北の桜、南の雨

北の桜、南の雨

北の桜、南の雨

 北海道でようやく桜が咲いたという知らせを聞いたと思ったら、沖縄ではもう梅雨入りしたという。

 幼いころ、桜は三月の終わりから四月の初めに咲くのが当たり前だと思っていて、五月に咲く地方があることがあるのに驚いた記憶がある。そしてこの時期に梅雨に入る沖縄の早い梅雨明けを羨んでいたものだ。雨が降ればプールの授業も中止になり、外で遊ぶこともままならない。

 昔、桜前線はほぼ人の散歩する速度と同じ速さで北上していく、と読んだことがある。今年の桜は人の散歩というより、短距離走のような速さで駆け抜けていった気がした。

 梅雨前線はどうなのだろうか。感覚としてはいつまでも居座り、あちこちに大雨をもたらすというイメージなのだが、雨を必要とする方々もいらっしゃるのだから、ないと困るものではある。
  
 桜前線と梅雨前線を同じものとして捉えるのは誤っていると思うが、季節の移り変わりを示すものとして似たように感じる。春と初夏、もしくは夏が同じ日本にいる。何か不思議さを感じずにはいられない。

 さて、衣替えを進めよう。

北の桜、南の雨

北の桜、南の雨

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-17

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