アナイアレイター
学校の部誌に乗せるために作った小説です。
「おい、これは何なんだよ…」
少年は言う。
「なあ、僕達って、なんだったんだろうね…」
少女は言う。
「なあキリト、俺達がやっていたことって、全部無駄だったのかよ…?」
別の少年が、キリトと呼ばれた少年に聞く。
―――――少年達の終わりは、近い。
第一章
何気ない日常。何時もやっている事も、
変わらない。今日も、きっちりAM5:00に起きて、のこのこと学校に行く。
ちなみに、俺の通っている学校は、クラスメイトいや、全校生徒だけでわずか六人だけだ。男子生徒は、俺、イアン、昴、女子生徒は、フィオナ、バニラ、奏だ。
何でこんなに少ないんだよ?
隣の学校はマンモス学校だって言うのに。
「ねえ、どうしてキリトは彼女とかつくんないの?」
前の席のバニラが聞いてくる。
「知るか。」
そう、俺は彼女をつくるとか、そういうのは苦手なタイプだ。
隣の学校の輩は、毎朝学校で会うのにもかかわらず、わざわざ朝から一緒に登校したり、昼休みになるとそいつらの聖地、中庭に行って
「一緒にご飯食べようよ♪」
とか言いやがったり、放課後になると、二人きりで教室に残って愛を囁きあったり、休みの日には一緒に出かけたり、帰り道では別れを惜しんだりする。
簡潔に言おう。
リア充爆発しろ。
「でも、僕は君がリア充が嫌いでいても良いと思うよ。僕も、そういうのを見ると…
虫唾が走るんだよね。
僕は、あいつらが一体、何が楽しいのかが理解できない」
「…フィオナって、毒舌なんだな…」
そう言ったのは、イアン。まあ、彼は元々貴族の人間だし、そんな事を言わないのも当然だ。
俺達は、みんな何らかの事情を抱えている。
奏と昴は、元々幼馴染だが、二人とも、孤児院出身だ。過去にあった出来事をきっかけに、奏は性格が変わってしまったらしい。
もっと言うと、昴は銃の使い手で、射撃の世界では有名人らしい。奏は魔道師の子孫で、自身も強力な魔道師らしい。ちなみに、彼女が言うには、どうやら儀式的なものが得意らしい。
イアンは、元貴族だ。過去に騒動があって、貴族の人間ではなくなったらしい。
バニラのことは、詳しくは知らない。
どうやら、捨て子らしい。
フィオナは、特殊な暗殺術の使い手だ。
家の事情で小さい頃から、仕込まれていて、沢山の人間を殺したらしい。
ちなみに、彼女は(一人称は僕なのだが)絶望という異名があるらしい。
俺は、武家の人間な訳で、一応だが剣を心得ている。
一応ついている異名は、彗星だ。
―――キーンコーンカーンコーン…
ちっ。始業ベルが鳴った。みんなの顔つきが変わる。みんなの、一番嫌いな時間だ。
担任である水無月が教卓前に立つ。
――――この瞬間から、俺達の日常は終わっていた。
第二章
担任の水無月が教卓の上で口を開いた。
「お前達に、話がある」
???
水無月が深刻そうな顔で口を開くのは、よほどの事があるらしい。
元々彼は、よく言うと軽く、悪く言うとチャライ人種だ。数年前に、この学校に来たらしい。卒業校は勿論、この学校だ。
「先生、」
フィオナが口を開く。
「先生が、深刻そうな顔で口を開くって事は、何かあるって事ですよね?」
………彼女も考えていたことは同じようだ。
と言うより、クラスにいる皆が同じことを考えていると思うのは、俺だけだろうか。
「ああ。残念だが…」
「何ですか」
「この学校の閉校が決まった。しかも、運の悪いことに、お前達は…あの学校の名前を出すと
気持ち悪くなる
から言わねぇけど、まあ簡単に言えば、お前達が明日から通うのはあのマンモス学校だ。運が悪ぃな…」
――――教室の空気が凍る。
そして、沈黙が続く。
そんな中、最初に沈黙を破ったのは、フィオナだった。
「…おい、」
げ。フィオナの態度が変わった。
彼女は、キレると、態度がめちゃくちゃ変わる奴だ。要するに…暗殺者モードになるってことだ。
げ。目の色まで変わった。
ヤバイ、めっちゃヤバイぞ、今のこいつは。
げ。こいつ、暗器まで出しやがった。
「本当のことか?ジョークとか言ったら殺すぞ」
「ちょ、待てフィオナ、落ち着けって、この状況で落ち着けるわけないか…」
「この状況で、私の魔道を用いても良いが、失敗する確率の方が高いと推定する」
ナイスフォロー!ってええ?
