廃墟の東京で


21世紀末に勃発した核戦争は、地球全体を焦土に変えた。
地球は人類が生存不可能な高熱と高濃度の放射能が蔓延する世界となった。人々は地下シェルターに逃れ、そこで生活することを余儀なくされた。

 核戦争から200年経過した今でも人々は地上を嫌い地下での営みのを続けその中で生涯を終えていた。
それは日本 東京もその例外にもれず、地上は放射能と突然変異の生物達が闊歩する世界となっていた。しかし世界でもっとも発達した地下鉄網を持つ東京は核シェルターから少しずつ地下鉄網を利用して人間の生活圏を広ろげて行った。

 かつて秋葉原、上野、神保町といわれるエリアは、それぞれを地下鉄路線でつなぎ、交易をすることにより関係を強化し、東京北部商店街同盟を結成していた。それぞれ上野は雑貨、食料品、軍隊からの流出品(銃火器など)、秋葉原は電子機器、レーザー兵器、デジタルデバイス、神保町は書籍、デジタルデータ、そしてこの時代の大学とも言うべき研究組織を要していた。そして地域を防衛する自警団を持ち、合同で突然変異の生物や、強奪目的の武装集団と戦闘をするうちに共同軍ともいうべき軍隊を持ち、1つの勢力をなしていた。

 深海は、上野の中島商店の店先を冷やかしていた。中島商店は、太平洋戦争後の闇市の時代から商売を続けている店で、軍からの流出品を扱っていたが、戦後もその伝統を引き継ぎ、核戦争前には違法であった拳銃、ライフルなどの銃火器を扱うようになっていた。上野の町が現在の形で防衛組織を持つに至ったのも中島商店の自衛軍及び在日米軍とのつながりによるものが大きい。深海は新しく入荷された商品を見ながら、ふと気になる話を耳にした、北部商店街同盟の2人連れの兵士の話である。
「上野居住地区の北の元政府機関の建物にどうやらあたらしい武装集団が住み着きつつあるらしい」
「しかし防衛を主としている自警団が向かうのは、あまり向いていないな。」
「ただしその武装組織というのもいまいち性格がわからない、よくわからないという理由で殲滅というのもどうなのか、、、、」
といった会話がされていた。
そして最後に
「どうやらその件に関しては、調査をする人間を募るらしい」と最後に聞こえた。

「良い話をきいたな、、、、」
深海は中島商店の店先でようやく来た転機を感じながらつぶやいた。

 深海は15歳の時に自衛軍(旧自衛隊を主に在日米軍と合併してできた軍隊)に入隊し、その後、武装勢力掃討を主任務とする部隊を経て、対スーパーミュータントの特殊部隊に属していた。はじめは前衛で、パワースーツを着て、ガトリングマシンガンをぶっぱなしていたが、その後は、狙撃の腕を買われ、後衛としてアンチマテリアルライフル(対物ライフル)でスーパーミュータントの急所を狙撃する役割を与えられた。その役割を1年ほど続けて、ある種の諦観と悟りを得て、自衛軍を除隊した。その後は、自分の生まれ育った神保町を含む北部商店街同盟軍に属し、新兵の訓練にあたる教官を勤めていた。しかし本人もそろそろ転機をもとめていた矢先の話であった。

深海は北部商店街同盟軍の窓口とも言うべき、販売センターを訪れた、自衛軍を除隊してはじめて同盟軍に訪れ、職を求めた時もこの場所を訪れた。今は教官の立場なので、受付にいる従業員も含め皆、顔なじみである。
「深海、どうした、、、また銃マニアのお前らしく新しい拳銃でも探しに来たか、、、」
人の良い笑顔で今石が話しかけてきた、
「おお、、久しぶりだな。しばらく見なかったが。。」
「実は、中島商店がAKのコピー品を自社生産するということで商品の性能査定や、購入契約の策定か何かをやっていた、、、まあ久しぶりに事務屋の仕事さ、、、」
今石は、販売センター所属ながら民間企業との協力による武器開発や新規購入ルートの開拓。また自衛軍からの供給物資の管理なども受け持っている。同盟軍も軍といえども自警団の大きくなったようなものだから、さまざまな業務を兼務してこなしていく必要がある。民間の組織や賞金稼ぎへの依頼を出すのもこの部署だ。
 2、3お互いの近況報告をしたあと、深海は本題を持ち出した。
 「なあ、上野居住区の北に現れたという武装集団について知らないか、、、」
今石は、意外そうな表情で言った。
「そんなことお前が気にしてどうするんだ、、、まあそのうちこちらに具体的な情報は降りてくると思うが、」
深海は理解されないだろうという思いと持ちながら、ぼそっと言った。
「賞金稼ぎをしたい。」


