気付いてよ...バカ -6-

6です。
1週間以上あけてしまいました...
申し訳ないです(;>_<;)

<登場人物>
*岡野 夢空(おかの むく)
*井上 奏哉(いのうえ そうや)
*椎名 由仁(しいな ゆに)
*浦上 咲(うらがみ さき)

...その他??←

告白...

-6-

次の日。
私は奏ちゃんを迎えに行くため
奏ちゃんの家に行った。

いつもは逆だけど、
珍しく奏ちゃんが来なかったから
電話してみたら寝坊しちゃったらしい。
奏ちゃんは、先に行ってくれって言ってたけど
まだまだ時間に余裕があったから、
私が迎えに行くと伝え、今に至っている。

「あっ、奏ちゃん。おはよう。」
「おはよう。ごめんね。」
「ううん、大丈夫。」
「じゃあ...行こうか??」
「うん。」

こうして一緒にいれる
些細なことだけど、私にとったら大きな幸せだから。

「ふぁ...」
「奏ちゃん、眠いの??」
「んー、少しね。」

そう言って、またあくびをする奏ちゃん。

「寝不足??」
「んー、どうだろ??」
「珍しいよね。」
「そう??
まぁ、昨日は寝るの遅かったからね。」
「そうなの??」
「うん。ちょっと考え事。」
「...そっか。」

奏ちゃんが“ちょっと”と言う時は
絶対私に話さない。

「そういえば。」
「ん??」
「夢空、昨日...」
「昨日??」
「...一緒に帰れなくてごめんね。」
「あっ、ううん。」
「由仁から聞いた??」
「うん。教授に呼ばれてたんでしょ??
仕方ないよ。」
「ありがとう。
もう調査は終わりそうなんだ。」
「そうなの??意外に少なかったんだね。」
「いや、結構行ってたよ。」
「本当??」
「夢空が授業の時とか行ってたからかな??」
「そうなんだ...」
「あとデザインのに行けば終わりだって。」
「デザインは...知ってる人では
誰も取ってないね。」
「うん。」
「頑張ってね、奏ちゃん。」
「うん、ありがとう。」
「...あれ??」
「ん??」
「デザインの先生って
今週から産休に入る予定じゃなかった??」
「あぁ...そうだっけ??」
「うん。」
「じゃあ...誰がやるのかな。」
「また新しい先生かな??」
「いや、だったら...
藤池先生と一緒に来るんじゃないかな??」
「そっか。」
「...」
「じゃあ、藤池先生だったりして。」
「うん...そうかもね。」
「そういえば...」
「ん??」
「藤池先生ね、オッドアイなんだよ。」
「えっ??」
「えっ??」

すごく驚いた顔をしている奏ちゃん。
二人とも足が止まってしまった。

「...」
「奏ちゃん??」
「なんで...」
「えっ??」
「なんで、そんなこと...夢空が知ってるの??」
「なんでって...」
「やっぱり、一緒にいたの??」
「奏ちゃん??」

今日の奏ちゃん...なんか変だ。
やっぱりって何が??

「ごめん。」
「...」
「今日、なんか頭おかしい。」
「奏ちゃん...」
「今のことは忘れて??」
「...うん。」

そんな悲しそうな目をされたら
何も言えないよ。

「...行こ。」
「うん。」

その後、お互い会話はあったけど
何を話したか...覚えていない。


「はぁ...そういうことか。」

大学に着いて、由仁に相談中です。

「もう、奏ちゃんが何考えてるか
分からないよ。」
「元からだけどね。」
「そんなことないよ。」
「あるわよ。」
「みんな奏ちゃんに対しての評価が
ひどすぎると思う。」
「いや、普通でしょ。」
「奏ちゃん、変人じゃないし。」
「何考えてるか分からない人が??」
「...優しいし。」
「遠慮せずに言いたいことを
ずばすば言う人が??」
「...」
「ん??」
「...そんなに、ずばすば言う??」
「夢空に対してだけよ。
気遣ってくれるのも、優しいのも。」
「そんなわけないよ。」
「私は奏哉が優しいかって聞かれたら
少し考える。」
「...そうかな??」
「夢空、奏哉の告白現場見たことある??」
「ないけど...」
「見てみたら分かるよ。
普段の態度と全然違うもの。」
「えっ!?」
「なんか...冷たいかな。
見に行ってみる??」
「...そんな上手いタイミングで
告白されてるわけ...」
「ないって言える??」
「...」

