Witch magic
人間は、神の遊びに付き合わされる。
それは、殺し合いの物語。
それは、異能力者の物語。
Prologue Cupid
灰色と黒が交わり、離れる……を繰り返す四次元のような空間に、ツインテールの少女とボブヘアーの少年が体、顔に血を塗りながら話しをしている。
その一方上空には机と椅子、ノート、筆記用具などが宙を浮く。
「私は生き残って、それで……だけど……貴方と一緒に帰りたい、の……うぅ……帰りたいよう……っ」
少女の弱気な言葉を聞いて少年はいつの間にか手にもっていた刃を、少女に向けていた刃をしまう。
「俺もだ……だけど、帰れるのは一人、勝ち残った一人、だろう? だから、契約したじゃないか」
刃の反射光を見て、身震いをしながらも、口を再び開く。
「……そ、そうだけど……。でも……私は……」
刃を見ても身震いしかしなかった少女の瞳にはいつの間にか大粒の涙があふれ、そとへと放出される。
「俺だって、一緒に帰りたい。だけど、ダメだ。生き残れるのは一人だから」
少年の言葉には、冷たく、突き刺さる刃を、少女の言葉には聖母のような慈愛にあふれた言葉が音楽のように流れる。
「そう、だよね。ごめんね……ふふ、それじゃあ、来て」
少女の瞳、頬には伝っているが、その瞳には強い、強い意思の念が見られる。
「力を開放しろ」
少女は少年の言葉に首を横に振り、ツインテールにしてる髪が大きく空を斬る。
「あなたに、殺されるなら、本望、かなって。えへへ……だから、一度死んだ私の願いを叶える、と思ってその刃で私を――」
「断る!」
少年の言葉に少女は苦笑を浮かべ、一歩、一歩と近づいていく。
「お願い、だから」
「やだ」
「……ここでのルールは、片方の手で殺さなければならない。でしょう?」
「そんなの知らない!」
少女の言葉は少年に突き刺さる刃、少年の言葉はだだをこねる少年、すっかりと立ち位置が変わっている。
そして少女は少年の手を取り、刃を自分の胸へと――
「やめろ! やめろよ! なんで、なんで! ここで力ぁ、使うんだよ……意味、わかんねェよ……」
「ごめんね、私……馬鹿だから……自分でも、わかんないよ」
つきささる。
一時保存に愛を込めて
いちほ・覚えてますか
Witch magic