今石から細かい情報を聞き、同時に現在の上官に現職から外れたい旨を告げ、深海は依頼を正式に受けた。立場としては、元同盟軍所属の賞金稼ぎだ。まあ言ってしまえば所属をはなれフリーになったということもできる。
今石からはなされた依頼内容は、、「見張り」である。
現状のその組織の性格がわからないというのが理由だ。1週間の期間を与えられその期間に起きた出来事を報告するという任務だ。
 まあなかなか防衛を主とする同盟軍には馴染みのない任務だろう。また性格がはっきりしない以上自衛軍に協力依頼を出し殲滅というのも微妙な話だ。
 手始めに例の武装集団のアジトの周辺を探索することにした。この頃、JR上野駅は、フェラルグールの巣と化していた。また上野公園や不忍の池周辺は突然変異の動物に占拠されており、人が入って行ける場所ではなくなっている。突然変異の動物は上野動物園から逃げ出したものの子孫であるとも、東大工学部、農学部などで使われていた実験動物の成れの果てとも言われていた。周辺は大型の建物以外は崩れがれきの山となっており、遠景からは、がれきの山の中に ポツリ、ポツリと高層の建物が残っているというような景色である。
 深海は上野居住区の北端であるヨドバシカメラビルの脇からバリケードをでて旧JRのガードをくぐり、旧マルイのビルを横目に首都高速のしたをくぐると目的の建物が見えてきた。
そこにたどり着くまで凶暴化した野犬(若干突然変異)3匹の脳天にアサルトライフルで銃弾を撃ち込み、突然襲ってきたグール1体の首をコンバットナイフで切り裂く必要があった。
上野居住地区から1Km以内の場所である。
 「場所としては、ちょっと近すぎるな、、」
いくら武装集団とはいえ、同盟軍を正面から受ければひとたまりもないだろう、
敵対するつもりはないのだろうか、、、

 JR上野駅のロータリー上の歩道橋から工事用に組まれた簡易な足場を伝ってどうにか旧首都高速の上にでてそこから目標の建物を監視を始めた。彼らが根城としているのは旧台東区役所庁舎である。旧浅草街道からは崩れ果てた上野警察署の建物が邪魔をしており見通しが悪くなっている。
見張りは前面の通りに2人のみそれぞれAK47を抜身でもってぶらぶらしている。
見た感じジャンキーではない。装備も武装してはいるものの特にアーマーの類を着込んでいるようでもなかった。
 「元商人の強盗団か?」
おそらく自分たちが襲撃を受けるとは想像していないのだろう、、、

はじめの2日は大きな動きはなかった。見張りが三交代で常にいることと朝、昼、夕方の決まった時間に4人ないし5人の男が出たり入ったりしていることがわかった。そして三日目動きがあった。
いつもとは違う時間に4人の男たちが2人の女を抱えて、建物に入っていったのだ、残りの一人が積荷を積んだ馬を引いてきた、、、抱えられた女は手と足を縛られた状態でさるぐつわをされ、逃れようともがいているが男たちは気に止めることもなく2人ひと組で女を抱え上げ建物に入っていった。積荷をおろし馬をつないで残った一人の男も建物の中に入っていった。
深海は「強盗、人さらい、、、おそらく南千住の隅田川貨物駅跡地のトレインシティーあたりから来た隊商を襲ったんだな、、、」と一人納得した。
 そして2日後今度は浅草通り側から女を抱えて強襲部隊が帰ってきた、今度は馬2頭と荷車付きである。
、、、、今度は、墨田公園居住地からの隊商を襲った、、、
どうやら上野・秋葉原・神保町の北部商店街同盟領内へ荷物を運んでくる隊商をターゲットにするためにこの場所に根城を構えたことがわかった。積荷は地下都市で売りさばき、女たちは奴隷市場で捌くのだろう、、、、
 まあ報告ができる材料は揃った、、、、。そして同盟軍の販売センターへ報告に帰ろうとした時ふと、小道をはさんだ反対側の上野警察署の6階あたりから区役所側を覗いている人物を見つけた、、、、どう見ても、強盗団の身内ではない、、、、自衛軍の軍服と思われる、服装とサングラスをかけていた。窓からしたを覗いている、、おそらくしたからは見えない角度だ、、、たまたま首都高速の上から見たからみえたのだ、、、、