そこはフォローしろよ。
「もおフィオナちゃん!だいじょーぶだよ!ほら、TVでパンが言ってたよ!『なんとかなるさ!』って!!」
「TV引っ張ってくんなよ」
すかざす昴がツッコむ。
ていうか大丈夫なのか?
「…」
だよな。
「じゃ…じゃあさ、そろそろ行こうよ?」
「どこにだよ」
「おいフィオナ、決まっているだろ?」
「それはもちろん、
敵の陣地さ」
第三章
西暦2301年。各国は統一され、一つの国家となった。科学技術が進む一方で、昔ながらの生活も見直され、現在の俺達の世界では刀やら銃やらは当たり前となった。
そんなことを職業にする人間もまた増え始め、現在では総人口の約二割をしめている。
さて、
枯れ果てた道を進んでいく。
すると、正門が見えてきた。
どーん。漫画の効果音をつけると、どーんだ。
一、まず、デカい。
二、生徒多い。
三、金多い。
四、だから、ウザい。
「なんだよ、俺の思考回路…」
死ぬ。本当に死ぬ。中二病的思考回路死ぬ。
「…かよ…」
「は?」
「聞いてるのかって言ってるんだよ!このアホ隊長!!」
そうだ、フィオナはまだキレていたんだ。
「はあ…、使いものにならない…。で、どうするんだよ?」
「そ、それは…」
「うわあ…!!見てみて!!あそこに、あの有名な※ハルパカさんがいるー!!」
※ハルパカとは、ゆるキャラである。
「って、何のんきな事言ってるんだよ…」
「俺の銃には弾に余裕があるし、撃ち合いになっても大丈夫だけど?」
「私に考えがある。まず、私がここに結界を敷く。その中で、キリトとフィオナは近距離戦で、私と昴は遠距離攻撃を仕掛ける。イアンは私と来ること。そして、バニラは…」
「私は、手榴弾を持っているから、それを使うね~」
「持ってるなら最初から言えよw」
「いや~ごめんね?」
「まあ良い。じゃあ、行こうか」
「そうはさせないよ」
第四章
「なっ…」
「どうした、フィオナ?」
「久しぶりだね、フィオナ。元気だったかい?」
「折原…」
「くくっ、まあいいじゃん?君が早くここから出て行くか、それともこっち側に就けばいいんだけどね。どうするの?」
「僕は君と渡り合うつもりは無い。だから、君と戦わなくちゃいけないのか…。」
「フィオナ、こいつとはどんな関係なんだよ?」
「こいつは…、僕と同じような人間だよ」
「ああ、始めまして。俺のことはいまフィオナから聞いたから、自己紹介はいらないよね、キ・リ・トくん?」
「キリト、ここは僕に任せて先に行け」
「でも…」
「行け!こいつは僕が始末する!」
「…わかった」
俺は、フィオナに任せて先に行こうとした。
「…!!」
腕に鈍い痛みが走る。見ると、左腕が無くなっていた。
「その状態じゃ、戦うことなんてできないよね?」
「くっ、俺は出来る。いくぞ、フィオナ!」
「ああ!」
カン。フィオナの暗器と折原の暗器がぶつかり、鈍い金属音がする。
折原の戦闘方法はフィオナが一番知っているため、俺はフィオナのアシストに入る。
折原がフィオナに集中してる間に、俺は折原の脇腹に斬りかかる!
だが、その瞬間、
シュヒン
[くっ」
すると目の前が真っ赤に染まった。
「安心してよ、俺は君の瞼を斬っただけだし、殺さないから。それに、僕とあと一人、合計二人しかいないからさ」
「折原、お前達の目的なんだ?」
「さあ?俺も雇われているだけだしね。俺はただ言われた通り、任務を遂行しているだけ」
「本当に知らないのか?」
「知らないって。君はいつも俺が嘘を吐くとすぐに分かっただろ?」
「確かに、今のお前は嘘を吐いていない」
「でしょ?ああ、ちなみにこの反乱の首謀者は一人。しかも女の子だよ?まあ、俺もめんどくさくなってきたし、君と戦っても勝ち目は無いって分かってるからやめようかなー」
「そうか、やめるのはお前の勝手だ。だが、僕が知りたいことが一つある」
「何?」
「首謀者は誰だ?」
「ああ、それはね…」
ドカン!
