魔法学校

プロローグ

燃え盛る炎の中、一人立ち尽くす女がいた。
女の手は血に塗れ、一つの刀を握りしめていた。
刃に滴る真っ赤な液体、それは今自分の足もとにいる物のだろうか?
足もとに積み上げられたもとは”人”だった肉の塊を見て思う。
それは人の形をしているがもう、人として喋ることも、痛みを感じることもないただの肉塊となっていた。

ふと、自分の腹をさする。
上を見上げると太陽を邪魔するかのように雲が空を覆い、灰色に染めていた。
それから落ちる一筋の水は雲の色とは違い、銀色の滴を女に浴びせる。
まるで、自分についた血を流すようだ。と女は思い目を閉じた。
雨は、自分を濡らしていくのではなく、包み込んでくれるような気がした。

第一章

人が魔力を手に入れたのはいつからだろうか?
正確なときはまだ知らないが大体300年前くらいから始まったといわれている。
車や飛行機があった時代からもう500年もたった。
その世界は石油を燃料する車や飛行機、暖房、そのた諸々に頼ることはなく、自らの力、つまり魔力でものを動かすことができる世界だった。
空を飛ぶとき、自分の魔力を使い体を持ち上げ、体を進めるため飛行機といった乗り物を使う必要もない。
自動車もまたしかり。

しかし魔力は体力と似たようなもので使いすぎれば疲れてしまう。
ただ、体力と違うのはその魔力の多さの限界は人によって個人差があることだ。
どれだけ修行しようとも人によってそれ以上多くならなかったり、何もしなくても努力している人より多く魔力を持っていたり。
つまり生まれた瞬間にその人の人生が決まってしまうような世界になったのだ。

そして始まる争いごと。
それは昔の再来のような気もする。
人が人を殺め、そして国を乗っ取ろうとする。

そして、それぞれのタイプで別れた結果、人類は大きく三つに分かれそれぞれを根絶やしにしようと戦いが始まったのだ。
一つは魔法を受け入れ、魔法とともに生きいることを選んだ人間たち、そしてもう一つは魔力が少なく、その代り体術で魔法に抵抗をしようとする人間たち。そして最後はまったくもって魔力を持っていない生粋の「人」だ。

「人」は魔力を持ったものを「異端者」と呼ぶ。
しかし、大きく三つに分かれたといえど「人」は闇の者としてその姿を見たものはいないとされている。
伝説のような気もするが見たものがいないというのは彼らはとても強く、魔力を察知するとすぐに切り捨てるため彼らを見た後、この世にいることができないらしい。

「魔力派」「武道派」「人」のほかにも小さな組はたくさんあるのだがこの三つに比べれば力は大したことがない。
しかしこの三つの中で「魔力派」「武道派」は主に団体行動、協力し合って生きている、つまりは群れ行動をしているのだが「人」だけは違いそれぞれ単独行動をとっていて「魔力派」「武道派」のなかに紛れ込み、その数を減らして言っているといわれている。
「人」は「人」どうし自分たちが仲間だと証明する印を持っているらしい。
しかしお互いが仲間だとわかったところで協力をすることはない
目指すものは同じでもこの戦いが終わるまで馴れ合うことはない、そんな「人」を「魔力派」と「武道派」の者達は侍と呼んだ。

そして、彼女ミオ・イリーナは魔法派の卵だ。
魔法派、武道派の国にはそれぞれ戦闘の仕方を教える学校があった。
その生徒達を卵と呼ぶのだ。
「また不合格…もうやだああ!」
手に持っている紙に書かれた不合格の文字。
叫んだと同時に紙は凍りつき、パリンと軽快な音とともに砕けちった。
「うわー、ミオまた不合格なの?」
笑いをこらえながら、いやこらえきれずにニヤニヤとしている少年、智幸をミオは睨みつける
この不合格は戦闘に

魔法学校

魔法学校

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-13

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  1. プロローグ
  2. 第一章