6月の約束

大学生になったミコトと静
二人の幼馴染の物語

一章 

6月で先週から梅雨入りと言われていたがその日は晴れていた
いつも通り大学を終え帰ろうとしていた私に声をかけたのは同級生の静(しずか)だった

「みこと~お疲れ」
「お疲れ様~静も今帰り」
「いやーそれが補講が入っちゃってね~今から40分後なのです」
そういうと彼女はいかにも面倒くさそうな顔をした

「まぁ補講も早いうちに片付けといたがあとから楽だし前向きになりなよ」
「みことはいいよね~なんかいっつも前向きだし」
「そんなことないよ、私にだって悩みくらいあるしネガティブにもなるよ」
すると静がにやにやしながらわたしにたずねた

「もしや・・・それは恋の悩みですかな」
「まさか~あんたから見て私が恋愛とかに興味ありそうに見える」
「だよね~そういうの興味なさそうだもん」

そういいながら静はまたひとりでくすくすと小さく笑った

「そろそろいい相手探しなよ~
しゃべる男子とかは普通にいるのになんで恋愛対象はいないのよ」
「だってせっかく仲良くなったのにそういうの意識するの嫌じゃん面倒だし」
「あんた美人なのにもったいないよ」
「まぁ私の本命は静だし」
「告白されちゃったぜ」
「冗談だよ」
「振られちゃったぜ」
「振ってやったぜよ」
「そいやミコト今日またミコトの家いってもいい?」
「また食料が尽きたのか」
「それもあるけどおばさんに会いたい」
「全然いいよーお母さんも喜ぶしー」
「ん邪大学終わったらまた連絡するぜー」

そんな他愛もない会話をだらだらしながら二人で適当に時間をつぶしたあと静は言っていた通り補講に向かった
別れ際に静は私に対していった。
「でもミコト本当にその容姿なのにもったいないよーためしに誰かと付き合ってみればいいのに」
「だからどーでもいいって言ったじゃん」
「私が男ならほっとかないよこんな美人さん」
「静がそう言ってくれるなら私は十分だよ~」

正直私にとって本当に男と付き合うとかどうでもいいことだった
静はグループがどうとか言っていたけど
もともと集団行動があまり好きじゃない私からしてみれば会ったら話す程度の友人関係が築ければ十分だ
というより極端な言い方になるけど静一人いてくれれば十分な気さえしていた
静も言っていたが私は見ためがいいらしい
だがそのせいで周りの人の中には変な距離感を感じてしまう人もいるみたいでそういう人と話すのはしょうじきだるい
そうかと思うと全く知らない初対面のくせに馴れ馴れしくしてくるやつもいる
どちらも一緒にいて面倒だし中には一緒にいたくない子もいる

だけど静は付き合いが長いということもあり、全く私に気を使わないで気兼ねなく何でも話してくれるしこっちも話すことができる
もちろん静以外にも親しい友人は何人かいる
だけど本当に困ったときや助けが必要なときはまず静に相談をしていた
それくらい静のことは信用しているし慕っている
静は私にとってかけがえのない友人であった
私は静が本当に好きだった

二章 自覚

静と別れた後私はとくにすることもなかったのでとりあえず大学を出た
基本的に大学が終わってからは静といることが多いのだが今日は静が補講なので久しぶりに一人だった
「たまには悪くないか」
そんな事を思いながら1人音楽を聴きながら家に帰った
まだ時間も早いせいか家にはだれもいなかった
私はひとりっこで両親と3人で暮らしているがお父さんは単身赴任で自宅にいないため実際は私とお母さんの二人暮らしだった
だけど週に2回は必ず静がうちに来てくれる
静は一人暮らしで料理が全くできないので食料に困った時はうちにきてご飯を食べて泊っていくことが多い
お母さんも静のことは小さいころから知っているので静が来ると喜んでくれる
料理は基本的に私かお母さんのどちらかが作っているが今日はお母さんより私のほうが早かったので私が当番だ
「しくった・・・帰りに買い物してくれば良かった」
とりあえず静にメールで何が食べたいか聞いてみよう
静は補講中だがどうせまともに受けていないことは分かっていたのでメールで何が食べたいか聞いてみた
メールを送信して2,3分後に返信が来た

(私はミコトを食べる(¯―¯٥))

適当に返信を打ってまた送信した

(そんな変態を家に入れるわけにいかないなヾ(・ᆺ・)ノ゙)

すると今度はすぐに返信が来た

(ごめんんさいきょうは麺類が食べたいでござる)

