夢三夜
本来は脈絡がなく、繋がらないものを題名とチャプターという形式の力で繋げてみました(笑)
こんなのもいいですね。
第一夜
中学の同級生が目の前に立っている。私の家の和室の上に我々は立っているらしい。と、その瞬間彼女がこちらへ一歩二歩近づいてくる。驚きつつ、私もベストなタイミングで彼女を迎え、完璧に調和したタイミングで抱擁を交わすー脳裏によぎるのはもちろんー暖かで柔らかい女の身体の感触が伝わってきて、ああ、そうか。僕らは付き合っていたのだ。と気がつく。彼女と見つめあって見つめあって就寝していた。
覚醒し、「夢だったか。」と布団を脱ぐと、なんと中から彼女がでてきた。ああ、違ったのだ。それにしてもかわいい。名前が脳裏をかすめる。ああ、そうかこれから2人で文化祭に行くんだった。それが終わった暁には、キスがしたい。これから始まるのだ。
第二夜
泉の前に立った虎が、なにも言わずにこちらをみている。私はそれを見つめ返しつつ、3歩後ずさる。逃げてはいけない。逃げたら追ってくる。そんなことが頭をかすめ、動く名動くなと手足に念じるが、どうにもそうはいかないらしい。思えば、もとより手足は念じるから動くわけではない。周囲に気配が漂う。私はなにと対峙しているのか?よく見れば虎もどこか怖じ気づいているように見えないこともない。なんなのだろう。なにがいるのかわからない。脳髄に死臭が充満し足下の様子すらおぼつかない。私の足は後ずさるのを止めた。虎が後ずさる。私はそこにぽつねんと立ち尽くしていたが、一瞬の静寂の後、虎は満天の星空のふりをしていた虚空へと吸い込まれていった。
第三夜
「こっちにきてよ」と彼女が言う。「そっちに行くよ」と答える。足を踏み出しそっちへ向かうが「どっちに行ってるの?」と声がする。「いってるよ?」と私はムッとする。「なにを怒ってるの?」怒りたいのはこちらなのに、といった声色だ。困ったものだ。多くの大気が渦巻いており、轟音がとどろいている。後少しで私たちの会話も遮られてしまうほどだ。それでも私は彼女に話しかけ、コンタクトをはかっているようだ・・・が。なんなのだろうか。
あたりが暗くなる前に私は彼女の膝元へとかえっていかねばならない。その思いが脳髄をかけ巡り支配している。いつかこんなことがあっただろうかと自身に問いかけるが、しかし彼女がまた催促するので、私に考えている暇はない。歩けば足下の暗黒が一瞬大気の層として凝結し、歩行は不可能ではない。歩行でない歩行を繰り返しながら、私はただたゆたっていたようだ。
夢三夜
次回は五夜分くらい投稿します。よろしくお願いいたします。