気付いてよ...バカ -7-
7です。
前回気になる展開で
終わらせてしまったので...
私なりに急いで書いたつもりです!!笑
<登場人物>
*岡野 夢空(おかの むく)
*井上 奏哉(いのうえ そうや)
*椎名 由仁(しいな ゆに)
*藤池 翔太(ふじいけ しょうた)
...その他
あの時...
-7-
なんで告白なんて
してしちゃったんだろう...
するつもりなんてなかったのに...
「...」
「...」
勢いでしてしまった告白...
お互い、また沈黙が続いていた。
「...奏ちゃん...」
「ごめん。」
「...??」
「...俺は夢空の気持ちには応えられない...」
どこかで自惚れていた...
奏ちゃんも同じ気持ちなんじゃないかって...
「...」
「...夢空??」
「そっか...ごめんね。
急にこんなこと言って...」
「...ごめん。」
「やだなー、謝らないでよ。」
「...」
いつも通りに接しなきゃ...
「...分かってたから。
ちょっと勢い任せに言ってみただけ。
だから...そんなに、気にしないでよ...ねっ??」
「...うん。」
「...」
「...」
嘘。
分かってなんかなかった。
勢い任せなんかじゃなかったよ。
これ以上ないくらい
頑張ったって思えるようになったら
告白しようと思ってたのに...
「...ごめん。
私、このあと授業あるから行くね??」
「うん...」
「...じゃあ。」
「...」
泣くところを見られたくなくて
私は本日3回目の嘘をついて
その場を走り去った。
でも、行くところなんて決めてなくて
走ってるうちに涙が出てきた。
視界が悪くなって、立ち止まってしまった。
「...っ。」
幸い、近くには誰もいない。
私はその場にしゃがみこんだ。
そして、声を押し殺して泣いた。
好き
その一言が言えなくて
苦しんだ時もあったけど、
今は...それ以上に苦しい。
胸がぎゅっと締め付けられる。
「夢空!!」
後ろの方から足音と由仁の声。
「由仁...」
しゃがみこんだまま振り返ると
由仁は走ってきた。
私はゆっくり立ち上がった。
由仁はそんな私を抱きしめた。
「...夢空。」
「...」
「ツラかったね...」
「...うん...」
「ごめん...なんて言えばいいのか、
分からない。」
由仁の声が震えてきて、
泣いていることを感じた。
「...ううん。
ありがとう、由仁。」
私がそう言うと、由仁は無言で首を振り
さらに強く抱きしめてくれた。
「...泣かないの??」
「あはは、泣いてるって。」
「強がらないでよ。
ここには夢空と私しかいないんだし、
思いっきり泣きなよ。バカ。」
「バカって...」
あぁ、ダメだ。
笑ってても涙は出てくる。
「...バカじゃん。
でも、そんな夢空が好きだよ。」
「なにそれ、意味分かんないよ??
...でも、ごめん。
ちょっと泣かせて??」
「うん...」
さっきほどではないが、私は泣いた。
「...大丈夫??」
「うん...ありがとう、由仁。」
ゆっくりと離れると
お互い目が赤くなっていた。
「夢空、腫れてるよ??」
「そういう由仁は真っ赤だよ??」
「...フフ。」
「あはは。」
「目、洗い行こっか??」
「うん。」
私たちは近くの水道に行った。
テニス部や弓道部の練習場が近くにあって
そこでハンカチを濡らして
目を冷やしていた。
「...夢空??」
「ん??」
「...ごめんね??」
「なんで、由仁が謝るの??」
「だって...私が連れて来ちゃったから。」
「違うよ??」
「でも...」
「由仁。私、後悔はしてないよ??」
「えっ??」
「まぁ、確かに振られちゃったけど...
でも...今は後悔してない。
言えて良かったよ??」
「夢空...」
「だから、謝らないで??」
「...うん。」
嘘ではなかった。
さっきまでは思い悩んでたけど、
今は少しスッキリしてる。
「ところで由仁...」
「なに??」
「すっごく言いにくいけど、
ハンカチ当てすぎて
マスカラ落ちてるよ??」
「えっ!?ちょっと、早く言ってよ...」
「大丈夫、可愛いよ。」
「笑いながら言われても嬉しくない。」
「だって...あはは。」
「もう...人のこと言えないし。
夢空も落ちてるよ。」
「本当に!?」
「うん。しかも...
目腫れてるから本当にパンダみたい...」
「パンダって...」
「うん、可愛いよ。」
「それ絶対思ってないよね!?」
由仁が笑い出して、
私もつられて笑ってしまった。
「...あれ、そこで何してるんだい??」
突然聞こえた声。
「藤池先生??」
「...岡野さんと椎名さん??」
現れたのは藤池先生。
「先生...どうしたんですか??」
「うん...お茶を買いに
コンビニまで行こうかと思って。」
「コンビニ...