ごめんんさいってなんだよと思いつつも私は静に「わかった」と返信して買出しに向かった

麺類の中で静が好きなものを考えながらスーパーに向かった
結局静はなんでも食べるので静が食べれないものさえ避ければいいという結論に至った
(お母さんも好きだしスパゲッティでいいかな・・・ソースいくつか作れば飽きないだろうし)
しかしスパゲッティだけじゃ物足りないと思いデザートにヨーグルトムースを作ることにした
ぶっちゃけ私が食べたかったからだし静が前に作った時褒めてくれたことが嬉しかったからだ
それにこれなら静でも作れる



適当に材料をそろえてからスーパーを出た
時間は4時20分
静の補講ももうすぐ終わるだろうし下準備だけでも先にしておくことを決めた私はスーパーからまっすぐ家に帰った

帰る際私は昔静と話したことを思い出していた
まだ私たちが小学生だった時にした約束のことだった
その日のことは、はっきりとは覚えていないけどその約束をした日は今日とは真逆でとても天気が悪かった
そんな中私と静はお母さんからお母さんからお母さんが結婚式を挙げたときの話を聞いていた
お母さんは前からジューンブライドに憧れていて結婚式を6月に行いたかったらしいがお父さんがどうしても休めない仕事があるからと言って結局7月の半ばになったしまったのだ
その話を聞いた私たちはお母さんに言った
「じゃあ代わりに私とみこちゃんが6月にジューンなんとかをすればいいよね」
「静ちゃんジューンブライドだよ!でも私静ちゃんが他の人にとられるの嫌だ…」
「それなら私たちが結婚すればいいんだよ、そうすれば二人でずっと遊べるし一緒に入れるよ」
「でも女の人同士で結婚ってできるのかな?」
「私たちは仲良しだからいいんだよ!それともみこちゃんは私といるの嫌?」
「全然いやじゃないよ!そうだね私たち仲良しだもんね!」


はっきり覚えていないが二人で話した約束のことだけはきちんと覚えていた
実際約束通り私たちは一切離れることなく大学まで来た
だけどさすがにこれからはどうなんだろう…
流石にこれからずっとにはいられないかもしれない
ましてや結婚なんて今になれば当然できないこともわかっている
だけど…
そんなことを考えて歩いていたら家についていた
家の前にはちょこんと静が座っていた

「静早かったね、さっき連絡くれたばっかりなのにてか補講早く終わったの?」
「補講後半テストだったんだよー、だから適当に埋めて帰ってきた」
「適当にって…あんたまた補講対象になっても知らないよ」
「そうならないようにちゃんと勉強道具は持ってきました」
「私は教えないよ?」
「ミコトのいじわる~でもなんやかんやで私のこと助けてくれるからね」
「あんた言っとくけど高校までと違って科目全部一緒じゃないからね?」
「残念ながらこれは必修科目の勉強なのだ!」
「ならなおさら補講とかで呼ばれたらまずいだろ…まぁとりあえずあがりな」
「お邪魔しまーす」

そういって静を家にあげて私たちはしばらくだらけたあと調理に取り掛かった
先にデザートのムースから始めた
ムースは静も作れるから二人で一緒にしゃべりながらだらだら作った
一通りムースができたから冷蔵庫で冷やしその間にスパゲッティを作ることにした
麺を先にゆでると冷めてしまうので先にソースを作ることにした
とりあえずミートソース、ホワイトクリーム、そしてキノコ多めのトマトソース
静はキノコが好きなので静のリクエストで作ってあげた

「静どうするできたけどー?」
「おばさん待っとかないと可哀想だしまっとこーよ」
「とりあえず電話してみるよ」

そういって携帯を取り出して私はお母さんに電話をかけたが全くつながらない
なんでかからないか考えていた時にふと朝今日は遅くなるといわれたことを思い出した

「静ごめんそいや今日お母さん仕事で遅くなるって言ってたわ」
「あちゃー、てかそういうことはちゃんと覚えときなよ」
「私基本的に何も考えてないから」
「じゃあおばさんいないなら先に食べとこうか」
「お母さんの分はいちよとっておこうか、食べてくるかもしれないけど」
「まぁ帰ってこなかったら私たちであとから食べればいいでしょ」
「それもそうだね」

ということで私たちは久しぶりに私の家で二人きりでご飯を食べそれからすぐに片づけをした
食べている途中も片付けの時もいつも通りくだらない他愛もない話をしたりテレビを見たりしていた
しかし私にはさっき買い物の帰りに考えていた約束のことがもあり静のことばかり考えていた