言えない...かな。
奏ちゃんの容姿なら、
1日に何回か告白されてるかもしれない。

「でしょ??
どうせ、裏庭かどっかに行って待ってれば
来そうな気がするわ。」
「...」
「夢空??」
「...怖い。」
「怖い??」
「...私の知らない奏ちゃんがいるんだって思うと。
ちょっと怖いかも。」
「夢空...」

今まで優しかった奏ちゃんが
そうじゃないかもしれない
そう考えると怖かった。

「...」
「夢空、私は無理に見ろとは言わないけど...」
「けど??」
「もし奏哉と付き合う時が来たら、
奏哉の全てを知る日は来るんじゃない??」
「...」
「別に悪いことじゃないと思うよ??
私だって人によるけど態度変わるもん。
夢空だって、みんなに平等な訳じゃないでしょ??」
「...うん。」
「今すぐじゃなくていい。
でも、奏哉が好きなら全部を受け止めなきゃ。」
「...うん。」
「大丈夫よ、夢空なら。」
「...ありがとう。」
「うん。じゃあ、気持ち切り替えよっか??」
「そうだね。
ありがとう、由仁。」
「いーえ。」

由仁は本当に大人だ。
考えがしっかりしている。
ちゃんと自分の意見を持っている。
それを堂々と人に言えるなんて...

「やっぱスゴいな...」
「ん??」
「ううん。なんでもないよ。」

今すぐは躊躇ってしまう。
でも、もう少し勇気が出たら
違う奏ちゃんを見てみようって、
全てを知りたいと思った。

「あっ。」
「どうしたの、由仁??」
「あれ、奏哉じゃないかな??」

由仁が教室の外を指差すから
そこを見ると、キレイな茶髪の後ろ姿。

「奏ちゃんだ。」

奏ちゃんはこっちに気付いてないみたい。
ベンチに腰掛けて、
どこから出したのか本を読み出した。

「...何してるの、奏哉。」
「読書??」
「外で読書??
いじめられてる子みたい。」
「うん...」

奏ちゃんが気になったけど、
先生が来てしまい、授業が始まってしまった。

私は授業を受けていたけど、
ほとんど奏ちゃんのことを考えてた。

「夢空。」
「ん??」
「奏哉のところ、行かないの??」

90分という長い授業が終わった。
奏ちゃんはまだ外にいて、
行こうか行かないか迷っていた。

「...どうしようかなって。」

もしも行ったとしても、
すれ違ってしまうかもしれない。

「すれ違ったら、すれ違ったで
いいんじゃない??」
「えっ!?」
「さぁ、行くよ。」
「ちょっと、由仁!?」

手を引っ張って連れていくのではなく、
すたすたと歩いていく由仁。
私は早足で追いかけた。


「あっ、まだ奏哉いるよ。」
「ホントだ。」

外に出ると、
奏ちゃんはさっきと同じ体勢でいた。
私たちのいる所から奏ちゃんのベンチまでは
5~6mほど離れている。

「行ってみる??
私たちに気付いてないっぽいし。」
「うん、そうだね。」

私たちが奏ちゃんの所へ向かって
歩き出した。
でも、その時に...

「奏哉くん!!」

違う扉から一人の女子が出てきて、
奏ちゃんに駆け寄った。
私たちは、なんとなく隠れてしまった。

「...ねぇ、夢空。
なんで私たち...隠れたんだと思う??」
「分からない。でも、あれって...」
「告白、かな??」
「やっぱり??」

違う奏ちゃんを見ようと決心した。
でも、早すぎる...

