崩壊
主人公である俺はアリ、しがない普通のアリである。
俺たちはとある学校の端っこ…ほったらかし状態である草むらで楽しい生活を送っていた。これはそんな生活に、異変が訪れるお話。
死
「だいぶ暑くなってきたよな」
「あぁ、」
此処は、家の中…というよりも巣の中か。そんなところに俺は仲間と今佇んでいる。
俺は、人間達の呼び名でいうと
「アリ」
という種類の生き物だ。ただ、普通のアリとは少し違い、耐久力が幾分か上だった。そのため、高所から落ちたりしても死なないのである。
俺たちは、この草むらで暮らしている。果物も虫も豊富なまさに
「「自然界」」
といった場所だ。俺は少し休んだ後、いつものように仲間達と列を作り飯を調達しにいくところだった。
そんな時
ズウウウウン
ズウウウウン!!
ズウウウウン!!!!!!
地響きがしてきた。
ーーまさかっーー
遥かかなたに黒くそびえるなにかが見える。そこから先には、黒い塔のようなものが立っていた。
俺にはそれがなにかを理解することは容易だった。
ーそう、人間である。ー
人間、、という生き物がどんな生き物か、俺は女王様からお聞きになったことがある。
人間は、見つからなければ特に害はないらしい、のだが見つかると、特に理由もなく俺たちを抹殺するらしい。それも遊びで。
とても恐ろしい物だと教わっていた。
そんな人間が、今近くにいるのである。
「おいあれって…」「嘘だろ……」
あちらこちらから絶望の声が聞こえてくる。
ここから巣穴までは30mほど。
なかなか遠い。しかし生き延びたいために必死で俺たちは巣穴へと帰ろうとした、、、のだが…
ズーーーン!!ズーーーン!!!ズーーーン!!!
あまりの地響きで真っ直ぐ歩けなかった。みんなフラフラしていた。そんな矢先、
ドーーーーーーン!!!
自分のかなり後ろ側のアリの列の上に人間の足が踏み降ろされた。
5匹ほどが犠牲になってしまった。
足は、そのまま持ち上がり違う所へと去っていった。
あれだけのありを殺しておいて気づいていなかったのか…
某然とした。
ズーーーーーーン!!!
ズゥーーーーン!!!!
ズゥゥーーーーーン!!!!
かなりの人間が周りに来たようだ。
もう絶望しかなかった。
ズーーーーーーーン!!
「みてアリがいるよ。」
その声が上から降りかかるのと同時に俺たちの真横に黄色のスニーカーが襲来した。
なんて大きさ…
俺たちからみたらスニーカーは壁だった。俺たちよりもずっと大きい。縦にも横にもだ。
「わーほんとだ」
ズーーーン!ズーーーン!
俺たちの周りを取り囲むように人間が集まって来た。見た所、女子という種類だ。
みんなさまざまな色の靴を履いている。
「おーい、サボらずに草抜きなさいよ」
と声がする。
そうか、今日はみんな草取りに来たのか。一人納得する。
俺たちは急いで家に帰ろうとした、のだが、
各地で虐殺が行われていた。
前の方にいたアリAは、赤いスニーカーを履いた女子に手で摘ままれそのまま団子のように丸め込まれて息耐え、俺の少し前にいたアリBは、なんと食べられてしまった。
「しょっぱーい」
と口にしていた。
おれは、恐怖でもう歩くことができなかった。
「あははー、きもーい。しねー」
笑いながら黒いローファーを履いた女子がアリの列を踏み潰しながら歩いて来た。
これはおわった…と思いきやちょうどおれのあたりをまたいでいったためセーフだった。
しかし、安心するのも束の間、次は俺の目の前に横向きでピンクのスニーカーを履いた足が現れた。
「アリさん通せんぼー。さぁどうするアリさん」
楽しそうな表情を浮かべていた。
ここで、2つの行動をとるアリがいた。1つはスニーカーによじ登る物、もう1つはスニーカーをかわして通るもの。
おれは前者を選択。硬いスニーカーを登っていった。
スニーカーの上あたりにいた時
ゴゴゴゴゴ
スニーカーが持ち上がり、かわして通る者たちの下へと降りた。
「よけたアリさんざーんねーん」
その子は笑っていた。笑ごとではない。アリからしたら虐殺である。
その後
「スニーカーのうえにいるアリさんどうしよ?」
「いいこと思いついた!」
そう言うと、彼女は俺たちをつまみ上げ、なにを思ったかスニーカーを脱ぎ、その中に俺たちを入れた。
臭い…
脱ぎたてであったため、とてももわーっとした嫌な温かみがある。そして、酸っぱい臭いが立ち込めている。
「アリさんにチャンスをあげまーす。今から私がこのスニーカー履くから、生き残った奴は逃がしてあげる」
「きよなの足の臭い強烈じゃん」
「アリさんおつかれだねー」
どうやら彼女はきよなというらしい。
俺たちは、ただの遊びで殺されようとしている。
みんな、必死に靴の中へと逃げた。後ろからは熱気を発した黒のハイソックスがやってくる。
「ほらほらー、早く逃げなさいよー」
足指をくねくねさせてくる。
うわっ!
