシンヤさん…」
「えっと…他のも試してみるか」
五時間後――――――
四属性の剣を出した後調子に乗ってそれ以外の滅びたはずの属性剣を「全て」出した信也。
その横ではあまりにも素質の違いを見せつけられたアイナが地に手をつき、落ち込んでいた。
「うーん…やっぱり制限かけた方がいいかなぁ…」
このままだと目立ちすぎる。
【マスターの要望を承認。
制限をレベル分けしたうえで現在最大制限をかけました。
制限レベル1:魔法素質、身体能力を一割カット
制限レベル2:魔法素質、身体能力を三割カット
制限レベル3:魔法素質、身体能力を五割カット
制限レベル4:魔法素質、身体能力を七割カット
制限レベル5:魔法素質、身体能力を九割カット
現在一般人の指標等が無いため暫定とします。一般人の指標等のアップデートができ次第制限を変更していきます】
ん。OK
「し、シンヤさん…」
「アイナ、もうそろそろ町に行こうか」
「えっ…あっはい」
▽▽▽個別寝室▽▽▽
そうは言っても夜だったので今から行く気にはなれなかったから明日に予定変更。
「ミノリ」
寝室でAIを呼ぶ。
【何でしょうかマスター】
「衛星とかを飛ばせないか?」
【通信室の開放を確認】
【通信室(最低)→通信室(低)の開放を確認】
【通信室(低)→通信室(中)の開放を確認】
【開放に伴い現在発射済みの衛星との自由連絡が完了しました】
「…もう飛ばしてたのかよ」
【衛星による現在の星の全体を確認する作業を開始】
「あ、どうぞおやりください」
【マスターの承認を確認。作業ペースを変更】
「…まぁいいや。明日には町に行くし」
第十話
ザァァァァァァァァァ…――――――
「雨か…」
「と言うよりも雨季に入ってしまったようですね」
~旧世界の地球と新世界の地球~
今こうやって生活している地球は2000年前の地球とは大きく違っている。
まず星の大きさ(表面積)が約25倍。※海:陸=6:4
酸素の濃度が約2倍。大気中の酸素濃度%=40%
雨季・四季・乾季が一年の間に順繰り回る。
一年は300カ月(12か月×25)
一日は600時間(24時間×25)とは言っても昼と夜が25回繰り返される
今の所こんな感じ
「雨季に入ってしまうと植物系魔物の繁殖力が一気に引きあがりますからね…」
つまり町に出れない。
「うーん…強行突破かな」
「…え?」
「ん?」
「強行突破って幹の大きさが直径20mとかある樹が生い茂る中を!?」
「ああ。まぁね」
レーザーで焼き切れるレベルだし。
「…ええええええ」
「じゃあ早速とりかかろうかな…ミノリ」
【YESマスター】
「…なんで英語表記?」
【気分ですマスター】
あれぇ?AIに気分もなにもないはずなんだけど?
【マスター。マスターの要望は強行突破車ですね?】
「おう」
【了解いたしました。軍専用悪路走破車の作成をいたします】
「頼んだ」
【作成終了予定時刻は約二十分ほどです】
「アイナ、二十分後に出るぞ」
「ふぇぇぇ!?」
「ほら、支度とかないのか?」
「え、いや…基本武器以外は手ぶらだから」
まぁ確かに記録とか全部AIにお任せだからな
二十分後。
【車庫の開放を確認】
【車庫(最低)→車庫(低)の開放を確認】
【車庫(低)→車庫(中)の開放条件は???です】
【マスター。L246型悪路強行突破車の作成と共に新たに解放された車庫に入れておきました】
「っしアイナ、行くぞ」
「はい!」
▽▽▽車庫▽▽▽
「おー…普通だな」
「こ、こんなの見た事ありません」
上が俺で下がアイナ…ってそりゃわかるか。
「じゃあそっち乗れ」
「…乗り方がわかりません」
「…ああ。近づけば勝手にドアが開いてくれるから中の席に座れ」
そう言って俺も反対側の運転席に乗る。
「うわー!ふわふわですね!こんな椅子があるんですか…」
「正確には「シート」だけど…まぁ今度調べてみろ」
「はい!」
【車庫から専用通路を開通。発進準備OK】
「アイナ、しっかり座れ」
「あ、はーい」
【乗車を確認。ロック】
シートベルトが胸にかかる。
「な、なにこれぇ!」
「まぁ慣れるまでの辛抱だよ」
「ううっ…」
【ロック確認】
「よし。エンジンスタート」
【エンジンstart】
【通路遮蔽板off】
【車専用門open】
【…安全確認OK】
「よし。アイナ、町はどれだかわかるか?」
指をさすのはもちろんタッチパネル型カーナビ。
「んぇ?…んっと…これだと思うよ」
【自動ルート解析start】
周りの地形をカーナビが読み込んでいく。
【解析完了】
「すまん、町から二十m離れたところに再設定」
【再設定承認。問題ありません】
「ん。発進!」
ゴオッ
「車」と言っても昔のように地面は走らない。重力制御かエンジンのどちらかだ。
▽▽▽町への道(強制的な)▽▽▽
ジジッ…シュー…
レーザーが樹を焼き切る音がする。
「凄いこれ」
「まぁ普通っちゃ普通だけどな…」
第十一話
▽▽▽町▽▽▽
ついに町に着いたぜ!