こっち方面にはないですよ??」
「えっ、そうなの??」
「はい。」
「恥ずかしいな...」
「良かったら案内しましょうか??」
先生は来たばっかりだし、
毎日来るわけじゃないもんね。
きっと、まだ把握しきれてないんだ。
「じゃあ、お願いしようかな。」
「はい。」
「でも、2人とも大丈夫なのかい??」
「大丈夫って...授業ですか??」
「私は1時間後で、
夢空はもう授業ないので大丈夫ですよ??ね??」
「うん。」
「いや、授業もあるけど...
目の下真っ黒だけど、寝不足かな??
2人とも目が充血してるし、
岡野さんなんて、目腫れてるけど...」
寝不足...
「あはは。
藤池先生、面白すぎますね。」
「えっ??」
「ちょっと、夢空!?」
「...私も由仁も寝不足じゃないです。
とりあえず、お茶買いに行きましょうか??」
「あっ、うん。」
とりあえず、私と由仁と藤池先生は
コンビニに向かった。
「ありがとう。
おかげでお茶が買えたよ。」
「でも意外ですよね。
藤池先生はお茶より紅茶のイメージです。」
「あっ、分かる気がする。」
「確かに紅茶の方が飲む機会は多いけど
たまにはお茶も飲みたくなるだろ??」
「あぁ、そういうことですか。」
「フフフ。
良かったら一杯飲んでくかい??」
「いいんですか??」
「もちろん。
椎名さんもどうかな??」
「いただきます。」
「じゃあ、行こうか。」
由仁の次の授業までは後30分以上ある。
私たちは藤池先生の研究室に行った。
「失礼しまーす。」
「どうぞ。」
「あれ、誰もいない...」
「ここ基本的には俺1人だよ。
ささっと帰っちゃう先生がいるからね。」
「そうなんですか。」
「なんでかは分からないけどね。
どうぞ、その辺に掛けててね。」
「ありがとうございます。」
イスは2つしかなくて、
どうしようか悩んでいた。
「あれ...2人とも、座らないのかい??
あっ、イスが足りないのか。」
「...はい。」
「ごめんね。
2人ともそのイスに座って。」
「えっ、でも藤池先生は...」
「大丈夫。
もうひとつあるから。」
そう言って、藤池先生は
また奥の方へ行ってしまった。
「...いいのかな??」
「たぶん...」
少し躊躇いながらも私たちはイスに座った。
「フフフ、そんな緊張しなくてもいいのに。
岡野さんは2回目だろ??」
「あっ、そうなんですけど...」
そんなこと言われても、
2回で慣れるわけないでしょ...
「...夢空、2回目なんだ。」
「うん。」
「ふーん??」
「...あっ。」
「聞いてないかなー??」
「ハハハ...」
こいつ...絶対分かってる。
あの日、私が藤池先生の所に行ってたこと
知ってるはずだもん!!
ほら、ちょっとニヤニヤしてる!!
「フフフ、2人とも仲良いんだね。」
「えっ??」
「まさか。」
ちょっと...まさかって。
「2人は付き合い長いの??」
「幼なじみです。」
「家が近所とか??」
「いえ、結構離れてますよ。」
「じゃあ...幼稚園とかからかな??」
「はい。」
「腐れ縁ってやつですね。」
「ちょっと。」
「フフフ、本当に仲良いんだね。」
ちらっと由仁の方を見ると、
一瞬だけ嬉しそうに笑っていた。
「...素直じゃないんだから。」
私がぼそっと言うと
由仁には聞こえてなかったみたいだけど、
藤池先生には聞こえていたみたいで
私の方を見て、ニコッと微笑んでいた。
それからしばらく話していて
時間はあっという間に過ぎていった。
「さて、そろそろ私行きますね。」
「もう!?」
「だって、後15分だし。」
「嘘!?」
「夢空はいいよ。
ゆっくりしてきなよ。」
「いやいや、
それ由仁の言うことじゃないよね??」
「どうぞ。
次の授業までゆっくりしてきなよ。」
「いやいや、ご迷惑ですよね!?
私も帰りますよ。」
鞄を持とうと後ろを向いた瞬間、
由仁に手首を掴まれた。
「...??」
「いさせてもらいなよ。」
「えっ??」
なんで小声??
「もしかしたら、
奏哉に会っちゃうかもしれない。」
「あっ...」
「夢空はこのあと授業ないんでしょ??」
「うん。」
「...奏哉には私から言っておく。
授業終わったらすぐ来るから一緒に帰ろ??」
「...えっ??」
「電話するから。
ここで待たせてもらって??」
「...」
「藤池先生、夢空のこと
よろしくお願いしますね。」
そう言って、由仁は研究室を出ていった。
「...すいません。
やっぱり、いさせてもらっていいですか??」
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
「うん。」
私はさっき座っていたイスに座り直した。
藤池先生は何も言わなかった。
「...先生、あの...」
「ん??」
言う必要はないんだ。
私が奏ちゃんに振られようが、
藤池先生には関係ないんだから。
「えっと...」
でも、黙ってるのも気が引ける。
先生には私が話した。
だから、私が先生にきちんと話さないと...
