夏祭り

3人の仲良しグループに1人の後輩が入った。
4人となったグループに新たな感情がそれぞれ芽生え始め・・・

青春の思い出

高校３年になった。
高校最後の夏休みが始まった。

青春－　あい　Delusion1　－

「せ～んぱいっ！起きてください！朝ですよぉ～？起きないと・・・♥」
「う、うあぁぁぁぁ！・・・こら！布団の中に入ってくるなっていつも言ってるだろ！」
「えぇ～？だって先輩全然起きないんだもん。」
「だからってなぁ・・・」
「なんですかぁ？」
(布団に入られるとこっちはいろいろきついんだよ・・・)
「なんでもない！で、夏休み初日になんだ？また『一緒にゲームしよ～』とか言いに来たのか？」
「ち、違うもん！そ、その来週の土曜なんだけど・・・」
「なんだよ、急に。来週の土曜何かあったっけ？」
「・・・やっぱりなんでもない！お邪魔いましたああああああ」
バタンッ
「ふぅ・・・」
騒がしい後輩ゆいが俺の部屋によく来るようになったのは今年の春。
俺の家の隣にゆいが引っ越してきた。
外に出たときバッタリ会い、同じ高校の制服を着ていたので話すきっかけができた。
ゆいは小柄で元気な子だった。顔立ちも可愛く、俺は結構ストライクだった。
そして俺はなぜかゆいに懐かれてしまった。
学校では会うたびにスキンシップと言って抱きついてきたり、腕を掴んできたりする。
俺は必死にドキドキを抑え平然とした対応で振り払う。
そんなことが毎日毎日続いた。

青春－　ちふ　Delusion1　－

僕たちは元は仲良し3人組だった。
そこに春からあいに懐いているゆいが仲間入りした。
最初の方は学年が違うからあんまり馴染めないんじゃないかと心配していたが、全く問題はなかった。
「ねー！今度の土曜日花火大会行こうよー！」
そう言いだしたのは、僕が好意を寄せている仲良しグループのメンバーななみだ。
「そうだな。俺ら3年はもう今年で卒業だもんな。」
「そうだね、もう最後かぁ・・・寂しくなるなぁ」
「そっか。もう先輩たちは卒業しちゃうんだ・・・」
少しの沈黙が続いた。
「まぁこれでお別れってわけじゃないしな。」
「そうだよ！ずっと友達だから！」
「じゃあ今度の土曜の花火大会みんなで行くか！」
こうして僕ら４人は心に秘めた思いを胸に花火大会当日を待った。

青春－　あい　Delusion2　－

ゆいから花火大会の前日メールが来た。
「なんだ？ゆいからメールなんて珍しい。いつもなら俺の部屋までわざわざ来るのに」
『明日いい天気になるといいね』
なんだこれ。いつもならこんなくだらないメールなんて送らないのに。
『ああ、そうだな』
俺は適当に流した。
『うん。おやすみ』
『おやすみ。明日遅刻すんなよ』
なぜか返信は来なかった。
「もうねたか？・・・いやいや早すぎるだろ」
そんなことを考えているうちに俺は眠りについた。

青春－　ちふ　Delusion2　－

花火大会当日。ななみは珍しく髪を結んできた。しかも毛先を少し巻いたポニーテール。
どストライクだった。いつもと違う姿にいつも以上に緊張し、
「かわいい・・・」
と、つい本音が出てしまった。
「た、たまにはいいでしょ！花火大会なんだし・・・」
そう言ってうつむいた顔は少し照れているようだった。
屋台がたくさん立ち並び、ななみとゆいは大はしゃぎで遊んだり食べたりしていた。
「あ、あれ欲しい！あのちっさいクマのぬいぐるみ！」
そう言ってななみが指さしたのは射的の商品だった。
僕は射的はあんまり得意ではないけどななみの為ならやってみようと思った。
「おじさん。これ一回分お願いします」
「お、にいちゃん！やってくかぁ！ほら5発分！頑張れよぉ！！」
「よし」
僕は息を呑み集中して狙いを定めた。
パンッ
「あー惜しいねぇ！もうちょっと右だ！頑張れ頑張れ！」
「ちふ！頑張れ！」
ななみが応援してくれている。頑張らなきゃ・・・
もう一度意識を集中させ、狙いを定めた。
パンッ
「あっ・・・」
「あぁー！でもかすったねぇ！いけるよにいちゃん！頑張れぇ！」
次の二発も外し、最後の一発になった。
「ふぅ・・・」
最後の弾に最大の集中力を使う。
パンッ
「おお！うまいっ！・・・はい、景品！おめでとぅ！」
「ちふすごーい！」
「はい」
「え！くれるの！？うれしい！大事にする・・・」
クマのぬいぐるいみを嬉しそうに抱きかかえ笑っているななみを見て僕も嬉しくなった。
「あのさ・・・」
「ん？なにー？」
「後で、2人になれない？」
「え・・・僕と？」
「うん。ダメかな？」
「ううん！全然いいよ」
ちふは僕に
「ちゃんと答えてやれよっ！」
と一言だけ言い残して屋台の方へ戻っていった。

青春－　あい　Delusion3　－

ちふとななみを二人っきりにしたあと、ゆいと俺は2人で歩いていた。
「あの二人うまくいくといいな」
「そうですね・・・」
「あの二人がつき合ってくれてたら俺はもう何も言うことねーや」
少し沈黙が流れた
「・・・親友もつき会い始めちゃったし、これからつまんねーなぁー」
「じゃあ、先輩」
「ん？」
「私たちも付き合っちゃいましょうか」
この時時間が止まったような気がした。
「おう」
「えへへ・・・断られちゃうかと思ってた」
そう言っているゆいの体は小刻みに震えていた。
俺は静かにゆいの手を握った。
「えっ」
ゆいは驚いたような顔をしていたが、すぐに俺の手を握り返した。

青春－　ちふ　Delusion3　－

「あのね」
「うん。」
「・・・・・・」
ななみは少し緊張していたようだった。少しうつむき足が震えている。
「ゆっくりでいいよ」
「・・・・・・」
ぎゅっ
いきなりななみが僕に抱きついてきた。今まで一度もそんなことがなかったので
僕は間抜けな声を出してしまった。
「へっ・・・？」
ななみはしばらく僕を強く抱きついていた。あまりにも長い沈黙に耐えられず、声を発しようとした瞬間
「ずっと・・・ずっと、私ちふのことが・・・」
ヒュッー・・・ドーン
言い終わる前に祭りの最後を告げる花火が上がった
「綺麗だね・・・」
「うん・・・」
「ななみ、僕ねななみのこと好きなんだ」
「・・・私も好きだよ」
そう言って俺はななみを優しく抱きしめた。

ある、ニコニコ実況者さんの妄想をもとにこの物語を書きました
一晩で書ききってしまったので短い＆内容がグダグダですが、見てくださってありがとうございます。