「大丈夫??夢空。」
「えっ??」
「戻ろう...か??」
「...ううん。見ていく。」

他人の告白現場を聞くのは
あまり気が進まないけど、
ずるずるするよりは、ちゃんと見ようと思った。

「来てくれてありがとう。
私のこと、覚えてるかしら??」
「...」
「3年生の浦上(うらがみ)よ。」

3年生...浦上さん...全然知らない人だ。

「あぁ、先週の保育の授業で会った浦上さん??」
「そうよ。」
「お久しぶりです。」

奏ちゃん、ゆるいな...
自分がこれから告白されるって
気付いてないのかな??

「フフ。久しぶりね。
呼び出しといて悪いけど時間がないの。
本題に入っていいかしら??」
「どうぞ。」
「じゃあ、単刀直入に言うわね。
私あなたが好きなの。
奏哉くん、私と付き合ってくれない??」

私が何年も言えなかった言葉を
簡単に口にする浦上さん。

「...なんで俺なんですか??」
「あら、そんなの好きだからって
言えば、満足してもらえる??」
「...」
「まだ会って2回目だけど、
私はあなたが好きなの。
一目見て、直感したのよ。」
「一目惚れってことですか??」
「そうね。」
「...すいません。
お断りさせて頂きます。」
「えっ!?」

断った...

「...じゃあ、失礼します。」
「ちょっと待って!!」
「...??」
「なんで??」
「理由ですか??」
「そうよ。」

かなり怒ってる。
プライド高そうだもんな...浦上さん。

「そうですね...
まず第一に、俺は貴女のこと
好きじゃないので。」
「好きになっていくかもしれないじゃない。」
「...あと、性格が合わなそうです。」
「慣れるわよ。」
「俺は、人の話を最後まで聞けない人と
一緒にいたくないです。」
「...!?」
「それに、我が強い人も嫌です。
恐らく貴女の中で俺に断られない自信が
あったんでしょう。
断られて意地になってるだけで、
俺のことは別に好きじゃないんじゃないですか??

「そんなわけ...」
「ないって言い切れますか??」
「...」
「俺は一目惚れなんて
絶対にないと思っています。」
「...でも、それは奏哉くんの観点でしょ??」

しつこいなー、浦上さん。

「そうですね。
俺の観点なので、それを押し付けるつもりはないです。
ですが...
人を呼び出し時に名前も伝えない、
しかも、それを第3者に頼むような貴女は
誰の観点から見ても非常識だと思いますよ。」
「なっ!!」

奏ちゃん...

「まだ理由を聞きますか??」
「...信じられない。
やっぱり、あなたは変人よ。」

そう言って、
浦上さんは立ち去ってしまった。

「...」
「まぁ、予想通りだったわね。」
「えっ??」
「さっきの人、えっと...浦上さん??」
「うん。」
「顔はまぁまぁ良いけど、性格があれだし。」
「そうだね...」

確かに浦上さんと奏ちゃんとでは
合わないと思った。
なんとなく断るのも分かってた。
でも、それ以上に...
あんな奏ちゃん見たことなかった。

「...夢空??」
「うん、帰ろっか。」
「ちょっと、バカ!!今立ったら...」

迂闊だった...
思ったより近くにいた私たち。
そんな中、急に立ち上がったら...

「夢空??」

奏ちゃんに気付かれるのなんて
考えれば分かることだった。

「...」
「夢空...何してるの??」
「えっと...」

どうしよう...
でも、このままだと由仁がいることも
バレちゃう...

私はその場なら離れて、
奏ちゃんの元に向かった。

「「...」」

奏ちゃんの近くに行ったは良いけど、
お互いに沈黙が続いてしまった。

「...さっきの、聞いてた??」
「...うん。」
「そっか...」
「ごめんね、聞くつもりはなかったんだけど...」

嘘。
聞くつもりでここに来たのに...

