女性手帳

女性手帳と、現代社会が抱える女性の子育てについての問題を書かせて頂きました。
これから人生を考える時期に差し掛かる青年の方に対してだけではなく、今の少子化対策を叫ぶ社会に疑問を持たれている方への1つの私からの提起としての随筆です。

女性手帳から見えたもの

10代の全女性に対し、女性手帳を配布するという案が提唱された。
現代の日本における少子化対策の一環としての提案だ。
内容としては10代から体のことを知り、30代前半までの出産が望ましいというもの。
しかし、この女性手帳配布案は当面見送りとなったわけだが。

正直な話、女性手帳配布案は呆れた提案としか言えない。
晩婚化と晩産化、出生率の低下という現状の危惧から出た案ではあるのだろうが。
ちなみに2011年の出生率は1.39という統計が出ている。
だからといって女性手帳を思春期の頃から配布し、出産すべき年齢まで決め付けるのはどうかと考えてしまう。
結婚や出産はあくまで個人の問題であり、自分で時期を決めるものではないだろうか。
中には結婚や出産を望まない女性もいるだろうし、実際出産してもそれが原因でパニックなどを起こして満足な子育てができない女性もいるだろう。
そういったことも考えずに安易に出産を啓蒙させるような手帳を配布するのはおかしいし、個人の意見を尊重していないようにも見える。
いくら少子化問題を抱えているからといって、個人の人生に国が介入すべきではない。
そもそも少子化を招いたのは国の方ではないかと私は思っている。
女性が子育てをしやすい環境を作ってこなかったのが原因ではないかと。
保育所の待機児童がいい例である。

保育所定員数に対し、全保育者対象の割合は約9割ということはご存知だろうか。
つまり、保育所を必要とする児童に対して保育所の方は余裕があるということである。
単純に考えれば希望すれば全員が保育所に入れるという計算になる。
では、何故待機児童が出てくるのか。
ここからはあくまで「全国」と「認可保育所」を前提として話を進める。
待機児童の大半が0~2歳児の乳幼児であるのだが、受け入れられにくい理由としては保育所側の問題が絡んでくる。
乳幼児に対しての保育士の必要人数は、0歳児は3人に1人、1~2歳児は6人に1人というのが大体の目安である。
つまり、乳幼児を預かれば預かるほど保育士の数が必要となるわけだ。
しかし、肝心の保育士が不足している。
重労働でありながら給与が少ないという待遇面での問題が大きいが、社会福祉法人への国からの補助だけでは待遇改善が難しいという現状もある。
職業選択として保育士を考えにくい環境が保育士不足を生み、結果乳幼児の受け入れが難しくなるということだろう。
ちなみに3歳児以上になると、10人、20人単位で1人の保育士の需要になるので、比較的受け入れられやすく、幼稚園という選択肢も出てくるので、待機児童という問題はほぼ解決する。

女性の社会進出と核家族化が進む現代では、いかに女性が安心して子育てをできるかが大きな課題だろう。
しかし、それを女性に一方的に背負わせるということがおかしい。
男性にも必要な問題でもあるのだから、共に考える場が必要なのではないだろうか。
そして、女性の望むライフスタイルの中で自然に妊娠・出産・子育てができる社会を作り出すべきである。

女性手帳

女性手帳

女性手帳の配布案とその見送りから、社会における女性の出産・子育てにかかる問題を書かせて頂きました。 自分の人生を考え始める時期になると女性なら誰でも考える子供のこと。 そこにある社会の壁というものへの1つの提起としての私の考えです。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2013-05-29

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