君への手紙

処女作です。
あたたかい目で見守っていただければと思っております。

君へ・・・

僕はお世辞でも素直と言えるような部類の人間ではない。

それは、もちろん彼女の前でも同じ。
と言うか、彼女の前の方が素直になれなくなる。

いざという時になって強がりが発動して君に「好き」の二文字も言えない。
でも、これは強がりと言うよりも怖がっていると言った方が正しいのかもしれない。
もし僕だけが好きだったら?僕の独りよがりだったら?そう思うと全てが怖くて想いなんて伝えれなくなる。

相手の背中を見るのは怖い。
置いていかれてるようで、自分だけが必死なようで、情けないような、バカらしいような、そんな気さえしてしまう。

こんな性格は手紙の上でも変わることはなかった。
君と何気なく始めた手紙交換。
紙の上でなら素直になれるかな、なんて考えてた。
でも、結局は考えだけに止まって、実際素直になんてなれなかった。

君との手紙のやり取りはいつも楽しくて、紙に記された君の可愛らしい丸文字が、君がならべた言葉が僕を笑顔にしてくれる。

君の手紙には、いつだって「好きだよ」の文字
それにさえ応えられない僕はとんだ臆病者だ。

彼女からの嬉しい言葉に応えられない方がよっぽど情けなくて、バカみたいだってことくらい自分でも理解しているつもりなんだ。
それでも応えないのは、裏切られた時のショックを和らげるためだった。

いつも受身で、好きな相手さえ信用できない僕は、そんな自分を責め立てて、自己嫌悪して逃げ道をたくさん作っていた。


少しづつあたたくなってきた3月。
優しい春風が、冷たく鋭い冬の寒さを包み込んでいく。
柔らかい風が部屋へと舞い込んでくる。
風がカーテンを揺らし、カレンダーをめくり上げ時間を巻き戻していく。

ふと目に写った手書きのチューリップのマーク。
「明日は記念日だね」そう言って嬉しそうに笑った君の笑顔が昨日のことのように鮮明に蘇ってくる。

今日は何を書こうかな?
1日を振り返って手紙に綴っていく。
紙いっぱいに想いを乗せて。一番最後には、もうお馴染になった「好きだよ」の言葉。
その言葉で締めくくった手紙を封筒にしまい、ポストに入れに行く。

数日後に返ってきた手紙。その手紙は数日前にポストに入れたもの。
手紙を見て痛感する現実と、嫌でも感じる空虚感。
返ってきた手紙を机の中に仕舞い込む。
引き出しには、届くはずもない君への手紙が何枚にもかさばった状態で狭そうに詰め込まれている。

届かない手紙の中には「好きだよ」の4文字。
君に笑って欲しくって、あの声で「好き」と言ってほしくて、逃げ道を閉ざしてやっとの思いで初めて素直な想いを書いたのが記念日の次の日に書いた手紙。
送った手紙が返ってきたのが記念日の3日後。

僕のみたかった君の笑顔は今は四角く縁取られたフレームの中にしかない。

君の手紙を読み返していたら目に飛び込んできた文章

「死んだ人は星になるんだって。」

それじゃぁ、君は何億ものあの星の中に紛れ込んでいるのかな?
今は街の強すぎる明かりに仕舞い込まれた、見えはしない夜空に浮かんでいる星を眺めながらそんなことを思ってみる。

さて、今日は何を書こうかな?どうせなら、思ってること全て記そうか。

君へ
元気ですか?僕は相も変わらず元気です。君がいなくなってもう2度目の春です。
君のいないこの部屋は不気味なほど静かで、少し居心地が悪い気もします。
君がいなくなってから誰一人として好きな人をつくれない僕を、君は女々しいと笑うかな?
でも、またいつか君に会えると信じてるんです。馬鹿みたいだけど。
僕は今でも君を、愛しています。

コトッとペンを机の上に置く。
秒針の音が、やけに耳に障った。
手紙の上にポタポタと雫が落ちていき字が黒く滲んでいく。
あぁ、また書き直さなきゃ。君に届きはしないけど。
でも、少しだけ、少しだけでいいから泣かせてください。
泣きやむまで、君は夜空に隠れていてね。

君への手紙

こんな感じで・・どうでしょう。
ところどころ支離滅裂で、自分でも「ん?」と思う所は多々ありましたが、そのまま書き切りました。

お目汚し失礼しました。

君への手紙

なかなか素直になれなかった彼氏の手紙の話。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-24

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