「なっ…」
「それ以上、私語を慎みなかったら、これからどうなるか分かってるよね?」
「バニラ…」
「そう、私がこの反乱の首謀者。そもそも、私が貴方達の中に混ざったのは、貴方達を潰すため」
「どういうことだよ…」
「何言ってるの?私は貴方達を潰す。ただそれだけ。そうすれば、お母様の野望が叶えられるのだから…」
「なあ、どうしてそんな事になったんだよ?」
「うるさい、死ね」
すると、バニラは俺達に向けて手榴弾を投げた。
大きな爆発音と共に、周りの建物が飛んでいった。
「もう、貴方達に逃げ場はない。大人しく投降するか、死になさい」
「死ぬのは貴女です、バニラ」
「なっ…」
「だ、誰だこの人?」
「私はバニラの母親です。バニラ、やっぱり貴女は使えない」
「そ、そんな…」
「この件の手柄次第で貴方を認めようと思ったのに、やっぱり無理よね…」
「お、お母様、私は…、私はどうなるのですか?」
「決まってるでしょう、使えない者は処分される、これが決まりです。さあ、早く…
死になさい」
「それが、お母様、貴女の、望み、ですか…?」
「そう、これで貴女も楽になれる。それが良いでしょう?」
「おい、」
「フィオナ…」
「さっきから聞いていたら、君はずっと自分の娘を物みたいに扱っているじゃないか。母親として酷いんじゃないか?」
「貴女ねえ…、私の教育法に文句言わないでくれる?そういうの、嫌いなのよね」
「奇遇だな。僕は、人間を物の様に扱う人間が嫌いだ」
「キリト、フィオナ、イアン、昴、奏、逃げて!私は…私は死ぬかもしれない。でも、貴方達と居られて楽しかった!これは嘘じゃない、本当の事だから!」
「そうか、なら…」
「キリト?」
「ああ、そういうことか。カッコいい台詞は君に任せようかな」
任されるのか。いや、任せておいてくれ!
「バニラ、お前を救い出す!」
「なんで…」
「ったく、何度も言わせるなよ。君は、僕達の仲間だろう?」
「な、かま…?」
「だ、だまれ!!バニラ、貴女は私の娘でしょう?なら、私の言うことを聞きなさい!!早く、この人たちをどうにかしなさい!!」
「それは、無理」
「奏…」
「俺もいるよ」
「僕も!」
「みんな…」
「止めた方が良い。もう、貴方達はすでに限界に達している。一刻も早く、退散するべき」
「僕達のことは心配しないで。あとは任せて、先にゆっくり休んでよ」
「昴、早くしないと彼女が逃げる」
「わかった。ちょっと待って」
ズガン
昴の撃った弾がバニラの母親に直撃するかと思えば、イアンが彼女を持ち運び、地面に叩きつけた。
「ぐふおっ」
「そこで良い。離れて」
すると、バニラの母親(言うのめんどくさくなってきたな…)が光の中に溺れていった。
「UGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!」
???
すると、イアンが
「奏が魔法を使ってあの人をどこかに飛ばそうとしているんだよ」
と耳うちをして教えてくれた。
よく見れば、何かぶつぶつ呟いているしな。
「終わった。私達の、勝ち」
「え?本当に?」
バニラが問いかけると、奏は何も言わずに頷いた。
「わ、私、これからどうしよう…」
「戻ってこれば良い」
「え?」
「奏も言っているだろ?また、来いよ」
「うん!」
「じゃあ、帰りに何か食って帰るかー」
「じゃあ、私、イタリアンが食べたい!」
「キリトの奢りでな」
「なんでだよ…」
何気ない会話を交わす。そのとき、俺はそんな何気ない日常が好きになった。
××××××××××××××××
寂しかった。
ただ、それだけだった。
利用されていただけだなんてわかっていた。
でも、逆らえば居場所が無くなると思っていた。
でも、違った。
そんな事は無いと言ってくれた人がいた。
だから、その人たちと一緒に居ようとした。
でも、次のターゲットにその人たちが選ばれた。
殺せ
そう言われた。
そんな事なんて出来なかった。
その人たちと居たかったのに、出来なくなった。
だから、私が居ない世界に生きてもらおうとした。
でも、その人たちは言ってくれた。
裏切った私も仲間だと。
だから、
次は私が彼らを、
救う番だ。
To be Continued ...?
アナイアレイター
疲れました。続き書くかも知れないので、待っていてください。