幸せの花。
私と君の
2人ぼっち生活が
のんびり、ゆっくり
始まろうとしている。
ひとりぼっちの2人
そこはむかし、夢のような家で
どんなに辛くても、苦しくても
笑っちゃうような場所で
私はきっと
目には見えない魔法がかかってるんだって
ずっと思ってた....
私は花野辺美桜。
今は高校一年生で、近くの学校に通ってる。家は、まぁだいたい帰ってきても一人。
お父さんとお母さんは離婚。今はお父さんと新しいお母さん、そしてその子供の結愛ちゃんと生活している。
時々、寂しくなる事がある。本当にここは私の家なのかなって、私の居場所はどこだろうって
私の家のはずなのに、居場所のはずなのに、そう考えてしまう。
でも、そんな感情を押し殺すのはもう慣れたもので、自分が何も出来ない事くらい分かってるから
頑張って笑顔をつくるんだ。
「ただいまぁ」
って言っても答えてはくれない。うん、大丈夫。もう慣れてる。
しょうがないからリビングのドアを開け、笑顔で言う。
「帰ったよ。」
「あら、ごめん。気づかなかったぁ。おかえり。」
「うん。大丈夫ー」
「遅いぞ。遅くなるなら連絡くらいしろ。」
「うん...気をつける。」
「ご飯は?」
「食べてきたから大丈夫ー。」
..... バタンとドアを閉め自分の部屋に行く。
はぁ。帰ってきた娘に"おかえり"もない。遅いといってもまだ8時だし。
帰りづらさが邪魔をして、どうしても寄り道や遠回りをするのが
最近の私の日課になっている。
...そういえば、結愛ちゃんの座ってたイス、私の。...大丈夫、気にしない。
グゥ...あぁお腹すいた。何か食べに行こ。そう思って楽しそうな話し声の聞こえる廊下を過ぎて外に出た。
すると、見覚えのある顔が来た。
「おぅ!美桜。何でこんなとこで何してんだ?」
「ふつーにコンビニのお弁当食べてるんだけど?」
「違うわ。何でこんなとこで食べてんだって聞いてんの。笑」
「な、何でって、、、何でもだよ。」
「....よし、家来い!何か作ってやるよ♪」
「ヘ?な、何で!?」
「まぁ、いいから。どーするの?来る?来ない?」
「い、行く行くー!」
そう慌てて言うと、一雅は優しく笑って歩きだした。
....く、、今のは反則です。と思いつつ、きっと新しい家族とうまくやれてない事、分かったんだな。
そう感じた。そゆとこ、すぐ一雅にはばれちゃうんだよねぇ。
そうそう、彼は草木一雅。
近所で幼なじみ。まぁ、幼なじみといっても、もう24歳の大人。実は私の心の中で密かに想ってる人でもある。
彼は私の小さい頃、両親を事故で亡くし、今は一人で暮らしてる。
ガチャッ。ドアが開いて懐かしい匂いがした。
私はよく、一雅の家に遊びに行ってた。お母さんやお父さんも仲が良く、この家に来るといつも笑顔でいられた。
「ま、とにかく食べろ♪」
私がそんなことを思っていると、いつの間にか美味しそうなご飯が並んでた。
「わーぃ!ありがとー♪ ん~めっちゃ美味しい♪.....」
「....ん。なに泣いてんだよ。はい、ティッシュ。」
「........な、無くなっちゃった。私の居場所、無くなっちゃった....」
「.....じゃぁ、家、来れば?」
「...へ??」
こうして私達の2人ぼっち生活が始まろうとしていた....。
幸せの花。
これから
楽しくて、切なくて、あったかい
2人の生活が
始まる。