第二の人生の始まり~第1話
第1話、になります。
第二の人生の始まり~第1話
「(・・・あれ?)」
六花は、少し戸惑っていた。
待ち人が、約束の時間になっても未だに来ないのである。
ちなみに、「六花」というのは、所謂ネット上でのHNであり、本名では無い。
ただ、この小説を綴るにあたり、本名を別に書くことにあまり意味を感じないので、「六花」で綴ることにする。
・・・そう、お気付きかもしれないが、待ち人の相手は、ネット上にて知り合った、見知らぬ人。
Skypeでのプロフィールにて、生年月日や住んでいる地域は知っているが、実は性別は特に明記されていなかった。
ただ、一人称が「私」であること、ネット上にある、とあるサイトでのお喋りの場での振る舞い方や口調が中性的であること、後そのサイトでの遊び方に女性らしさを感じたことから、六花は勝手に「女性」と思い込んでいた。
そんな相手から、そのサイトでのお喋りの場にて昨日、「明日の昼に、サイトで遊ぶのに必要な書物の購入に付き合って欲しい、後時間があれば、とあるアニメを実写化した映画を見に行こう」と誘われたのである。
・・・実は六花は、後程詳しく述べるが、所謂「引き籠り」であった。
なので、昨日の時点にて、勿論今日の予定など、無かった。
ただ、やはり「引き籠り」であったので、「歳下の女性」と会うのは、気が引けたのである。
なので、その場では即答は出来ず悩んで居たら、「無理は言いませんので」と言われ、その場は別の話題へと移って行ったのである。
・・・暫く時間が経過して。
六花は、何となく、「会ってみよう」、と思ったのである。
相手は女性だし、一日くらい映画を一緒に楽しむ位、いっか。
そんな軽い気持ちにて、既にコンタクトを取ってあったSkypeにて、「彼女」=「二条」さんに、話し掛けたのである。
・・・実はコンタクトは取ってあったが、Skypeにて話すのは、最初にコンタクトを取った時の一回以降は初めて、であった。
・・・それくらい、あまり興味があるともないとも言えない相手。
六花にとって二条さんは、そんな存在であった。
「済みません。」
『あ、はい。』
「先程の件、なのですが。」
『・・・あぁ、明日の話、ですね。』
そして、今日、午前11時に秋葉原駅の改札口にて会うことが、とんとん拍子にて決まったのである。
連絡の為に、携帯の電話番号を交換した後。
『では、明日、宜しく御願いしますね。』
「わ〜、私おばちゃんだけど、許してね〜w」
・・・六花は当時26歳になったばかり。
相手が23歳と明記されていたので、やはり気が引けたのである。
「では、明日。秋葉原にて。」
『・・・』
それでSkypeでの会話を終了させ、六花は早速準備を軽く整え、寝たのである。
・・・翌朝。
少し若造りをして、六花は秋葉原に向かったのである。
早めに着くのが六花の癖であり、15分前に約束の場所に着いたが、やはりそれらしき女性は居なかった。
そして、約束の時間になり、約束の時間が5分位過ぎた頃。やはり六花は不安になった。
「(・・・やはり、来ないのかしら・・・?)」
辺りを見回しても、誰かを捜している風な女性は居なかった。
少し戸惑っていたところに、携帯の着信。
携帯に目を向けると、二条さんからの着信であった。
「(あ、良かった。)」
そう思い、携帯に出る。
「もしもし。」
そう告げると。
『六花さんですか?』
「・・・え・・・?」
・・・六花はビックリしてしまった。
二条さんからの着信。それに出て聴こえて来る声は紛れも無く。
・・・声が低めの、「若い男性」の声、であった。
六花は慌てて、振り返る。
すると、六花とは反対方面を見ながら、誰かを必死に捜す、背の高い若い男性の姿があった。
『えっと、今どこに居ますか?遅れてごめんなさい、実は・・・』
「今、後ろに立っているのがそう、だと思いますよ?」
・・・二条さんは、振り返る。
背が低い、童顔の女性である「六花」。
背が高いがやはり若さが感じられる男性である「二条」。
・・・お互いを認識した際に、双方に電撃が走ったのをお互いが知ったのは、翌日の話になる。
・・・こうして、「異性の二人」は、出会ったのである。
第二の人生の始まり~第1話
第2話以降も、宜しく御願い致します。