【マスターとは違う人類を確認しました。複数同時解析を開始します】
…エ?………まぁいいや気にしないようにしよう。
スルースキルをマスターした信也だった。
「アイナ」
「なに~…」
「手繋ぐか。恋人の設定だし」
「うえ!?」
「…なんだ?やっぱり設定に無理があったか?」
「う、ううん!大丈夫!ほら」
強引に俺の手を握るアイナ。…なんか随分と顔が赤いけどどうした?
【アイナはマスターを異性として見ていますので】
…ああ。どんなに無関係でも手を繋ぐのは恥ずかしいのか…。
「それはともかく…冒険者ギルドに登録するか」
「そ、そうですね!こっちです!」
グイグイ手を引っ張られる。
▽▽▽冒険者ギルド▽▽▽
「あれが受付かな…すみません、冒険者登録をしたいんですが」
「わかりました。では冒険者ギルドに入る上での説明は必要ですか?」
「いいえ、すでに聞いています」
「そうですか。では、この登録専用球に手を置いて頂けますか?」
手を素直に置く。
【アクセス可能な端末を認知。これより逆探知方法によりハッキングを開始します】
…は?
▽▽▽国城の基盤部▽▽▽
「っ!?城へのハッキングを感知!現在ブロッカーによって時間稼ぎを行っています!」
PCが複数置かれた部屋に緊張が走る。
「城へのハッキング」それはそれまでの町、都市、門、砦の「対ハッキング専用システム」を打ち破るか騙さなければ出来ないものだった。つまり少なくともハッキングをしてきた相手はこの国におけるシステムの性能の第二位につけるということだ。
「ブロッカーの制御を乗っ取られます!」
部屋に居た全員が各自のPCに即座に座った。
ブロッカーの制御システムは半自動的に城のシステムが構築するものである。それを打ちやった相手はどれだけの技術を持っているのか。
「この城へのアクセス方法を確認!方法は逆探知です!城がアクセスしたルートを逆探知された模様!」
「ちっ…だから履歴は消せと何ども言ったのに…」
部屋のリーダーと取れる風貌をした男がこの城の財務官達へ怨念を向ける。
「ブロッカー完全停止!これよりハッキングプログラムとの応戦を開始して下さっ!?」
PCの前にいた全員は驚きを隠しえなかった。
なぜこれほどのセキュリティがかかっているのかと。
ハッキングプログラムを前と後ろから崩そうとした彼らの策は打ち破られた。
全ての履歴にブロックがかかっていたのだから。
「情報レベル1に到達されました!」
彼らは必死にプログラムを追いかける。
「レベル1完全にダウンロードされました!レベル2ヘのパスワード流出!」
しかし彼らのPCとそのハッキングプログラムでは差がありすぎた。
「レベル7まで完全にダウンロード!レベル8…9…10!城のハッキング専用迎撃システム解放!」
ここまできたら彼らの出番はない。この国に残されていたシステムの能力がハッキングシステムより優れていることを祈るばかりである。
「くっ…ダミー情報のレベル11カット…」
彼らができる最後の砦は無視という形で崩された。
「レベル12ダウンロード完了されました!全ての情報流出を確認!…」
彼らにはもう見守ることしかできなかった。
「これで引くはずだ。開かずの部屋であるレベル13はシステムさえ開けないのだし」
PCにパスワードの入力画面が表示される。パスワードは0.005秒間に一度変わる10桁のシステム的最難関乱数だった。
「!?」
PCには一瞬で結果が表示される。
マスターキーの使用を確認。封印状態を解除します。全機能解放
「嘘…だろ…」
一人がつぶやいた。
「と、ともかく開かずの部屋の情報が読み取られました!そしてハッキング装置は後退しています!」
「…我々は…何もできないのか…」
リーダーの風貌をした男の呟きが嫌に部屋に反響した。
▽▽▽冒険者ギルド▽▽▽
【ハッキング終了。情報を得たので制限の段階を詳細・分割・分岐しました】
「登録が完了したようですね」
【又、マスターの実力は偽証しています】
…オイ
「これがカードになります」
「あ、はい」
氏名:シンヤ・カミノ
種族:人間 (旧世界ノ人類)
職業:魔法剣士(全て)
レベル:1(58)
体力:1.5(87)
魔力:4.5(261)
力:7.5(435)
俊敏:15(870)
総合値:28.5(1653)
「ギルドカードに表示されているステータスの値を100倍すると大体あなたの力です」
「わかりました。ありがとうございます」
「冒険者登録した時にレベル1なのは全員同じだから落ち込まないでね?」
…すみません、このかっこは何でしょうか?
