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魔法なんて存在しない。
悪魔と天使なんて人間の空想。
神様なんて、本当にいるの?
自殺。殺人。罪。憎み。憎悪。
こんな世界なんて消えればいいのに・・・
「あたしが住んでた世界なんてこんなもんか。」
「・・・また昔のこと思い出してるの?」
「うん。」
「あんな世界忘れちゃいなよ。」
「分かってるよ。
それに比べてここの世界はいいね♪」
「そーかなあ・・・」
「うん。汚い気持ちがないし、綺麗な空気だけ。」
「ふーん?」
「ま、理解できない事もあるけど。」
「・・・アグリ達のこと?」
「うん。あと魔法とか・・・」
「魔法じゃないってテラの力だよ。」
「・・・どっちでもいいよ。」
「無関心だねぇ。」
「まぁね。」
あたしが前にいた世界は本当に汚い場所だった。
欲に満ち溢れてて、自分のためなら何でもする。
それとは逆に今あたしがいる世界はまったく逆。
誰もあまり欲を持ってなくて、自分の事より他人の事を最優先。
すごく綺麗な世界。
―ダダダダダダッ
「シンク様!!」
「カイン殿!!」
「ライガ?」
「ライン?」
「シンク様、学校に遅れますよっ」
「あ、忘れてた。」
「しっかりして下さいよ!」
「ごめんごめん。」
この子はライガ。
半獣のさっきあたし達が話してたアグリの事。
ちなみにアグリは学園長兼、この世界の王についてる子の事で、
初めてこの世に生まれてきて、アグリからこの子達が生まれてくるから
アグリとかアグリの子とか呼ばれてるんだって。
「ライガ・・・その荷物、あんたじゃ無理だよ。」
「な、何を言いますかシンク様!こんなの平気ですっ」
「そぉ・・・?」
「ライガくんいい子だねー。それに比べて・・・」
「何ですか?カイン殿。」
「ラインは僕の荷物持ってくれないの?」
「・・・甘やかしてはいけないと思いまして。」
「でも、ライガくんはシンクの持ってるよ?」
「シンク殿は女性ですぞ?比べてはいけません。」
「僕だってか弱い男の娘だよ!?」
「・・・・・。行きましょうかシンク殿、ライガ殿」
「ちょ、嘘嘘!嘘だって!持つよ自分で!」
「最初からそうしていただくとありがたいですな。」
「・・・・早く行こうよ。」
「あ、待ってシンク!!」
―ガラッ
「え、誰?」
「めっちゃ綺麗なんだけどっ」
「でも俺らと何か違くない?」
・・・うっとぉしいな。
「みんな変な目で見んなよーっ」
「だ、だってカイン誰?その子・・・」
「ほら、先生が言ってた転入生だよっ」
「え、じゃあ、あなた地球人なの!?」
「どうりで何か違うと思ったよ・・・」
「・・・地球人って珍しいの?」
「珍しいって言うか、他の惑星からなんて来ないもん。」
・・・地球にも来ないけどね・・・
じゃあ、あたしは今あれか・・・宇宙人ってやつの類に入ってるのか・・・
「ねえ、シンクのアグリは何て名前?」
「え・・・あぁ、ライガだよ。」
何で名前知ってんの・・・
「カッコいい名前だねーっ」
「性格はヘタレだけどね・・・」
「あははっそうなんだ?」
「うん・・・」
「なーに話してるの?」
「カイン・・・」
「カイン君っ!」
「何か2人の世界できてたんだけど?」
「混ざりたいの・・・?」
「んなっっ」
「っぷ、違うよシンク。焼きもち妬いてるんだよっ」
「ち、違うよ!何言ってんだよミント。」
「・・・ミントっていうんだ。」
「うん♪」
「え、僕の妬いたっていうのはスル―しちゃうの?」
「ミントって可愛い名前だね。」
「ほんと?ありがと♪」
「あの・・・」
「でもシンクの名前も素敵だと思うよ?」
「・・・ありがと。」
「いいえー♪」
「あのー・・・」
「で、何?カイン。」
「・・・・シンクのばかーっっ」
「カ、カイン!?どこ行くのっ。ごめんミントあたし追いかけて来る。」
「いじめすぎたかなー?授業までには戻って来なねっ」
「うんっ」
―タタタッタ
「カインっ!」
「うわーシンクだ。何しに来たの?」
「・・・怒ってる?」
「べっつにー」
・・・怒ってんじゃん。
あんだけで怒るとか子供だなー。あ、純粋なのか・・・
「ごめんねカイン?」
「別に怒ってないってば・・・」
「教室行こう?ミントも待ってるし。」
「やだ。」
「は?」
「僕、あいつ嫌い・・・」
「何で?」
「色々あって・・・」
「色々って。」
「とにかくっあいつは危険人物なの!要注意人物なの!」
「・・・カイン。」
カインがこんな事言うなんて初めてだよ。
いつも知らない人と話してても全然言わないのに・・・
「意味分かんないよ・・・」
「いいよ分からなくて。」
「何で?言ってくれれば分かるかもじゃん。」
「地球人のシンクには分かんないよ。」
「・・・・にそれ」
「は?」
「なにそれ!!地球人関係なくない?!何でカインにそんな事言われなきゃいけないの?
そりゃ、この世界に来てまだちょっとしか経ってないけどさっ。あたしにとってここの世界は大事な居場所なの!!カインもミントもここの世界でできた友達だもんっ大事にしたいよっ。本当の名前は何かも分かんないような子はほんとはカイン、嫌かもしれないけど・・・でも、でも・・・」
「・・・シンクがそんなにしゃべってるの初めて見た。」
「は!?」
「いや、シンクって無関心じゃん?だから・・・」
「なに・・・?」
「ごめん。地球人のとか差別みたいな事言って!!」
「・・・・・やだ。」
「え?」
「あたしってカインにとってどんな存在なのか言ってくれなきゃ許さない。」
・・・何これ。あたし今すっごいわがまま言ってる。
「まぁ、シンクが本音言ったんだしなー。僕も言わなきゃだね。」
「・・・・いいの?」
「逆に駄目なの?」
「ううんっ!!」
「っふ・・・。
そうだなー、最初はやっぱりじぃ様が気にいったただの地球人って思ってて興味関心はなかったかな・・・
でも、だんだん話すようになってきてからは守りたい存在になってきたかな。」
「・・・・どゆこと?」
「えぇー。」
「守りたい存在って・・・主人みたいな?」
「え、何その妄想・・・」
「だって・・・」
「守りたい存在っていうのは、大切な存在ってこと!!」
「・・・告白?」
「は!?」
「ごめん・・・あたしカインの事そんな風に見れないから。」
「か、勝手な勘違いしてんじゃねーよっっ」
「あれ?違うの?」
「違うよ!!」
「ま、そうだよねー。」
あたしとカインが付き合うとかありえないし。
そもそも住む世界が違いすぎるよ・・・。いつかは地球に還らなきゃいけないんだろうし。
「僕らって恋人っていうより、仲間って感じじゃん?」
「仲間・・・?」
「うん。違うの?」
「仲間か・・・」
仲間なんて言われたの初めて・・・今まで確かに友達とかいたけど、仲間仲間言ってても内心は皆どう思ってるのかなんて全然分からなかった。でも・・・カインはそんな子達とは違うって分かる。
カインは・・・・仲間だ・・・。
「カイン・・・」
「ん?」
「見捨てないでね。」
「は?」
「カインだけはあたしを見捨てないで・・・」
「・・・見捨てないよ?」
「・・・絶対?」
「絶対。僕はシンクを見捨てるような事はしないよ。」
「・・・・カイン。」
「僕は、シンクがいた世界の人達とは違うよ?」
「うん。分かってるよ。」
「信じてて。僕がシンクの世界を変えてみせるから。」
「・・・・ありがとう。」
信じるよ。信じてるよ・・・。カインは信じれるよ。
あたしにはカインしかいない。カインはあたしを変えてくれる。約束は破らない。
だから、だからあたしはカインの側から離れない。ずっと信じてる。だからあたしはカインの力になりたい。
「そろそろ教室戻ろうか。」
「今更行ったって怒られるだけだよ・・・」
「ま、それもいいんじゃない?」
「誰のせいだと思ってるの?」
「え、僕のせいなの?」
「他に誰がいるのよ・・・」
「んー。じゃあ、授業終わるまでここにいよっか。」
「いいの?」
「どうせ怒られるなら終わるまでのんびりしてよーよ♪」
「あたし、転校初日なのに・・・」
「問題児になっちゃうねー。」
「友達、できるのかな・・・」
「できるでしょ。シンクだもん。」
「・・・・不安。あたしカインみたいに好かれる性格してないもん。」
「・・・?僕、好かれるような性格じゃないよ?」
「自覚してないんだー。嫌味な奴。」
「何だよー。別にいいじゃん。シンクはシンクだよ。シンクを友達として受け入れない人がいたらその人はシンクの良さに気付けなかったってだけじゃん?」
・・・こいつはサラっと恥ずかしいことを。