彼女の足の裏に追いつかれてしまった。しかし運の良いことに足の裏に張り付いておれはつま先のあたりまでいくことができた。
ドーーーーーーン!!!
彼女の足がスニーカーを踏みしめる。キュッキュッ、中敷を握りしめた。おれは、つまさきに張り付いていたために生き残った。同じように生き残ったやつがもう1匹いた。
「うわー、プチっとした感触があったやっばー」
「あはははは」
彼女らは楽しそうに話している。そんな中靴の中は地獄絵図である。
「よし、脱いでみるか」
しゅるー。彼女はスニーカーを脱いだ。
「おお!まだ生きてるアリさん2匹いた!」
おれは彼女のつま先から再びつまみ上げられた。
「おめでとうー、じゃああなた達には家を用意してあげる。」
そういいながら彼女は靴下を脱いだ。
まさか、、、
おれはそのまま靴下の中へいれられた。
うわっ、
つま先のあたりは汗で濡れていた。
「きよなひっどー」
「アリさん気の毒ー」
笑っている。
「まぁ、いいのいいの」
突然靴下が舞い上がったかと思うと彼女の汗ばんだ足が入ってきた。
グハッ、俺は彼女の人差し指の裏と靴下の間に挟まれた。
そしてそのまま靴を履く。
臭い…おれはいつの間にか気絶していた。目が覚めたら教室にいた。
「これが最終試練。私の足に登ってみなさい。できたらほんとに逃がしてあげるよ?」
そういって彼女は俺の前に足をスッと差し出した。
暖かさと共にツーンとしたにおいが臭ってくる。
おれは必死に足に登った。とても広大な足裏だった。
そうして登り切ったのだが。
「はい、お疲れ様」
そのまま足裏は地面を踏みしめたのである。
これが、俺の呆気ない最後であった。
きよなから見たアリ
うわー、気持ち悪っ
今日は学校の除草作業があった。
とてもめんどくさいなー、と思いながら草むらに足を踏み入れたその時、アリが群れていたのである。
クラスメイトが
まじきもいんだけどー!
とかいいながらありをどんどん踏み潰している。怖いな。
そんな姿を見ていたら、私の中のなにかが目覚めた。私はふとアリさんの群れの真ん中あたりに足を踏み入れてみた。すると、
スニーカーに登って超えていくものとよけていくものと二通りが現れた。
アリさんからみたら私は巨人なんだろーなー。そんなことを思いながらスニーカーをよけていたアリさんを踏んでみた。
プチプチッ、小気味良い感触が足裏に伝わる。たまらなかった。
スニーカーのうえにいるありはどうしようか。
そこで思いついたのが。靴にいれてそのまま履く、ということである。
私のクラスは除草の前に体育があって足が蒸れていた。さらに、私は体育用のくるぶしソックスを忘れたために、ずっと紺のハイソックスを履いていたため、すごい臭いになっているのだ。
だから、それで苦しめてやろうと閃いたのだ。
靴にありを入れて、少し待ってからそのまま履いた。
プチプチッ、
先ほどとは違いダイレクトに足裏に感触を伝えてくれる。
気持ちよかった。
念のため、靴を脱いで踵の方をしたにしてトントン叩いてみた。
すると、砂や石と一緒にアリが2匹でてきた。
辛抱強いアリさんだな…これならどうだ!
と思い、そのありさんを今度は靴下を脱いで、その中に入れて履いたのである。
アリさんが私の足裏をウロウロしている。それだけで興奮した。
除草がおわって教室に戻った時、靴下からアリを出し、目の前においた。すると、しばらくしてから動き出したため、足裏を登らせた。チョロチョローっと登る感覚が伝わってくる。気持ちよかった。頂上に辿りついた時、飽きたのでそのまま足で地面を踏みしめた。
家のアリでもやろーっと、
そう思いながら私は帰宅した。
私は、帰宅後家の近くのありを捕まえてきて家に放した。そして徹底的に教育してやった。
すると、今では私が家に帰ると、靴下を脱いだ途端に足を掃除してくれるようになった。
臭いだろうに…
その後、踏んだり、足で挟んだり、靴下にいれたりしてアリを弄んでいる。
アリって非力…
ほんとにかわいそうな生き物だ。
と思いつつも今日も彼女は虐殺を行う。
崩壊