詩篇 8 憂鬱は青く

詩篇 8 憂鬱は青く

 憂鬱は、体の真ん中からじんわりじんわりと、
 隅々まで青く染めて、
 ぽつぽつと皮膚から青を落としてゆくのであり、
 落ちた青はじりじりとあたりを染め、
 暗いお部屋は青と融合しながら、
 静に息をひそめる。

 誰もいない。
 誰もいない。
 誰もいないお部屋に、わたしはひとり。
 誰もいない。

 あっさりと、微笑が込み上げてくる、
 そんな青は、淡く、温度が無い。

 青は均一な広がりを見せながら、
 わたしの中から生まれながら、
 深く深く、より深く。

 音の無い浸食に何もかもが覆われ、
 何もかもがもうあたりと一体。
 どこへ沈んでゆくのですか。

 かすかに発光する空気が見つめるものは、
 ここのどこにもない。
 発光に触れて、感受で触れて、ちらちらと光る。
 目は閉じたまま。
 青いまぶたは閉じたまま。

 青いわたしは全てを閉じて、
 周囲と一体になろうとするも、
 発光した空気に阻まれただただ境界線をなぞってゆく。

 だれもかれも、静。
 青い静だけが、全てに沈んでゆくのです。

 わたしはひとり。
 青い静を見つめながら。
 まぶたの中で、ゆっくりと、まぶたを開いてみるのです。

詩篇 8 憂鬱は青く

詩篇 8 憂鬱は青く

ただただ憂鬱な時に

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-07

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