愛された子だけが愛をうけとることができる夜


伸び出たレンガから煙

町娘は雪がちらつく星空をみる

子供の急かす声を聞きながらシチューを煮る

酒太りした腹をさすり



池には森の家族が映り

例年のようにひとつの命が散る

ある人間の子供は両こぶしを握る

大きな影の人間はみてみぬ振り



雪が積もったころ彼がきた

暖炉の暖かさで雪がひたひた

枕元に歪な愛



寒空に子供と森の素足の跡

行き倒れているのは鳩

雪のあいだから突き出た枝に愛はない

愛された子だけが愛をうけとることができる夜

愛された子だけが愛をうけとることができる夜

ソネットです。 声に出して読んでみてください。

  • 韻文詩
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-19

CC BY-NC-ND
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