と聞きたいけどたぶんミノリの仕業と思える。
【その通りですマスター。マスターの最大制限における数値はかっこ内に表示しています】
…は?え、最大制限でこれ?
【もちろんですマスター】
「それにしても…初職業が魔法剣士とは…珍しいですね」
「そうですか?」
「そうですね。大体の方は武道家なので」
「とにかく伸ばしてみます」
「ええ。頑張ってください」
さてと…依頼掲示板見よ。
▽▽▽依頼掲示板▽▽▽
うーん…最初の依頼としてはどれをやろうか…
・ゴブリンの掃討 レベル基準:1~15 期間:無期限
ゴブリンの繁殖力は強力なのでなるべく倒すようにしてください。
一匹につき500円程度です。
・スライムの掃討 レベル基準:5~20 期間:無期限
スライムの分裂スピードは脅威なので討伐してください。
一匹につき100円程度です。
※スライムの核であれば2000円です
・オークの掃討 レベル基準:20~45 期間:無期限
オークの繁殖力は強力なのでなるべく倒すようにしてください
一匹につき5000円
・ケルベロスの討伐 レベル基準:45~60 期間:無期限
見かけ次第討伐してください。危険度の高い相手です。
一匹につき10000円
・グリフォンの討伐 レベル基準:60~80 期間:無期限
災害を引き起こしかねない相手です。最大限の注意を持って討伐してください。
一匹につき50000円
・スケルトンの討伐 レベル基準:80~100 期間:無期限
剣士が最も嫌う相手です。最大限注意してください。
一匹につき100000円
何だろう…雑魚モンスターが強敵に引き上げられてる。
・ドラゴンの討伐 レベル基準:100 期間:二カ月以内
ドラゴンの鱗が欲しいとの依頼です。しかし災害級ですので注意してください
鱗一個につき50000円
おっこれよくね?
よし、これやろう。
「アイナ」
「ん~?」
「これやるわ」
「…え」
ミノリ、ドラゴンを検索してくれ
【承知いたしましたマスター】
一回倒したから大丈夫だろう。
そう思っていた時期が俺にもありました。
第十二話
▽▽▽平原▽▽▽
【弱点の探知を終了。前回と同様の結果を表します】
今は戦闘中…なんだけど…
【ドラゴンの解析を終了。魔道書から出現した類の物と思われます。DNA鑑定をすればさらにわかるとは思われますが 】
…な、なんだってぇ!?
という感じだ。
で、弱点が見つからない。
【ドラゴンの首中央に逆鱗を確認。破壊、断絶を推奨】
…いやいやいや?あの10㎝×5cmの一枚の鱗を壊せと?
