骸骨ばなし
BARで・・・。
① おう、しゃしぶり。
② え・・・誰・・です?
① なんで~な。ほら、派遣で出荷の仕事で一緒になった~・・・
② あぁ、山さん。久しぶ・・・
① ちゃうよ。山さんは、ほら、もうちょいぽっちゃりな~感じでぇ・・・
② あ!中やん!?
① 中やんは、木偶の坊やん。・・・ほら、よう喫煙所で~・・・
② はい、分かった。原さんや。煙草仲間の。
① なんで~なぁ。もう一人おったやん!ほれ!セブンスターのメンソールの・・・
② ・・・ん?おったか?俺、夜勤やけど~・・・
① あ、夜勤?・・・何やぁ、俺昼勤やわ。人違いかいな。
② まぁ、分からんわね。骨やと。てか、話合わせてただけやけど。
① !!!ほんまかいな。てっきり、知り合いやと思ったわ。幾ら骨でも。
② 僕は営業やっとったわ。奈良で。おたくは?
① 大阪。東大阪やわ。何か後ろから見た猫背の部分が、知り合いによう似とるんよ~。
② 骨になって肉無くなったから、猫背治るかなぁ思うててんけど・・・あかんね。余計やわ。
① 俺も猫背やからなぁ。分かるわぁ~。肉で支えてたんやろね。しかし、遅いなぁ。
何が?
① いや、その知り合いと待ち合わせしとんのよ。おっそいなぁ。携帯もあらへんから
連絡つけようないわ。
② 伝書骨おるやん。
① ・・・ん?何それ?
② なにそれって・・・伝書骨やん。知らんことないやろ~。あれが伝言してくれるんやん。
① あの、そこら辺うろついとる鶏ガラが?
② そうそう。どれでもええから、声掛けたらええわ。
① ほんまかいなぁ。ほな~・・・ちょっとやってみよか?
② そうそう行ってき。・・・マスター!同じの頂戴。
(①伝書骨の近くへ)(マスター③)
① あの~・・・すいませ~ん。ん?聞こえてんか?もうちょっと近くで?
すいませ~ん・・・あれ?どこいくねん?ちょっと~・・・
③ 何やっとん、あのおっさん。
② ん?あの骨鳥に伝言伝えたら相手に伝えてくれはるで~、て言ったら
信じてもうたわ(笑)
③ 性格悪いなぁ。せやけど、気付かんかぁ?あ・・・戻ってきた。
① ・・・なんやあれ。一個も聞いてくれへんがな。あ、マスター黒霧ロックで。
② んふふふふ(笑)
① 何や、どうしたん?おもろいことあったん?
2 あははは。・・・おっちゃんや。おもろいの。
③ (笑)。はい、黒霧ロックね~。
1 何がやねん。何かしたか?・・・あぁ、うまい!ええなぁ。
2 ん~、伝書骨てねぇ・・・おらんのよ(笑)
1 ・・・あそこおるがな。ほれ、え~~~7,8匹おるやん。
2 あれは、ただの骨鳥や。・・・う~そ!うそ、や。
1 ・・・何やぁ、おかしい思うたわ。幾ら話しかけても、バタバタ飛んで行くからなぁ。
お前は何を伝えにいくねん?いずこへ?やで。
2 あははは。しかし、よう騙されんなぁ。この世界は騙すん多いからなぁ気ぃつけやぁ。
1 生きとった時もよう騙されとったけどなぁ。お金もよう持っていかれたわ。
2 ん~、てか初日か?ここは?
1 いや、1週間経つで。3丁目の墓場がわしの家やわ。
2 ほな、まだ新米やなぁ。まぁ、ぼちぼちいきや~。訳分からん事だらけやろうから。
1 兄さんは長いのここ?てか、貫禄あるもんなぁ。
2 もう1000年位かな?たぶん、そんぐらい。
1 !!・・・1000年!!!!!病気もなんもないんか?
2 何やねん病気て。骸骨に病気も糞もないわ。
3 いや、あるよ。嘘言うたあかんがな。
2 へ?俺一回も病気したこと無いど。
③ まぁ、滅多にかからん病気やけどなぁ。腐骨病て聞いたことないか?
1 あ~、骨が腐るやつや。何が原因かはまだ分かっとらんねやろ?
③ おっちゃんよう知っとるやん。どこで知ったん?
1 死神さんに聞いたよ。ここはこういう所でこういう病があって~、て。
2 俺はそんなん無かったど。
③ 忘れてるだけちゃうん。てか、見たことないか?指先がボロボロの人とか。
頭に穴空いてる人とか。
2 あぁ~そういえば、ちらほらおったようなぁ。あれそうなんかぁ、へ~~~~~。
③ 俺は原因知っとるけどな。だてに長生きしてないよ。
1 ん?マスター何歳なん?
③ 何歳見える?
2 そんなもん見分けつくかいな。人ん時は何となく分かるけど
骨になってからわなぁ~。区別つけ用がない。
1 確かになぁ。男か女かも分からんもんなぁ。
③ ?・・・男と女の違いは分かるやろ~。
2 お教えしよう。その前に・・・マスターおんなじ奴ちょうだい。
③ バランタインね~。おっちゃんは?
1 あ、同じやつで~。
骸骨ばなし