 強盗団を見張っていた人物を追うことにした。夕方日がくれる頃に例の人物も町へかえるようだった。監視をしている窓から離れ数分で浅草通り側に出て早足で上野居住区へと帰って行った。町の北端で門衛に挨拶をし町の中にはいる際に一度見失いそうなったがそのあとは危な気なくあとを追うことができた。
その女は、居住区内を迷うことなく進んで行った。もう何日もこの区画を通っているという足取りであった。 その後、JR上野駅と御徒町駅の間の高架下へ入っていき商店と商店の隙間にできた小道を通り抜けた。その途中で地下へと続く階段をおり、あるバーへと入って行った。深見は、尾行がばれていてバーの中で他の仲間と共に待ち伏せているにではないかと感じたがバーの中から聞こえてくる賑やかな声と笑い声を聞いて大丈夫であろうと感じた。外見はバーだが実状は、飲み屋だ。メニューは、一般家庭で出されるような食事と簡易的な設備で作れる自家製ドブロク(にごり酒)である。店内は狭く。マスターがいるカウンターと反対側には4人掛けのテーブルが3つ並んでいた。女は、店内を見渡せる一番奥のテーブルに一人で座っていた。カウンターではマスターを中心に常連が酔っ払って馬鹿騒ぎをしていたが、その集団を全く無視するような態度で一人しんみりとドブロクをロックで舐めていた。深見はわざと女が座っているテーブルの手前のテーブルのに女と向き合う形で座った。深見が席に座ると愛想のいいマスターが注文を取りにきた「酒は何があるんだ?」「自家製のドブロクです。ウイスキーや日本酒はもう手に入らないですね。」「じゃあそれをロックで あと何かすぐできるつまみを」注文を終えてしまうと手持ち無沙汰になったまあ丁度いい。たまたま入った店で男が話しかけるような感じで声をかけることにした。「姉さんここにはよくくるのかい?」女は薄暗い店内二もかかわらずサングラスをしたままだ。話しかけても店の他の客が警戒をした様子もない。おそらく大丈夫だろう、、、、マスターがつまみと酒をもってくる。特に変わった様子もない。女は「いいえ。ナンパなら間にあってるは、、、、」
と言い放った。軍事作戦中の兵士のような印象だった「大丈夫だ、、、、」ボソッとつぶやいて酒とつまみを持ち女のテーブルに移った。マスターはチラッとこちらを見たが、他の客は何の反応もなく馬鹿話を続けている。深海はさっきまでと表情を変えて聞いた。
「時間は取らせない、、、なぜ台東区役所の奴らを見張っている。」
サングラス越しでも相手の目付きが変わったのがわかった。女は音もなくテーブルの下で銃口をこちらに向けていた。「誰?」深見「おそらく敵ではない、、、、」 いきなり撃たれることはないだろう、、、居住区内をで騒ぎは起こしたくないはずだ、、、女は自衛軍の軍服をきていた。まだ軍服はそう疲れてはいない。まだ除隊して間もないと思われた。女「何が目的?」深海「調整と確認だ」
女は銃口を向けてままだったが、深見はなんの躊躇もなく手に持ったグラスを舐めた。深見「確認と調整に銃は必要ない。下げてくれ。」
少し間を置いて、、
深見「こちらは同盟軍の指示で動いているあんたは、、、」女「誰の指示でもない任務ではないわ個人的な問題よ。」深見「細かいことはいいが何が望みだ。」女「強盗団の壊滅」深見「なるほど、、、、」深見は女と話を続けた。女は元自衛軍の第13小隊の出身ということだ。この小隊はもともと内閣情報調査室の直属の暗殺部隊とも、陸軍の特殊部隊が前身であるとも諸説あった。武装集団の殲滅を主任務とし、その手段は、少数潜入と暗殺である。
 女は、元々孤児で自衛軍内の施設で育った。こんな時代の施設であるから教育も子供らしい遊びもなく。銃弾の入っていない銃と訓練用のナイフをおもちゃがわりに育った。施設内の子供達はほとんど軍関係の職務につくのが自然の成り行きだが彼女は暗殺の才能を買われて第13小隊に配属された。この部隊は「死神」と恐れと畏敬を込め呼ばれている。
 この部隊の兵士のであればナイフ1本で5、6人くらいの小隊を全滅させることは日常的なことらしい。らしいというのは実際に暗殺を得意とする部隊はあまり表立った動きを見せないので同じ自衛軍内でも知られていないのである。女は「強盗団の壊滅」が目的で報酬はいらないと言った。
 深見は少し考えて、、共同作戦を提案した。お互いの目標を達成するには別々に行うより協力したほうが良い。また一気にカタをつけなければ気づかれて逃亡されてしまう、、、、女はあまり乗り気ではなかったが、応援がなければ目標を取り逃がすということは察していたらしく渋々頷いた。「よし。遅くなったが深見だ よろしくたのむあんたは、?」「藤田よ。よろしく」

 藤田は結局サングラスを取らないまま会話を終えた。3日後に同じ場所で同じ時間に落ち合うことにしその場を離れた。次の日の午前中に販売センターの今石を訪ねた。強盗団の現状を報告し、殲滅の依頼を出して欲しいということを話した。同盟軍内で処理するとしたら20名程度の人員と相手を圧倒するだけの火器が必要となるが、こちらに依頼すれば腕利きの暗殺者1人(しかも無料)とスナイパー兼暗殺者見習いの深見+手伝い2名程度でかたがつく。このメリットは大きいはずだ。具体的な報酬の話までこの時点でした。同時に供給して欲しい武器や弾薬、その他装備の話をした。 結論は上長の決済がいるといことで改めて連絡を取るということにし、その場を離れた。午後から改めて強奪団のアジトへ行き、今度は、襲撃部隊の様子を見ることにした。各自アサルトライフル(おそらくAK47とその模造品)を持ち4人から5人程度のグループで出かけていた。この人数で奇襲をかけられたら、強力な護衛を連れていない限りは、ほとんどの隊商は白旗を挙げざるえないだろう。行動パターンも決まっており午前中が浅草通り側で浅草からの隊商を狙い。午後からは千住方面からくる隊商を狙っているようだった。午前午後で強襲部隊の面子が変わり同時にアジトの見張りをする部隊がいることを考えると人数は15から20人程度と思われた。強襲部隊は獲物によっては深く追い込んでアジトに帰る時間が遅くなることもあるようだった。 3日後 今石から正式な依頼が出された。依頼内容は「強奪団の殲滅」支給品(あくまで軍から貸すという形だと念押しされたが、、、、)は狙撃用のスナイパーライフル1丁潜入時の消音器付きのMP5×2丁 M92Fベレッタ×2丁そして軍からの応援要員として歩兵が2名と馬1頭(荷車付き)がつけられた。深見の要求通りであった。例のバーへと向かった。藤田は前回と同じ場所でドブロクをすすっていた。深見は「あんたの望みを叶える下準備はできたぜ。」と話しかけた。藤田は相変わらずくらい店内でサングラスもとらないまま答えた。「作戦を聞くわ」深見は支給品の話からはじめ大まかな作戦概要を説明した。また潜入時の動きに関して入念に打ち合わせをした。それから2日後計画は実行に移されたさて午前中に浅草通り沿い巡回する強襲部隊を襲うことにした。午前10時ごろに通りかかった3人連れの隊商をターゲットに強奪団は強襲をかける段取りのようだった。 強奪団が陣取っている場所の浅草通りを挟んだ向かい側のビルの屋上に陣取りタイミングを見計らった。一方、藤田は強盗団の近くの物陰に潜んでおりタイミングを見計らって、強襲することにしていた。浅草通り沿いを一群の隊商が通りかかった。護衛は2名、強奪団は横方向と後ろ側から襲撃をした。AK47で十字砲火を浴びせた。護衛も不意をつかれ狙いが定まらないまま応戦するのがやっとであった。このままでいけばいつも通り獲物を得られるはずであったが、その時不意に後方から襲ったグループの1人が頭に銃弾を受けて倒れこんだ。続いて2人目。それを見た強奪団のメンバーは襲った相手以外の待ち伏せを受けていたと悟り後退をはじめた。しかし彼らが隠れようとしていた場所には藤田が配置についており、物陰に入る直前でヘッドショットをされ彼らは全滅した。隊商の護衛と商人から礼を言われたが藤田は「自衛軍の任務よ」と言っただけだった。自衛軍から借りた2名の兵に強奪団の死体を片付けさせ。午後グループが向かうであろう昭和通り側へ移動した。2時間ほど待ったあと、千住方面の担当のグループがアジトから昭和通り沿いに出てくるのが確認できた。それから2時間ほど経って2人連れの旅行者が通りかかった。2人連れは旧高速道路の下を馬を連れて歩いていたが、その様子を強奪団のメンバーは物陰から伺っていた。それを襲うようだった。
 横と後方から襲撃を受けた旅行者はあっさり倒されてしまい。守ることはできなかったが、旅行者の死体をあさりはじめた時に2人を狙撃 3人目に重症を負わせ残りを藤田の待ち伏せで始末した。これで10名強奪団始末したことになる。先ほどと同じく2名の兵士に死体の始末を任せた。(おそらく上野駅構内の突然変異生物に食わせるのだろう、、、)
 旧高速道路の上からアジトの監視にはいった。本当に注意深いリーダーであればこの時点で撤退するとか、応援を呼ぶなどの何らかの手を打つだろうという気がしていたが、、、アジトの外側では変わった動きはなくただただ日常的な見張りが続けられていた。死体の片付けを任せた兵士に見張りを代わってもらい。深見は藤田と夜中の潜入に関しての最終確認をした。手元には神保町の情報屋から仕入れた旧台東区役所の内部図面を持っている。神保町はこの頃 核戦争前のデータベースを探すことのできる情報屋がいた。彼らは各地で拾い集めてきたパソコンのハードディスク内のデータを漁り有用と思われるものをパッケージ化して販売している。区役所などの図面や公的な記録はかなりの割合でサルベージされていることが多かった。同盟軍経由での依頼なのでスムーズに情報が提供された。さて夜を待った。午前2時より決行である。
建物内には最大15名程の敵がいると思われた。
建物として利用しているのはせいぜい3階から4階程度だろう。
軽い仮眠を取り、時間がきた。
インかむで連絡を取りつつ、2手に別れる。暗闇の中で暗視装置をつけて静かに近づいた。
深見は高速道路道路側から藤田は浅草方面側から襲撃することにした。入り口には見張りが2名お互い正面を向いたままだらしなく木製の粗末な椅子に座って見張りをしていた。入口の部分には裸電球が1つだけつけてあるだけでほとんど前方を見張ることはできなかった。
藤田はより「3、2、1で自分に近い方を撃って、、、、」
「3、2、1」「パシュパシュッ」とサプレッサー付きのMP5が気の抜けた発射音を発し。見張りの2名が声もあげずに倒れこんだ。深見と藤田はそれぞれが始末した獲物を引きずって物陰に隠し、忍び足で開けっ放しの自動ドアから中を伺った。中は区役所の1階待合室と部屋を2分するように受付カウンターが設けてありその入口側が待合こーなー奥側が受付と職員の作業スペースとなっていた。
その作業スペースの家具を無理やり寄せて作った場所にボロボロになっった
ベットが2二つあり2名の見張りを交代要員が眠っていた。藤田は暗視装置を外した状態で音もなく近づき首筋にナイフを滑らせた。
ぐあぁ」と声にならない声をあげて2人の男がもがきながら絶命すると
暗視装置を再び装備して次へ行こうとジェスチャーした。 静かに浅草側の階段から2階へと上がる。上の側の階段は損傷がひどく使用できないようだった。
2階は
福祉 介護などの窓口になっており浅草側から上野側にかけて一本通路が通っており
その左右に各係りの受付と執務スペースが設けられていた。
上野側の一角に机を積み上げてバリケードのようにして場所があった。
2段ベットが4列並んで置いてあった。おそらく一般メンバーの居住区画であろう。
忍び寄っていくと4人の兵士が寝ていた。何の抵抗もなく順次撃ち殺す。
次、、、三階に上がったが、、構成は2階と同じ形だが
人の気配がなく、もしかしたら事務所か?人の気配はなかった。
そして4階上がる。どうやらここが組織のリーダーの居場所らしい
浅草側の
階段から居室内に入ろうとしたが目の前の光景を見て足を止めた
分隊支援機関銃M60が2丁据え付けられこちらを狙っている。
元執務スペースであった場所は大きくデスクがどかされ
積み上げられた状態でバリケードになっている防衛に当たっているのは
おそらくリーダーの側近中の側近だろう士気が高い。
こんな時間でもしっかりとフロアの入口を見据えている
こんな布陣では、10人や二十人位の人員が突撃をしても
あっさりと止められてしまいそうだった。
閃光手榴弾を投げ込んでの突撃を位しか思いつかなかったが
もしこのあとにも敵が控えているとしたら
多勢に無勢で脱出するしかなくなる危険があった。
「こんなところで躊躇している場合ではないわ、、やりましょう。」
インカムから藤田の声が聞こえた。
「わかった、、、もしほんとにヤバくなったら逃げろよ、、、
よしスリーカウントで行くぞ、 3、、2、1」
閃光手榴弾をバリケードの中に投げ込む、、、数秒して閃光と爆音がし、中にいる見張りが
耳を押さえてフラフラとしているのがわかった。
深見と藤田は走った、気の抜けた発射音の後MP5から発射された弾で射手2名を倒し、
そのまま後ろに控えていた護衛も倒した、、、後詰はないようだ、、、そして後ろからのフロアからの追撃もないようだった。
深海「なんとかなりそうだな、、、」
藤田「油断は禁物よ、、」
どうやらリーダーは区長室を使っているようだ、、、静かに区長室のドアを開ける、
おそらく当時のままであろう大きな執務机と本棚、、そして応接イス テーブルという
そして区長室から隣の役員会議室につながっていた、、、そこから女のうめき声が漏れ聞こえていた、、、
深海「なんだこの声は、、、喘ぎ声か、、、」
藤田「とにかく行きましょう。。。」
静かに近づいてドアを開ける、、、

「あっあっやめて、、あっ」
役員会議室の中は会議テーブルはなくなっており中央に8人がけのテーブルくらいの大きさ大きなベットが据え付けてあった。
両手を縛られた状態の全裸の女とその女を後ろから抱きかかえて、局部を
まさぐっている男がいた。
男「おい!!お前ら何者だよ、、、!!」
深海、藤田ともに答えない、、
男「この女が死んでもいいのか!!」
と近くに転がっていたM92Fベレッタを女のこめかみにあてて声を上げる、、、
深海はMP5の照準を男の眉間に捉えたままで全く動かなかった。
藤田は後ずさりし、、、持っていたM92Fを床に落とした、、、
男「おいそっちの男もだ、、、、」
男は言い終える前に1瞬女のこめかみから銃口を外し、深見に銃口を向けた、
その瞬間、男はのけぞって後ろに倒れた、、、、、
深海「人質取るなら銃口外すなよ、、、」と静かにつぶやきそのまま部屋をあとにした、
全裸で人質に取られていた女は、呆然としたままうごくことができないようだった、、、、

そのへんのケアは明日、自衛軍のバックアップ部隊に任せることとし、
深海は、自分の倒した敵の銃を拾い集めながら、階段を下りていった。

藤田は何も言わずについてきていた。
深海「とりあえず終わったな、、」
藤田「、、、、、、」
深海は何も言わない藤田には構わずひたすら武器を集め、区役所の正面入口の自動ドアから外へ出た、区役所からでて浅草側から朝日が昇ってくるのが見えた。
深海「どうしたもう大丈夫だろ、、、、ちなみになんで強盗団の殲滅をしたかったんだ、、、」
藤田「はじめての依頼者の敵討ちよ、自分へのけじめをつけたかった。」
深海「義理堅いな、、、まあ傭兵でやっていくつもりならそのへんはほどほどにしておいたほうがいい。まあ俺は進めないけどな、、あんたはどこかに所属したほうがいいんじゃないか、、、まあ俺の知ったことではないが、、、」
藤田「そうね、、、まあ考えるわ、、、とにかくありがとう、、、、」
藤田は登ってくる朝日を見ながらふと
「人殺しが嫌で軍をやめたのに、人殺ししかできないということを思い知ったわ、、、」
そんな藤田のつぶやきを流しながら
「いろいろ後始末があるから、、、もうしばらくこの仕事に関わるが、、また何かあったら声をかけてくれ、、俺はおそらく北部同盟軍の周辺の仕事をしていると思う。」
深海は藤田と上野居住区の入口まで同行しそこで別れた。

また会う時があるかわからなかったが、いい仕事だったと思う。
その後同盟軍による掃除がはじまり、死体の片付けが行われた。潜入時には気がつかなかったが地下には奴隷を閉じ込める牢屋があった。そこに数人の商人が捉えられていたそうだ。
 深海はこの後 北部同盟軍の仕事をこなし、同じ北部同盟軍の仕事で南の品川、お台場居住区を目指した旅立った。藤田のその後は誰もしらない。

廃墟の東京で

廃墟の東京で

ゲーム フォールアウト3シリーズの世界観に憧れて書きました。 もし東京が舞台となったらです。 固有名詞等は原作のものを使っていませんが、その舞台をそのまま東京に移した作品です。

  • 小説
  • 短編
  • 冒険
  • アクション
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-26

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

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