(静はあの約束のことまだ覚えてくれてるのかな…さすがにあんな昔のこと覚えてないか
にしても静可愛いよなー、体のラインも綺麗だし性格もかわいいし私なんかより全然いいじゃん
私が男なら絶対アタックしまくるのになーてか静は本当に彼氏いないのかな…いたら話してくれるよね)


そうこうしているうちに片付けまで終わった
静の提案で近くの銭湯に行くことになった
理由は単に大きい風呂に入りたいのと二人で入りたいだからとのことだ
正直私は静がそんなことを言うとは思っていなかったので嬉しかった
銭湯につくと私たちはさっさと服を脱ぎ身体を洗いお湯につかっていた
平日ということもあり銭湯は私たち二人しかいなかった


「にしてもこうやって見ると本当にスタイルいいよねミコトは」
「やめろよ流石に裸をじっと見られるのは静でも恥ずかしい…」
「珍しく女の子みたいだねー」
「みてわかる通り女だよこんな性格でも」
「そんな怒んないでよー私は見られても恥ずかしくないから好きにどうぞー」
「まぁお前は確かにスタイルいいし出るとこ出て締まるところはちゃんとしまってるからな」
「えへへーミコトに言われると嬉しいぜー」
「にしても二人で飯食ってふたりで銭湯なんて珍しいよね」
「そうだねーまるでカップルだね!」


そう言われたとき思わずどきっとした
さっきまで約束のことを考えていたこともあるが何よりそれを静が口に出した瞬間から静を自分の恋人のよう認識してしまったからだ
しばらく私がだまっていると静が私にまた話しかけてきた
 

「どしたのーミコトー?のぼせちゃったかな?」
私は慌てて返事をした
「あーいや…うんなんか頭がボーっとするわもうそろそろ上がろうかな」
「じゃあ私ももう少ししたら上がるから先に上がってて」
「悪いね」
「お気になさらず!」

なんか変な感じだ
たった一言で認識が変わった

まるでカップルだね!

静は思ったことを口にしただけだろう
なのに私は違った
それまでずっと友達、いや親友だと思い本当に友人として好きだと思っていた静かに対する思いが別の物のように感じた
確かに静は好きだ
明るくてどっか抜けているけどそれでも私が相談した時には真面目に話を聞いてくれる静が好きだ
私のお母さんのこともまるで自分のお母さんのように慕ってくれる静が好きだ
思ったことをすぐに口に出しちゃうバカだけど素直に何でも話してくれる静が好きだ
私のことをほめてくれる静が好きだ

簡単なことだった
ゆっくり考えればすぐにその答えにたどり着いた
普通の友人にはここまで好きと思ったことはなかった
それはなぜか?

私は一人の女性として…恋愛対象として静が好きだったのだ
私は静に惚れていたのだ

だけどおかしくないか
なんで私は同じ女性の静に恋をしているのだろう
普通恋愛は異性同士で行うものじゃないのか・・・
でも、そういえば前に女子高とかでは周り女子しかいないから女子同士で付き合うのは結構あるって女子高出身の友人から聞いたし案外よくあるものなのか?
私の場合は周りにほかの人間もいるけど静との付き合いが長かったから静のことをそう認識してしまったのか?
考えても考えても答えにたどり着く気にはなれなかった

そうこう考えているうちに浴場から静がタオルも巻かずに戻ってきた
「あれーミコトーまだ着替えてなかったの?さすがに風邪ひくよ?」
「あぁごめん…てかタオル巻けよ」
「別にほかの人いないしミコトになら見られても心配ない!
それとももしかしてミコトは私の身体に変な感情抱いちゃってる?」
「わかったから服を着るかタオルを巻け」
「否定しないんだねー」
「はいはい否定した否定した」
「おもんねーの」

正直静の言葉を否定できなかったのはある意味正しかった
静の裸体を見てまず最初にだれにも渡したくないと思った
知らない人間にとられるくらいなら私のものにしたいと思った
正直自分でもそんな感情を抱くとは思っていなかったので驚いた

「ミコトーいつまでもボーっとしてないでさっさと着替えなよ。今田は風邪ひくつもりかー?
「あぁ悪い」
「そのセリフ本日二回目さねー」
「あぁ悪い」
「今のはわざとだねー」
「流石にばれるか」
「もーいいから早く服を着なよー私のほうが後から着替え始めたのに私のがはやいっておかしいでしょ」
「はいはいさっさと着替えますよー」