【YESマスター】
…やってやろうじゃん。ミノリ、レーザー銃を。
【了解です】
「GYAOOO!!!」
「シンヤどうするのこれ!?」
「俺が銃で迎え撃つからアイナは平原の端まで逃げてろ」
「…わかった。べ、別にシンヤが心配なんじゃないからね!?あの書庫の本が読めなくなるのが嫌なだけだからね!」
…はぁ。
「とにかく逃げてとけ」
「…うん」
…さてと、アイナは逃げたか。
「おい、ドラゴンさんよぉ?タイマン勝負だ。行くぜ」
「GYAOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!!!!!!」
俺の呼び声に答えるかのようにドラゴンが咆哮を天に放つ。
ミノリ、制限を解除。
【了解いたしました。制限解除】
魔法の複合も念頭に置いて戦闘だ
【YESマスター】
トンッ
10mを一気に飛び上がる。
二回目でも慣れないな…
照準補正!
【了解ですマスター】
十字のラインが浮かび上がる。
【真ん中に自動的にあわせますので引き金を引いてください】
ドラゴンは10m飛び上がった俺に気づいていないようだな。
今しかない…か。
ピッ…ピッ…ピッ…カチッ
っ!
銃の砲口に光が収束する。
キィィィィィィィィィン
その高振動が音となって耳に響く。
【発射】
ドンッ
真っすぐに直進した超圧縮光線は逆鱗を貫く。
「GYAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!」
逆鱗から真っ赤な血が逆鱗から噴き出す。
「GURRRRRR…」
ドサリ。
「やった…か。よし」
空中で一回転してトンッと着地する。
風の魔法を使って速度を弱めたのは言うまでもない。
そう何個も何個もクレーターを作るわけにはいかないのだ。
自然破壊はいけない。
「シ、シンヤ大丈夫!?」
「ん?別に問題はないけど?」
「ほんとに…ちょっと見せなさい!」
バッ
上をその場で脱がされる。
「…綺麗…ここまでバランスが均一な筋肉は始めてみたわ…」
「おい…怪我がないか調べてんじゃないのか?」
「はっ!…本当に内臓が潰れたりしてない?」
そう言いながらペタペタと手を密着させられる。
「大丈夫だっての。ミノリが問題無いと言ってるんだ。何も問題ない」
「…じゃあ、あのドラゴン解体しようか」
「あー…拠点に戻ってミノリに解体してもらおうかな…」
【マスター、その必要性はありません。倉庫はこちらと繋がっておりますので】
【解体場が開放されました】
【解体場(最低)→解体場(低)が開放されました】
【解体場(低)→解体場(中)が開放されました】
【解体場(中)→解体場(高)が開放されました】
【解体場(高)→解体場(最高)が開放されました。称号:解体の王者を獲得】
…はぁ?
【とりあえず収納していただけますか?体のどこかが触れている状態で『収納』と言えば収納されますので】
ドラゴンに近づいて…触れて…「収納」
ヒュッ
周りをまわっていたらしい倉庫の出入り口がブワッと広がりドラゴンを飲み込んだ。
「シ、シンヤさん!今のなんですか?」
「四次元時間停止収納分別魔法」
「…なんですかそれは」
「ミノリに後で聞け。説明できるのはあいつだけだ」
「…ちなみにドラゴンはどこへ?」
「拠点にも出入り口があるから拠点で解体されてまた倉庫に入る」
「…凄いですね」
「魔法が無いと話が進まなかったけどね」
「…でも凄いです」
「…俺と言うかミノリが凄いというか…」
「ミノリを使役できるシンヤさんが凄いんです」
「…そうかぁ?」
「はい!」
「…とりあえず町に戻って鱗を提出だな」
「ですねー…報酬がおいしそうです…」
小声で何か言ってない。アイナは何も言ってない。…そのはずだ。
【アイナは『報酬がおいしそうです』と発言。すでにシンヤに依存していると思われます】
ヤメロォォォーーー!!!
第十三話
▽▽▽冒険者ギルド▽▽▽
「ん、依頼を受けにきたんですか?」
「あー…依頼を受ける前に依頼内容を達成したので」
「別に良いですよー…で、依頼は?」
「あ、これです」
「…えっと…ドラゴンの鱗回収…ねぇ…ドラゴン?…ドラゴン!?」
「ええ。まぁ」
「…ちょっとあなた何を考えているの!?ランクは!?」
冒険者にはレベルと共にランクがつけられている。
「あ、Jです」
「J!?BとかCじゃなくてJ!?あなた何を無謀なことをしているの!?」
「えっと…鱗出したいんですけど」
「…出してみなさい。どうせ下級ドラ…ゴ…ン…」
信也が出したのは虹色の鱗だった。
▼▼▼受付嬢▼▼▼
え…
私は固まった。
レベル1~7までのJ級の人間が狩れるはずがない災害級ドラゴンの一種。
虹地竜
その名の通り鱗は虹色に輝きその強度は魔法金属どころか、魔力金属さえ傷をつけることができない。
唯一の攻撃方法は鱗の中で最も弱い(と言っても魔法金属で砕けるかどうかだが)逆鱗を破壊して内部をかき回すくらいだ。目さえ鱗の鎧がある。
もちろん逆鱗と呼ぶからにはドラゴンも逆鱗を破壊すれば怒り狂うし、ブレスの力は一層強まる。
そんなドラゴンをこの青年は倒したと言うのか?
