気付いてよ...バカ -5-

5です。
ぐだぐだ続きます...
最後まで付き合って下さい!!

<登場人物>
*岡野 夢空(おかの むく)
*井上 奏哉(いのうえ そうや)
*椎名 由仁(しいな ゆに)
*黄瀬 悠夜(きせ ゆうや)
*藤池 翔太(ふじいけ しょうた)
*高木 陸(たかぎ りく)

...その他

オッドアイだ...

-5-

「夢空!?」

私は、授業が終わった直後
後ろから由仁の声がしたけど、
私は返事もせずに
藤池先生のもとへ走った。

「藤池先生!!」

階段を急いで下りて
藤池先生を呼び止めた。

「...岡野さん、どうかしたの??」
「あの!!」
「ん??」
「...」

なんて言えば良いんだろう...
“あの時はありがとうございました”
“なんで私だって分かったんですか”
ほぼ確実だけど、まだ疑惑の段階。
そんな状況でそんなこと言えるだろうか...

「...岡野さん、このあと授業は??」
「えっ!?...ありません。」
「じゃあ、少し話さないかい??
...いろいろと聞きたそうだしね。」

...見透かされてる??

「...はい。」
「ありがとう。
じゃあ、とりあえず移動しよう。」
「はい...」

私たちは研究室に移動した。

「どうぞ。
ストレートだけど、大丈夫かな??」
「はい。ありがとうございます。」

藤池先生は私に紅茶を淹れてくれた。

「それで、俺に聞きたいことって??
やっぱりあの日のこと??」
「...やっぱり藤池先生だったんですか??」
「そうだよ。」
「...」
「びっくりした??」
「そりゃ...しますよ。」

まさか本当に...こんな偶然って...

「うん、俺もびっくりした。」
「...そうは見えないです。」
「顔に出てないだけさ。」

そう言って藤池先生は笑った。
...本当に顔に出ない人だ。

「あの。」
「ん??」
「...最初から私だって分かってましたか??」
「まさか。」
「じゃあ...なんで私だって分かったんですか??」
「んー...
昨日、そこのカフェ行かなかった??」
「えっ...行きましたけど??」
「そこに俺もいたんだ。」
「えっ!?」
「初日に遅刻するわけにもいかないし、
道だけでも確認しようと思ってね。
で、その帰り道にカフェに寄ってたんだよ。
思い出の場所だったし。
それで、座った席が君の後ろでね。
どこかで聞いたことある声だなって
最初はそれくらいにしか思ってなかった。
でも、俺の話してたよね??」
「はい...」
「まさかなって思ったけど、
“奏哉”って出てきた瞬間になんとなく確信した。
奏ちゃんって、井上くんのことだよね??」
「...」

私は無言で頷いた。
まさか...そんなに偶然が...

「そんなに偶然が連続するわけないって
思ってる??」
「...!?」
「俺も思ってたよ。
でも...どうかな??
普通に会うより運命的に出会えたかな??」

昨日、冗談で言ってたことを
本人に聞かれてたなんて...

「それ、忘れて下さい。」
「フフフ。でも驚いたな。」
「えっ??」
「奏ちゃんって、女の子じゃなかったんだね。」
「...はい。」

藤池先生は女の子だと思ってたんだ。

「好きなの??」
「...」
「普通は言わないかな。」
「...先生はどう思いますか??」
「俺??」
「はい。」

なんでこんなことを聞いたのか、
自分でもよく分からない。
でも、もしかしたら...
他の人から見て、私はどう見えてるのかが
気なったのかもしれない。

「俺は...分からないかな。」
「えっ??」

分からない??

「人の気持ちなんて、
その人にしか分からないだろ??
君が井上くんのことをどう思ってるか、
それは君しか分からない。
もちろん、君が友達に話したら
その子は知ってるだろうけど、
具体的にどう思ってるかは分からないだろ??」
「...」
「今日赴任してきた俺は尚更分からないよ。」
「あっ、そうですよね...」
「だから、気にしなくて良いんじゃないかな、
他人からどう思われてるかなんて。」
「...先生は、」
「ん??」
「いえ...なんでもないです。」

きっと具体的に分からないだけで
本当は分かってるんだと思う。

「そう。」
「...ありがとうございます。」
「俺は別に何もしてないけど??」
「それでも、なんか元気出ました。」
「お役に立てたなら良かったよ。」

そう言って、藤池先生は笑った。
近くで見ると先生はキレイな顔をしているんだと
改めて思った。
そして先生がオッドアイだということに
気がついた。

「オッドアイだ...」
「ん??」
「あっ、いえ。」
「そう??」

正直、見とれてた。
でもそれを言うのは変だし、
男の人に向かってキレイと言うのは
少し気が引けてしまう。

「...私、そろそろ失礼しますね。」
「うん。」

気まずくなるのが嫌で、
私は立ち上がった。

「...藤池先生。」
「ん??」
「...また来ても良いですか??」
「フフフ、どうぞ。」
「ありがとうございます。」

私は頭を下げて、
研究室から出ようとした。その時...

