時間の停まった世界で、誰かがぼくを呼んだんだ。

呼吸することをおそれて

痛みに慣れることを覚えて

動かない時計の針を追いかけて

やまない雨のしずくを数えた


指先のぬくもりを忘れて

触れていた記憶を閉じ込めて

ガラクタの宝箱に手を伸ばして

消えてしまった鍵をさがした


見つからないことを願って

誰に願ったのかも忘れて

追いかけてきた誰かの声をきいて

はねる心臓が涙した

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-31

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted