カオスとコスモス

「カオス」という言葉を連想させるような物事に出くわすことはないだろうか。
そもそも、現代の世界自体が「カオス」の中に浸っていると言ってもいいかもしれない。

「カオス」とは「混沌」という意味であるが、元々の由来はギリシャ神話の原初神である。
そして、これは「有限を超越した無限」の象徴とされている。
無限という世界には何も存在しておらず、そこから「混沌」という概念が生まれたのだろう。

「カオス」の対義語は「コスモス」である。
この意味は「秩序」という意味だ。
宇宙のことを「コスモ」と表現することもあるが、一見無秩序に見える宇宙も、天体は秩序だった動きをしていることからそう表現するのだろう。

私たちの世の中はこういった「カオス」と「コスモス」の中にある世界だ。
歴史を遡れば、人類が誕生した当初の生活はあくまで生きるのみの生活だった。
国や文明が生まれ、人々の中に秩序が生まれてくる。

混沌とした中に定着していく秩序立った世界。
しかし、人々は自由を求め、秩序を破壊しようとさえする。

カオスの中にコスモスが生まれていき、それが完全に定着するときにはカオスはなくなるかもしれない。
しかし、常に何処かに裂け目がある限り、実現はしないだろう。
自由だけの世界も秩序だけの世界も生まれることはない。
いくら「コスモス」が定着していこうとも、永遠に「カオス」は存在し続けるのだ。

カオスとコスモス

カオスとコスモス

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-24

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