「あっ。」

藤池先生の声が響いた。

「...どうかしたんですか??」
「いや...」
「...??」

なんだか少し困ってるように見える。

「...岡野さん。
申し訳ないんだけど...第2教材室まで
案内してもらえないかな??」
「第2教材室ですか??
全然、構わないですけど??」
「ごめんね。
この後、授業とか大丈夫かな??」

それに気を遣って
困ってる顔してたの??

「大丈夫ですよ。
じゃあ、行きましょうか??」
「ありがとう。」

第2教材室は西校舎の2階。

「第2教材室になにかあるんですか??」
「プラネタリウムの解説CDを探しにね。」
「また見れるんですか??」
「そうしようと思ってる。
プラネタリウム、好きなのかい??」
「はい、大好きです。」
「そうなんだ。
良かったら、一緒に探してくれないかい??」
「えっ??」
「俺が決めるのが仕事なんだけど、
岡野さんが見たいのを次回は見よう。」
「良いんですか??」
「案内してくれてるお礼に。
みんなには秘密だけどね。」
「はい!!」

第2教材室に着いて、
藤池先生が鍵を開けた。

「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
「左側の上から3番目からがそうみたい。」
「わぁ...こんなにあったんですね。」
「知らなかった??」
「はい。工藤先生は
あんまりプラネタリウム使わなかったので。」
「もったいないね。」
「本当ですよね。」

それからしばらく居て、
やっと1枚のCDを選ぶことが出来た。

「決まったかい??」
「はい。おまたせしました。」
「大丈夫だよ。
へぇ、夏の大三角形か。」
「有名ですけど、私はこれが好きです。」
「俺もだよ。
学べば学ぶほど、実際に見たときに
輝きが増していく気がする。」
「分かります!!」
「フフフ。じゃあ、来週はこれを見よう。
ありがとう、岡野さん。」
「こちらこそ、ありがとうございました。
来週、楽しみにしてます。」
「うん。」

時計を見ると、
もうすぐ授業が終わる頃。
この後は今日最後の授業がある。

「先生。私、この後から授業があるので
ここで失礼します。」
「うん、ありがとう。
君のおかげで本当に助かったよ。」
「いえ。...では、失礼します。」
「授業、頑張ってね。」
私は藤池先生に頭を下げて
教材室から出ようと扉の方へ向かった。
「...」
「...どうかしたかい??」

扉の前で動かない私を変に思ったのか
藤池先生が声を掛けた。

「...先生。」
「ん??」
「...さっきの質問の答えなんですけど、」
「うん。」
「私は...好きです。」

先生に言うことではない。
でも、なんだか黙ってるままでいるのが
なんだか申し訳なく思った。

「うん、なんとなく分かってた。」
「...そうですか。
それだけです。...じゃあ、今度こそ失礼しますね。」
「うん。またね。」

私は再度、頭を下げて扉を開けた。
今は一応授業中。
私は静に廊下を歩いた。
誰もいない廊下はなんだか新鮮。
なんて思ってた。
...気付かなかったんだ、貴方がいたこと。


教室に入ると由仁が私に気付き、
手招きをしていた。
「夢空、どこ行ってたの??」
「ちょっとね。藤池先生と話してた。」
「藤池先生と??」
「...雨の日の人、藤池先生だった。」
「えっ!?本当に??」
「うん。」
「すごい...運命的すぎない??」
「うん。まさか本当に、
運命的に出会えるなんて思ってなかった。」
「冗談だったの??」
「まぁ...半分くらいは。」
「ふーん。」

あれ...??

「由仁。」
「ん??」
「黄瀬くんは??」

この授業を取ってるはずの
黄瀬くんがいない。

「あぁ、悠夜はバイトだから
授業サボるって。」
「ふーん。」
「...なにも授業サボるまで
頑張らなくてもいいんだけどね。」
「まぁまぁ。
黄瀬くんは由仁のために頑張ってるんだから、
由仁が応援してあげないと。」
「...そうだね。」
「うん。」

由仁は少し不満そうだけど、
さっきよりは納得した様子だった。


「あっ、そういえば...」

授業が終わって、片付けをしてると
由仁が“あっ”みたいな顔をしていた。

「どうしたの??」
「ごめん、夢空。
奏哉から伝言預かってたの。
すっかり忘れてたわ。」
「奏ちゃんからの伝言??」
「うん。“今日も教授呼ばれてるから
先に帰ってくれ”って。」
「...そっか。」

今日はもう会えないのか...

