神楽とかんざしと
銀魂二次創作。未完成。
いつもの神楽と、万事屋と。
今日はいつも以上に上機嫌なで家に帰る神楽。
「ただいまアルよ〜」
「あ、神楽ちゃんおかえり」
いつも母のように出迎える新八に
「お〜神楽ずいぶんと上機嫌じゃねぇか」
ソファで新聞を読む家の主銀時。
「うふふふ〜そよちゃんにもらったアル!」
そういって二人の前に出したのは・・・
「うわぁかわいいかんざしじゃないですか」
「ちょっと神楽にはかわいすぎないか」
それはしだれサクラを連想させる花がついたかんざしであった。
「いつも素昆布をもってくれるお礼にもらったアル、やほおい〜」
普段の神楽からでは想像できない年相応の女の子モードの神楽に空気が和む。
「さっそく頭にさしてみたら、神楽ちゃん」
「うん」
そういうと、神楽は頭にかんざしをさした。
勢いよく。
「うわぁぁぁあ!なにやってるのーかぐらちゃんー」
「文字通りかんざしを頭に刺すんじゃねぇよ!なに頭にばっちしキメてるんだよ!」
神楽の頭から勢いよく血が吹き出て、あわてふためく銀時と新八。
「なんか痛いアル・・・。」
「当たり前だよ、神楽ちゃん!人の頭は生け花の剣山じゃないんだからね」
「そうか、そよちゃんはいっつもこんな痛い思いをしてるとばっかりおもっていたアル」
「うなわけねぇだろ、バカだろおまえ」
そうこうしているうちに新八は救急箱をもってくる。
あたまに絆創膏をはり、止血がすむと神楽はかんざしについた自分の血をふきはじめる。
これは年相応の女の子風景ではない。
「よし、もう一度やってみる」
「神楽ちゃん、さっきからかんざしの角度が必殺仕事人みたいだよ、完全に飾るというよりは人を殺しそうな角度だよ」
「しかたがねぇやつだな、新八、もうおまえがやってやれよ。」
「そうですね・・・神楽ちゃんかんざし貸して」
そういって神楽からかんざしを受け取った新八であったが、今度は新八がどういうわけか悩み始めた。
「・・・どうした、新八」
神楽は心配そうに聞いた。
「いやぁ、神楽ちゃん。神楽ちゃんの今の髪型じゃちょっと変かなって」
「べつにいいアルよ」
「そうお?」と疑問をよそに新八は無理矢理神楽の頭にかんざしをつけてみたが、違和感が浮きぼりになる。
「ん〜・・・」
頭を傾げる二人。
「もう頭にお団子のかざりがあるせい?」
「違う違う、そもそもチャイナ服だからじゃね?」
そんな二人の談話を後目にみるみるしょんぼりしてくる、神楽。
「そ、そういえば着物みたいなもってなかったっけ?」
それに察した新八はその場を繕うよう神楽にはなしをふる
「そ、ほら、神楽。吉原炎上編ときのあれどうした?」
それをあと押しするように銀時は話を続けた。
そういえば吉原に潜入したとき赤い着物を着ていた。
「あれ、アルか。あれは・・・戦いでぼろぼろになったし、血いっぱいついていたから捨てたアル」
「そうだよねぇ〜あんときはたいへんだったもんなぁ」
うんうんとうなづきながらも地雷を踏んでしまって気まずい雰囲気になってしまった。
「別にいいアル、万事屋の家計はわかってるし、私にはチャイナ服がお似合いアル」
そういって廊下に続く引き戸を開けた。
「そよちゃんのもらったかんざしはみてるだけいいアル」
とにこにこしながら去っていった。
翌日
いつものポジションに座って相変わらず暇な万事屋。違いといったら神楽がいないこと。
「銀さん、どうしたんです?神楽ちゃんだけ買い物行かせて・・・」
「いやね、さすがに昨日、かんざし握れしめながら寝てる神楽ちゃんみてたら罪悪感がね」
「・・・それなら僕にも心当たりおおありですよ、いっつもかんざしもって歩いているんですよ」
二人はため息をついた。
「く〜ん」
定春も心なしか元気がない。たしかに彼女のトレードマークはチャイナ服とおだんごヘヤーではあるがやはり年頃の女の子らしくいろいろなかわいらしい服を着てみたいものではないかと二人は思うのである。
「そこでだ、ぱっつんよ。おたえに着物かなんかないか聞いてくれないか」
「姉上にですか、いちお聞いてみますが、仕事柄派手なのしかみたことないですよ」
「そこをなんとか、聞くだけ聞いてちょうだいよ〜」
「ということなんですが」
「神楽ちゃんに着物ねぇ〜。ちょっとタンスみてみるわ」
ところ替わって志村邸。新八の姉にあたるお妙。彼女の普段の仕事はキャバクラ嬢である。仕事柄、着物を何枚も持っているのは知っていたが、いざ出してみるとものすごい量になった。
「やだぁ〜まだこんなのもっての。似合わないって常連の人にいわれて一回しか着てないわ」
とか
「これきゅうちゃんにもらったやつだわ」
とか
どんどん着物ともに話も出てくる。
これを機会にといらなくなった服の処分へと目的が変わっていた。
途中、お妙のストーカーがいらなくなったのならお妙さんの着た服ならばと貰い受けようという輩はさっさと彼女に成敗されたのは別の話である。(なぜなら今回のメインの話ははずれてしまうという筆者の意向である)
どれもこれも派手なものだった。
しかし、こういうときはご都合よくあるものである。ふっと目に付いたものにジャンル違いの柄の布があったのである。
「姉上、これは」
「なぁに・・・うわぁ懐かしいじゃない」
そういって弟からとった着物。
「おとうさまが生きてた頃の着物じゃない、もう捨ててしまったと思ってたのに」
撫子色をベースにして、梅の模様をあしらったかわいらしい着物が出てきた。
「これならいいかな」
「神楽ちゃん、よろこんでくれるかしらね・・・」
とそっとつぶやくお妙であった。
「でかしたぞ、新八!」
銀時と新八はスナックお登勢で昼ごはんを食べていた。神楽はそよ姫のところに遊びに出かけていった。
「神楽ちゃんにはちょっと小さいかもしれませんが、てあれ?」
「ん?どした」
「銀さん、あっちこっち糸がほどけてますね・・・。生地自体が弱くなってるせいですかね」
そういって、新八は銀時に着物を渡した。
たしかに新八のいうとおりでところどころほつれかかっていた。
「柄とか結構いいのに、これじゃぁ飛んだり跳ねたりしたら着物が決壊しかねぇ、早着替えの熱湯コマーシャルじゃねぇんだよ」
「いや、今の子わかんないでしょ、熱湯コマーシャル・・・」
あきれながらも新八はつっこんだ。
「ちょっとした縫い物ぐらいならできますけど、ちょっと無理かも・・・」
「なにぶつくさ、男ふたりがなに悩んでるんだい」
そこに追加で煮物を持ってきた人、この店の女主人、お登勢。
「お登勢さん、実はですね・・・」
新八が事を説明すると、
「なんだい、それくらいババアがなんとかするさ」
「えっ本当ですか、お登勢さん」
煙草を口に咥えて一呼吸置く。
その出で立ちはスナックのママにふさわしい貫禄である
神楽とかんざしと