形而上な夏

銀魂二次創作、幼少の攘夷3人と先生のお話。

昼下がりの夏の午後。
今年も例年どおりの暑い夏を迎え、朝から遊んでいた三人にも疲れがみえてきた。
「先生〜」
そう叫んだ三人は汗だくで床に倒れ込んだ。

暑い夏である、空には入道雲が浮かんでいる。
アイスを口に頬張るが次から次へと汗となって流れ出てくる。
「今日、家の用事あるから先帰るぞ」
そういって一人彼らの輪から外れる。
「先生、ありがとうございました」
と丁寧にあいさつをして去っていった。
「また遊びにきてくださいね、晋助君」
そういうやりとりを遠くで聞いてた。

蝉が鳴いている。
二人はなにをするでもなく、暑さで焼けてできた陽炎をぼんやりとみていた。
「どうしよう」
最初に言葉を発したのは髪が長い男の子だった。
「今日、きめねぇとやばいよなぁ・・・」
もう一人の男の子はそう返した。
風が吹いて、風鈴が鳴った。
「今日、九日で明日あいつの誕生日だぞ。」
「いったい、なにをやったらいいのか」
ため息しか出ない。
「銀時のときは簡単だったな、いちご牛乳カルシウム入りをやった」
「一日で飲んだ」
「ヅラの時は簡単だったな。宇宙怪獣ステファンあげた」
「いまでももふもふしてるぞ」
また風が吹いてちりんと鳴った。
じゃあ彼には?

ナニガスキダロウ?
ナニガホシイダロウ?

「先生に聞いてみようか」
という答えしか出なかった。

「晋助君にですか?」
先生もさすがに暑いのかうちわを片手に本を読んでいた。
「先生ならわかるかなと思って」
窓を全開にしても暑い季節だった、先生は本を閉じた。
「・・・私がもらって一番もらってうれしかったものを見せてあげようか」
そういって立ち上がると、タンスの引き出しからなにか出した。
一人は大声で笑って、一人は顔を真っ赤にさせた。
「先生!まだ持ってたんですか」
「えぇ当たり前じゃないですか、銀時が初めて書いた私の名前の書です」
「ヅラ〜!そんなに笑うな」と長い髪をひっぱった。
「だってさ〜」
「まぁ小太郎君が笑うのはしかたがありません。これでも何枚も書いた当時の結果で、これはこれで味がある字です」
「先生、下手だといってくれた方がいいです・・・」
「でも、わたしにとってこれが今まで一番もらってうれしいものなんですよ」
そういって先生は二人に向かって優しくほほえんだ。
「ろくに読み書きできなかった銀時がかいてくれたんです、本当にうれしかったですよ。銀時が私のために、書いてくれたんですから」
誰かのためになにかをすること。
人として大切なこと。
「たいせつなのは見てくれや物ではない。もっとずっと深くて、見えないものです。」

次の日
今日もひどく暑い日だ。
先生の言ったことがわからないまま、この日を迎えてしまった。
待ち合わせの時間より早く来た二人はそわそわしていた。
「ズラ、これでいいのか。ベターじゃね?」
「おまえもいいと言ったんだ。もうここまで来たんだから文句はいうなよ」

日陰ができている木の裏でごそごそしているのが奇妙だと待ち合わせどおりきた男の子は思った。
「おまえら、はやくきたんだなぁ」
「・・・晋助」
「おい、いいだしっぺはおまえだズラ」
「提案したんだからおまえから言えよ、銀時」
「・・・っく、わかったよ」
そういって、二人は同時に出した。
「・・・たんじょう、び。おめでとう」
そういうとふたりは同時にだした。
「・・・花とかベターじゃないか?」
二人が出したのは空にもある太陽のようなひまわりが二つ。
「ほら、やっぱりだ、ヅラ。だからやめようって言ったんだ」
「代行案を出さなかったおまえもわるいだろう」
二人は口げんかをしてる最中、
「ま、うん。ありがと」
といって受け取った。

ー大切なものは見てくれや物じゃない、もっとずっと深くて見えないものですよ。ー

遠くで三人を見つめる人が一人。
ふっとみると、二つ分の花がないひまわりがあった。

形而上な夏

サムライに華なんざ、似あわねぇ。
高杉に向日葵は似あわねぇ。
でもやつの誕生日夏なのでこんなになりましたがいかがでしょうか?

形而上な夏

  • 小説
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • SF
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-13

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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