静に促されて私もとっとと着替えて更衣室を後にした

三章 

「ただいまー」
「おかえりー」
「ってここは私の家だろなんでお前がおかえりっていうんだよ」
「だって何も返事が返ってこないのはいやでしょ?」
「どうでもいいよ」
「ミコトのいじわるーおにーあくまーまな板ー」
「お前最後のは私の胸に対する暴言だよな?」
「きーこーえーなーいー」
私は帰りに静とコンビニで買ったアイスとジュース、お菓子が入った袋を静の頭の上に少し勢いをつけて乗せた
鈍い音だった

「いったー!馬鹿なの!アホなの!いきなりひどいよ!これ以上頭悪くなったらどうすんの!あとスナック菓子がくだけるじゃん!」
「お前は私が荷物を頭に乗せたことに対しては何も言わないんだな」
思わず笑いながら静かに言った
こういうところはやはり何か抜けている…というか本当に馬鹿なのだろう
「まぁとりあえず私の部屋に行こうか小さいけどジュース用の冷蔵庫もあるから全部持ってきてねー」
「私の頭はとりあえずですまされてしまったぜ」
「とりあえず程度の頭でしょ?」
「否定はしないぜ」

私の部屋に入るや否や静は私のベッドに飛び込んだ
「やっぱミコトのベッドいいわーモフモフ感が最高だね」
「毎回それするよね静は」
「これをしなきゃミコトの部屋に来たって気分になれないからね」
「それはよかった。じゃ溶けないうちにアイス食べよっか」
「ミコトーアーイースー」
「頼むからベッドから出て食べてくれよ」
そうやってアイスを食べたり食べさせあったりしながらだらだら過ごして私は思い切って静かに尋ねた

「ねぇ静今気になってる人とか好きな人いないの?」
「お~ガールズトークってやつですかミコトにしては珍しい」
「んでどうなの?」
「ぶっちゃけいないかなー、よく話す男子はいるけどその人は彼女持ちだしなによりその人をそう言う目で見れないからね」
「意外だねー静も見てるんだねー」
「ミコト私が大学で言ったこともう忘れたの?」
「んにゃ覚えてるけどあれもその場の思い付き程度としか思ってなかったからね」
「まぁ確かに思い付きでないとは言えないけど事実だしね、全く何が楽しくてみんなであって数か月の人間と付き合うんだろう・・・」
「全くその通りだね。みんな大学に来てからいろいろはっちゃけてるんじゃないの」
「私のようなまじめなのは中々いないんだよねー」
「静今のセリフ聞こえなーい」
「ミコトひどいなー。てかミコトはどうなのー、気になる人とかいないわけ」

私は迷った
ここで想いを伝えるべきか
きっと静のことだから想いを伝えたところで私に嫌悪感を抱いたりはしないだろう
だけど今までの菅家が崩れてしまうかもしれないという恐怖からはのがれることができなかった
結果私はにげる道を選んだ
しかし逃げるだけの道ではなく私が気になっていたもう一つのことを確認するという決心をして話をした

「さぁねぇーよくわかんない、それより静…私たちが小さいころにした約束覚えてる?」
「はなしをそらされたぜ。約束ねぇ…いつくらい?」
「まだ小学校低学年の時かな。ちょうど時期は今と同じ6月でめちゃくちゃ天気が悪かったよ」
「小学校…6月…もしかしてジューンブライド?」
「そう!それ!」
静がおぼえてくれていたことがうれしくて思わず声を大きくしてしまった
でも確かに静は約束を覚えてくれていた

「懐かしいねーよくそんな昔のこと覚えてたね。私もミコトが言ってくれなきゃ思い出せなかったよ」
「いやー覚えてるか気になってね」

安心している私に静は悪そうな笑みを浮かべて私に尋ねてきた
「じゃあミコトー、ミコトは何で今頃になってその話を持ち出したのかな?」
「だからそれは覚えてるか…」
「ミコトー嘘はよくないなぁ。ミコト気づいてないだろうけど嘘ついたり誤魔化すとき必ず癖が出るんだよ」
「えっ!嘘でしょ…」
「うん、嘘だよ」
「は?」
「確かにミコトが嘘をついた時とか何か隠し事をするときには癖があるよ。
でも今ミコトそれを言われてすごい動揺したよね?
それは私に何かを隠してるからだよね?
つまりミコトは今私に対して
私は今静かに何か嘘をついたり隠してることがあります
って言ったのと同じことなんだよん」
最後のほうは笑いながらだったが途中の静の顔はいたって真面目だった
というか静こんなキャラだったっけ…

「ではミコトに再度質問です。さっきの質問で本当に確認したいのは何?」
ここまで言われると素直に言わざるをえない
というかここで言わなきゃ間違いなく静は機嫌を悪くする

