火車
火車
1992年宮部みゆき著
これは読むのに非常に時間がかかった。
古い作品ということもあるけど、シビアな話なので、読もうという気になかなかなれず。
途中で他の本に浮気すること多々。
友達から借りた本なので、なおさら後回しに。
本好きの友達がいるおかげで、有名な作品はだいたい借りられる。
本を買うことは私はしないんだけど、友達は文庫を買うのが趣味なのだ。
私は図書館で本を借りることがしばしばある。
というか、ロジック雑誌以外ほとんど買わないですよ。
お金の無駄というのもあるけど、家の中が本で侵食されるのが我慢ならない。
めったに本を捨てるということをしないので、逆に本を買うことを止めたのだった。
最近気付いたけど、私は本を捨てることがつらいのかもしれない。
せっかく愛しく保持した本を、わざわざ本屋で買って読んだ本を捨てるなんてひどすぎる。
長の年月一緒にいた奴らを手放すのが惜しいのだ。
この作品は自己破産とクレジットローンを題材にしていて、消えた女性を探すというのが主な内容です。
主人公は休職中の刑事で、小学生の息子がいて、奥さんは他界しています。
そこにある一人の女性を見つけ出してくれという依頼が舞い込みます。
そしてその女性を探す過程で、悲惨な事実が次々と表面化して…という展開です。
内容はミステリーではないですね。
謎解きの形はありますが、犯人とかの概念がありません。
そもそも、悪人が出てきません。
淡々と現実のように進行していきます。
ミステリー好きの私としては物足りない感じ…。
現代ものなので、リアルさを追求してるあまり、楽しさ、エンターテイメント性が若干減っている、犠牲にしている感があります。
ただ、文章の読みやすさ、展開のうまさはさすがです。
最後の、消えた女性に迫る展開は思わず引き込まれました。
読ませますねぇ~。
まぁ、そこに至るまでは退屈でしたけどね(笑)。
クレジットローン破産を題材にしたのはおもしろかった。
けど、知らないことはあまりなかった、かな。
今の時点でこんなに有名になっているテーマだと、さすがに古さを感じずにはおれない。
現代ものの宿命かもしれない。
宮部さんの時代劇が好きなので、この本を読んでみたわけだけど、やはり私は時代劇の方が好きかもしれない。
ただ、この作品は大昔に本屋で手にしたことがあり、最後まで読んでみたかったという希望があったので、読めて良かった。
次は「桜ほうさら」とか読みたいですね。
ピンクの表紙が可愛かったので。
火車