「...いいよ、無理に話さなくても。」
「えっ??」
「...ごめんね、本当は全部知ってたんだ。
岡野さんと椎名さんが泣いてた事も、
...井上くんに告白した事も。」
「...えっ??」
「お茶を買いに行こうと思って
外に出た時、
散策を兼ねて
大学内をぐるぐる回ってたんだ。
そしたら君たちが見えて
道を聞こうかと思って追いかけたんだ。
そしたら...」
「もう大丈夫です。」
「...」
「...ハハハ、見られちゃってたんですね。」
「ごめんね。」
「いえ...話す手間が省けて良かったです。
気にしないで下さい。」
知ってて、
寝不足なんて冗談言って
笑わせてくれたんですね...
「...」
「私、ちょっとだけ
自惚れてたんですよね。
でも違った。
どんなに他の子より近くにいても...
私にだけ態度が違っても...
幼なじみは...幼なじみなんですね。」
あぁ...また涙出てきた。
「...」
「でも、奏ちゃんもひどいですよね。
思わせ振りな態度ばっか取って...
期待しない方がおかしいですよね。」
「岡野さん...」
「他の子が私みたいにならなければ
いいんですけどね。」
「岡野さん。」
「...」
「泣いてるよ。」
「...すいません...」
「ううん。」
藤池先生は首を振ると、立ち上がった。
「...どこか行くんですか??」
「あぁ、気にしないで。
ちょっとタバコ吸ってくるだけだから。
...ゆっくりしてて。」
そう言って、藤池先生は出ていった。
ドアが閉まって、それから鍵の閉まる音もした。
「...」
気を遣ってくれたのだと思う。
そのおかげで私は泣けた。
誰にも見られずに
これでもかってくらい泣いた。
タバコは吸わない。
なんとなく...
席を外さないといけない気がした。
俺はある場所に足を進めた。
「あっ、やっぱりいた。」
俺の思った通り、
井上くんはベンチに腰掛けたままだった。
「...」
「隣、座ってもいいかい??」
「...あっ、どうぞ。」
「ありがとう。」
「...」
「...」
沈黙が続く。
まぁ、予想通りだけど。
「...あの、俺...席外しますね。」
立ち上がろうとする井上くん。
まぁ、これも予想通り。
「いや、君に話があるんだ。」
「...俺にですか??」
「うん。」
少し疑いの目で見ながらも
彼は座り直した。
「...で、話って言うのは??」
「なんだと思う??」
「はい??」
「フフフ。」
「...分かりませんよ。」
「今、一瞬間があったね。
なにか心当たりあるのかい??」
「馬鹿にしてるんですか??」
「いや??
じゃあ、単刀直入に聞くけど...」
「...はい。」
何を聞かれるか、ちょっと焦ってる様子だ。
「...あの日、研究室の前にいたよね??」
「あの日??」
「俺がここに来た日の夜。
高木先生との会話聞いてたんじゃないかな??」
「...!!」
「あっ、あと。
あの話も聞いてたよね??
俺と岡野さんの話。」
「...知ってたんですか??」
「うん。」
「...性格悪いですね。」
「立ち聞きしてた
君ほどではないと思うけど??」
「...」
「否定しないんだ??」
「...してたのは事実ですから。」
「ふーん。」
ここまで予想通りの反応されると...
ちょっと面白いね。
「...で、だから何なんですか??
まさか...それだけ言いに来たわけじゃ
ないですよね??」
「もちろん。」
「本題に入って下さい。
俺、このあと人と待ち合わせてるんです。」
あぁ、椎名さんね。
「フフフ、ごめんね。
本題と言うか...そうだな...
あの話、全部聞いてたよね??」
「...はい。」
「じゃあ、俺の意思を分かってくれてるよね??」
「...」
「ん??」
「...夢空のことですか。」
「うん。その通り。」
「俺にどうしろって言うんですか??」
「どうって??」
「俺と夢空は...ただの幼なじみですから。
何も出来ませんよ。」
「そうか。
でも、協力はしてくれるよね??」
「...」
「井上くん??」
「お言葉ですが...」
「ん??」
「先生は夢空が好きだと言ったのを
分かってたと言って流しましたよね??
それなのに、
協力しろなんて...虫が良すぎませんか??」
「...人の気持ちなんて、
簡単に変わってしまうものだろ??
...好きと言われてから自覚する人だって
いてもおかしくないだろ??」
「...」
「フフフ。」
「...失礼します。」
「少し意地悪しすぎたかな??」
でも、これくらいしないと
やり甲斐がないからね。
気付いてよ...バカ -7-
藤池先生、始動し始めましたね。
個人的に好きです(笑)
とあるスポーツ漫画の部長を
イメージしています。
分かる人は
すぐ分かると思います(笑)
是非、
読んでくださってる皆さまも
自分の好きなキャラや芸能人を
イメージして読んでいただければ
嬉しいです(*^^*)