「今静が言った通りだよ」
「言った通りって?」
「だからそのジューンブライドの約束を確認したかったんだ
あの時私たちは二人でずっと仲良くいようって約束したじゃん
そして今でも私たちはこうして仲良く過ごせてる
だけどこれからはわからないじゃん
私たちだって今は一年生だしこうしていられるけどこれから忙しくなった時に静はそれでも私のそばにいてくれる?
今日みたいに二人でご飯食べたり温泉行ったりして今みたいに二人でダラダラするなりして時間を過ごせる?
この時間を私は奪われたくないし二人だけの大切なものとしてずっと維持しておきたい
ねぇ静はどうなの・・・?」

思ったことをそのまま述べただけだった
しかし私は自分の恋心は伝えなかったし二人で結婚しようと約束したことにも触れなかった
私は結局逃げたのだ
だけど静はちゃんと真面目に話を聞いてくれた
そして一度大きな深呼吸をつくと静は話を始めた
「ミコトって私より頭良くてスタイルいいのに「相変わらず馬鹿なところは私と同じだよね
そんなこと言われなくてもわかってるしわざわざ確認することもないじゃん
私はミコトといたいから今だってここにいるんだしこれまでだってそうだったんだよ
私バカだけど流石に自分の嫌いな人とずっといるほどは頭悪くないし自分にとって大事な人とそうじゃない人の区別はつくよ
中でもミコトは私にとって一番の友人だし大切な人だよ
だからわざわざそんなこと確認しなくていいんだよ
私はいたいからここにいる。
話したいからミコトといる。
遊びたいからミコトと遊ぶ。
理由なんて大事な人といたいから、それだけで十分じゃん」

気づいたら私は泣いていた
でも嬉しかった
静にとって私は大事な人だった
静は私のことを信頼いてくれている
それが確認できただけで私は十分だった

「静…ありがとう…本当にありがとう…」
「泣くなんてらしくないねぇ、お母さんに見られたらお母さんびっくりするよー」
「いいもん…それよりも静がそう思ってくれたことのほうがうれしいから」
「まったくミコトってそういうところ気にするよねぇ、学校でのミコトしか知らない人が見たらびっくりだろうね」
「別に静ならいいし」
「じゃなんで私ならいいの?」
「好きだから」
「フーン好きなんだ…」
ニヤニヤしながら静が私を見ている
そこでようやく私は自分がさらりと言ったことを認識した
自分でも動揺しているのがわかるくらい今の私は落ち着いていない
顔が赤いのが自分でもわかる
「ミコトちょっと来て」
「えっ?うん…」

数歩歩いて静に近づくと静に抱き付かれた
そしてそのまま首を噛まれた
自分でも恥ずかしいほど変な声が出てしまった
そして静は笑いながら言った
「好きな人からされるんなら許せるよね」
「前から思ってたけど静ってSだよねしかも天然入ってるから余計にたち悪い」
「私バカだから難しい言葉わかんなーい」
「都合がいいな本当に」
「まぁ首だからせいぜい他の人にばれないように気を付けてね
ミコトにキスマークついてるとか知れたら大騒ぎになるからねー」
「そうだよ…!こればれたらいろいろ面倒じゃん!なんで首にしたんだよ!」
さすがの私も少し焦って声を大にして静かに言った
しかし当の静は全く怖気づく様子はなくさらに笑いながら話をつづけた
「じゃあ首じゃなかったらそういうのいいんだ?」
「そういう問題じゃないだろ!時期的に厚着するわけにもいかないから見えちゃうし」
「ふぇーてっきり今のでミコトが目覚めちゃったのかと思ったよ」
「少し反省しやがれ」
「ごめぺろ」
「もーどーでもいいわ」
「偉い人は言ったよ
諦めたらそこで試合終了ですよ」
「終わらせた本人が何を言う」

結局この後もグダグダしながら過ごして私より先に静が眠りについた
静が寝た後も私は眠れずにいた
(結局あれは告白だったのかなぁ…なんやかんやであいまいな感じになったし静は完璧からかってる感じだったし…
まぁいいや、今度改めて静に話を聞いてもらってその時にきちんと伝えよう)
そう決心して横を向くと少し離れたところに静の寝顔があった
そういえばさっきの仕返ししてなかったな…
私は静のほうに近づくとそのまま唇を重ねた
(まぁ首じゃないからいいでしょ。それに唇どうしでは私初めてだから)
5秒ほどそのままの体勢でいた
静が少し身体を動かしたので私は慌てて元の位置に戻った
唇にはまだ静の感触が残っていた 

6月の約束

6月の約束

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-10

Copyrighted
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Copyrighted
  1. 一章 
  2. 二章 自覚
  3. 三章