「ううん、大丈夫。」
「...」

奏ちゃんが笑うと、心が痛い。

「驚いた??」
「えっ??」
「俺が告白されてて。驚かなかった??」
「...別に。」

奏ちゃんが告白されてるとこじゃなくて、
断った時の態度の方が驚いたよ。

「そっか。」
「奏ちゃん、かっこいいもん。
告白されても別に変じゃないよ。」
「...顔ってこと??」
「えっ??」
「それって、顔で選ばれてるってことでしょ??
それは喜んでいいことだと思う??」
「奏ちゃん??」

なんか、いつもより様子がおかしい。

「顔だけ選んで、
俺のことは誰も見てないんじゃないかな。」
「奏ちゃん...」
「俺の性格も知らないで、
一目惚れしましたなんて言われて
それで俺が断ったら、
こんな人だと思わなかったとかって...
告白して傷つくなら、きっと付き合っても...
...ごめん、夢空に言ったって
仕方ないことなのに。」
「...」
「重い空気にさせてごめんね。」

あぁ、そっか。

「...奏ちゃんは、」
「ん??」
「奏ちゃんは、わざと相手が傷つく事を言ってるよね??」
「えっ??」

たぶんだけど、
奏ちゃんは相手を傷つけてるんじゃなくて
傷つかないように、
わざと言ってるんじゃないかと思った。

「さっきの浦上さんにだって、
わざと酷い事を言ったんだよね??」
「...」

奏ちゃんは優しいから、
好きじゃない相手と自分が付き合っても
絶対に続かないし、
相手が傷つく事が分かってるんだよね??

「...びっくりしたよ??
あんな奏ちゃん、初めて見たし。」
「...」
「でも、あれは演技でしょ??
本当は奏ちゃん、優しいもんね??」
「確かに、わざと言ってるよ。
わざと酷い事を言って、遠ざけてる。
...でもそれが、自分のためだったらどうする??」
「えっ??」

自分のため...??

「...もう二度と俺に好意を抱かせないためとか、
鬱陶しいからとか、
そんな理由で相手を傷つけてるとしても
夢空は俺が優しいって言える??」
「...奏ちゃん??」
「俺は優しくなんてないよ。」

そう言って、
奏ちゃんは立ち去ろうとした。

「待って...」
「...??」

私は奏ちゃんを呼び止めた。
あぁ、やっぱり...悲しそうな顔をしてる。

「...何年一緒だと思ってんの、バカ。
私でもね、奏ちゃんの嘘くらい見破れるんだよ??」
「...夢空??」
「奏ちゃんが天の邪鬼だってことも
私、知ってるから。」
「...」

誰かに見つけてほしい...
本当の自分を受け止めてほしいんだよね??

「本当に昔から...不器用なんだから。
素直に言えばいいのに...」
「...さすが。
やっぱり...何年も一緒にいる幼なじみには
隠し事出来ないか。」

...違うよ。

「幼なじみだからじゃないよ...」
「ん??」
「ただの幼なじみだったら、
嘘ついたとか、奏ちゃんが天の邪鬼だとか
思わないよ...」
「夢空??」
「奏ちゃんだから、気になるのに。
奏ちゃんじゃなきゃ...
一言一言に喜んだり、悲しんだりしない...」
「...」

「気付いてよ...バカ。
私は、奏ちゃんが好きなんだよ。」

気付いてよ...バカ -6-

ついに...告白してしまいました(笑)
これから、
どういう展開になっていくのか、
いい意味で、
読んでくださってる方の期待を
裏切っていきたいです!!←

なかなかスムーズにはいきません(・・;)
でも、日に日にセッション数が
増えていくのをみてると
頑張ろうと本当に思います。

これからもよろしくお願いします!!!!!

気付いてよ...バカ -6-

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-16

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

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