「ちなみにパートナーは居ますか?」
「ええ。魔法使いですが」
魔法使い。
廃れ始めている職業。
確かに魔法使いが居れば逆鱗を壊すことはできるだろう、範囲攻撃によって。しかし…もう一度言うが逆鱗を破壊されたドラゴンは凶暴化するのだ。魔法使いたからと言ってそれ以上の成果は見込めない。
「…鑑定を行いますので少々お待ちいただけますか?」
「あ、じゃあ鱗全部出しますね」
ジャラジャラと無造作にカウンターにばら撒かれる鱗。
ああ。はぎ取るわけではなく倒したのだ。この青年は。
この時だったのかもしれない。この青年―――カミノシンヤに恋をしたのは。
「わ、わかりました。ではそちらの席にお座りください」
▼▼▼信也▼▼▼
よいしょ。
いやーさすがにJランクの人間が竜狩ってくるとは思わなかったんだろうなぁ…
「おい、兄ちゃん」
「ん?」
顔を上げると厳つい顔して傷が複数出来てる不良みたいなのが目の前に。
「あのドラゴンの鱗まだ持ってんだろぉ?だったらくれよ」
「…自分で狩ってこい」
「あぁん?」
「依頼適正レベルじゃないか?あんた」
「うるせぇんだよ!」
【敵対行動とみなします。時間感覚を引き延ばします】
ドロリ
時間の感覚を引き延ばされる。何度訓練してもこれはなれない。
それはともかく…どうしようか?とりあえず腕を捕まえて…
ゆっくりと体を動かす厳つい…もういいや。不良で。不良が殴ってきている腕を捕まえて腹に足を持ってきて…
【では時間感覚を戻します】
ドゴォッ
「ふー…ん?どうかしました?」
周りが唖然として俺を見る。
「あ、あんたそのレベルでどうやってあのバッゲスを吹き飛ばしたんだぁ!?」
「そう?かなり弱かったけど。雑魚」
周りにドン引かれた。
「あ、あんたレベル1だろぉ?」
「幼少のころからの訓練と修行と実戦経験の賜物だ。レベルは関係ないだろ」
ないない
周りの目がそんな感じになっている。
「そうか?」
「だ、だって…おかしいだろ」
「うーん…」
「シンヤさーん、鑑定終了しましたー」
「あっはーい」
▽▽▽受付前▽▽▽
「シンヤさん。ありがとうございます」
「?」
「いえ、ギルドでもあの方の処遇を考えていましたので」
「あー…良いですよ。なんとなくイラッと来ただけなんで」
「…えっと…申し訳ないんですが…弁償代…」
「今回の依頼の報酬から弁償代全額払えますか?」
「払えるも何も…余る余らないどころか報酬に傷さえ付きません」
「じゃあ報酬から差っぴいといて」
「はい。ではこれが報酬となります。白金貨20枚と金30枚、銀30枚です」
カウンターにジャラジャラと置かれる貨幣。
そう言えば貨幣の価値について全然説明してなかったな。
銭貨=1円
銅貨=50円
銀貨=500円
金貨=5000円
鉄貨=50000円
魔貨=500000円
聖貨=5000000円
白金貨=50000000円
こんなところか。王貨とかもあるけど国家予算単位だし。
ちなみに物価はかなり安くて鉄貨一枚で四人家族が一年暮らせる。
「収納」
フッと消える貨幣。
「えっと…」
「収納の魔法です。人に教えるつもりはありませんが」
「…そ、そうですか…」
彼は町の住民にこう呼ばれる。
「町の英雄」
次章へと続く。
神の国~伝承の科学~ 第一章:伝承の始まり
第二章URL→http://slib.net/19912