こころ

こころ

1914年夏目漱石著

こういった文学作品を論じるのは私には難しいので、感じたことを書きます。

こころは中学かなにかの課題に出た本で、学生時代に本を買わされました。
薄い1冊の本でしたが、当時は読む気になれませんでした。
学校を卒業してしばらくの間、本棚に飾ってありましたが、どこかのタイミングで捨ててしまいました。
その「こころ」をこうやって読む気になったのですから、不思議なものです。

きっかけはNHKのテレビ番組「100分de名著」で取り上げられたことです。
それまでは漱石というと、坊ちゃんでいうところの、学校の先生というイメージが強くて、「こころ」の<先生>も学校の先生なんだろうなと思っていました。
ところが、先生はなんの職にも就いていない、いまでいうプー太郎であることを知り、一気に読みたくなる私(笑)。
関心の度合いがどこにどうあるのか、わかりませんが、私の琴線に触れたのでした。

新聞の連載小説ということで構成が変わってるのですが、それが却って面白く、特に先生の遺書の部分がとても良いです!
生い立ちから、なぜ死ぬのかまで語るのですから、がぜん興味津々です。

個人的に、主人公<私>の父親が死の床につく箇所は他人事ではなかったです。
別に私の父が病気であるわけではないのですが、そこはかとなく、親との別離を感じさせる展開になんとなく哀しくなりました。
親との別離は私にとって大きな問題であります。
まだ両親とも健在なので、いずれ自分の身にも起こることだと思うと、安穏とは読めません。
私はいままで、人の死に冷静な自分しか知らないので、親が死んだらどうなるかな?と思います。
祖母の死に目にはあっていますが、まだ幼かったのと、それほど悲しく感じなかったのとで、死に対して免疫がないのです。

ただ1点、飼い犬の死のときはひどかったです。
泣き崩れました。
夜も布団の中で泣いてました。
思い出すといまでも泣けます。
相手は犬ですけど。
でも人間に対する死というのは永遠のテーマですからね。
これから起こることは予想もつきませんが、漱石のこころを読んでるとなんとなくその一端を見ているようで落ち着かないのです。

最後の終わり方はひどいなぁと思います。
先生が死ぬ意味とは。
わかりません。
生きる意味はあるけど、死ぬ意味はあるのか?
目的とも言えるでしょう。
死んだからなにもかも解決するなんておかしいです。
私は先生の最期には賛同できません。
つらくても生きていくのが動物だからです。
生きるしか道はないのです。
私はそう思います。
そう思って生きていきます。

こころ

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  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-20

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