「あーーっっ!見つけましたよシンク様!!」
「・・・ライガ?」
「カイン殿!!こんなとこで何をしているんですか!!」
「うわっライン・・・」
「うわってなんですか!」
「うるさいなー。」
「シンク様っ何で授業受けないんですかっ。僕が代わりに怒られたんですよっ!」
「うそっ。ごめんねライガ。」
「ラインも怒られたの?」
「当たり前ですよっ。首席のあなたが何をやってるんですか!」
「ごめんごめん。」
「カイン・・・首席なの!?」
「え?うん。」
「ごめんっ。授業サボったりしたら成績落ちちゃうよね・・・」
「え?別に実技だけ出てれば大丈夫だよ?」
「実技?」
「うん。魔法ね。」
「魔法!?」
「次の授業が確かちょうど実技だよ♪」
「うそ・・・」
「魔法苦手なの?」
「苦手とかの前にっ!あたし地球人だしっ!魔法なんて今まで使ったことないし、存在すらしなかったよ。」
「そうなの!?」
「うん。魔法とかただのお話の世界だし・・・」
「でも、魔法使えるようにならないと、実戦の時大変だよ?」
「実戦?」
「うん。この世界では野生のアグリが出るし・・・。いつ襲われるか分かんないし。」
「そ、そうなの?」
「うん。それにこの学園ではハンター試験もあるし。」
「ハンター試験?」
「ほら、野生のアグリに会ってもちゃんと対応できるようにね。実際僕の家にアグリが何匹もいるのは父様が捕まえてきたアグリだし。」
「そうなの!?」
「うん。基本1人にアグリ1匹だしね。」
「へー・・・」
「ま、特訓だね。」
「へ?」
「地球人とか関係ないでしょ?実際、地球人のシンクにもライガくんがついたんだしね♪」
「魔法は別でしょ・・・」
「そんなことないですっシンク様ならできますよ!」
「ライガ・・・」
「シンク殿は才能が有りますからな。」
「ライン殿・・・」
「ほら、みんなこう言ってることだし?」
「ご自分を信じてください。シンク様。」
「ライガ・・・」
「僕も一緒に頑張るのでっ」
「あたしのせいでライガまで落ちこぼれになるかもだよ?」
「僕は・・・シンク様と一緒に歩みたいんです。」
「ライガはほんと可愛いね・・・」
「はぃ?」
「萌える。」
「意味分かんないですから!」
「シンク殿・・・たまに空気読めませんよね。」
「それ言っちゃ駄目だからライン・・・」
あたし、空気読めなくないんだけど。あるんだよねー。誤解って。
「じゃあ、実技授業行きますかっ」
「・・・・。」
「おーい。シンクちゃーん?」
「行かなきゃ駄目?」
「駄目に決まってるじゃん?」
「あたし帰る。」
絶対無理。魔法なんて絶対無理。ありえない。絶対にありえない!!
「ちょ、シンク・・・」
―バンッ
「絶対に次の授業は出てもらいますよっ!!」
「は?誰!?」
「ミナト・・・」
「ミナト?」
「この顔に見覚えありません?」
「・・・・・あ、ミント!?」
「ミントの双子の姉だよ。」
「ちょっと、カインさん?勝手に私のセリフ言わないでくださる?」
「なんだよセリフって・・・」
「いちいち突っ込みいれないでくださる?首席だからって・・・」
・・・なんか話し方に違和感があるのは気のせい?
「シンクさんもシンクさんです!」
「は?あたしも?」
「そうです。地球人だからってリンク様に気に入られて、クラスの方たちにもちやほやされていい気にならないでくださる?私はあなたを特別扱いなんかしませんからね!」
「・・・・は?ちやほやされてないし。まずリンクって誰?」
「僕のじぃ様だよ。」
「・・・偉い人なの?」
「
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