「寂しい??」
「...別に。
一緒に帰れないなんて
大学入ってから、よくあることだし。」
「そう。」

本当は寂しいけど、
そんなこと言えるほど
私と奏ちゃんは親密な関係じゃないし。

「...じゃあ、由仁は私が来るまで一人たった??」
「ん??...まぁ。」
「寂しかったでしょ??
ごめんねー。」
「あのねぇ、私友達ゼロなわけじゃないから
別に夢空がいなくたって寂しくないよ??」
「えー??」
「まぁ...ちょっとは寂しかったかな??」
「へへへ。」
「...気持ち悪いなー、ほら帰るよ??」
「うん。」

由仁のこういう所が本当に可愛い。
たぶん黄瀬くんも
そこに惚れたのかななんて考えてた。

「あっ、そうだ夢空。」
「ん??」
「藤池先生との話、詳しく聞かせてよ。」
「えっ、詳しくって言われても...」
「約1時間半も何話してたの??」
「えー??
そんなたいしたこと話してないよ??」
「いーの。聞かせてよ。」
「んー...」

私は由仁に今日あったことを全て話した。
歩きながら話していたから
あっという間に別れ道になってしまった。
それでも私たちはそこで立ち話をしていた。

「へぇ。」
「まぁ...こんな感じだったかな??」
「いいなー、藤池先生かっこいいわ。」
「うん、本当に。」
「あんなに優しそうな顔してて、
でも、人のこと見てるっていうか...
分かってるよね。」
「うん。びっくりしちゃった。」
「やっぱり大人だよね。
いくつくらいなんだろう??」
「んー...でも、そんなに変わらないんじゃない??」
「若そうだもんね。」
「若いと思う。
あっ!!藤池先生ね、オッドアイだったよ。」
「えっ、そうなの!?」
「そうだった。」
「どんだけ至近距離にいたのよ...」
「そんな近くには...」
「ふーん。
あっ、もうこんな時間。」
「えっ??」

時計を見ると17時を回っていた。
授業が終わったのは14時くらいだったのに...

「だいぶ話しすぎたね。」
「うん。」
「でも楽しかった。」
「私も!!なんか久々だったね。」
「そうね。」
「今日は黄瀬くん来ないの??」
「そんなしょっちゅうは来ないわよ。」
「そうなの??」
「うん。
たぶん気遣ってるんじゃないかな??」
「由仁パパに??」
「うん、たぶんね。」
「由仁パパ、由仁大好きだもんね。」
「悠夜のことは気に入ってくれてるんだけどね。
あっ、そういえばこの前来たときにね、」
「なになに??」

3時間近く話していた私たち。
帰るのはまだまだ先になりそうです。


一方その頃、研究室では…
「あれっ、藤池先生??」
「あっ、高木(たかぎ)先生。」

高木陸。
彼は同じ研究室の先生。
といっても、あまりここにはいない。
研究室に籠るくらいなら俺は家に帰ると、
なんでも徒歩10分の所に住んでいるらしい。

本人曰く、彼女はいないらしいけど
絶対にいると俺は思う。
30過ぎとか言っているけど
まだまだ20代っぽいし...

「藤池先生...残業ですか??」
「いえ、なんとなくいるだけで
そろそろ帰ろうと思っています。」
「そうですか。」
「高木先生はどうかしたのですか??」
「忘れ物をしてしまって。」
「そうですか。
わざわざ取りに来るなんて...
よほど大切なものなんですね。」
「まぁ...それなりに。」

ほら...隠してるようだけど
ばっちり見えちゃってますよ。

「フフフ。」
「...そういえば、藤池先生。」
「はい??」
「良さそうな子はいましたか??」
「高木先生が言うと、
なんだかやらしいですね。」
「はい!?」
「フフフ。そうですね...
岡野夢空、なかなか良いと思います。」
「...藤池先生が言った方がやらしいですよ。」
「そんなことないですよ。」
「...」
「えっ??」
「いえ、なんでも。
...それにしても少し意外でした。」
「なにがですか??」
「岡野夢空がです。
椎名由仁あたりに目をつけると思ってました。」
「...彼女も考えました。
でも、岡野夢空を...俺は彼女にします。」
「そうですか。
上手くいくと良いですね。」
「はい。」
「あまり優しくしすぎてもダメですよー
下心丸出しなのバレバレですからね。」
「ハハハ、そうですね。」

さて、どう動こうか。

気付いてよ...バカ -5-

GW最終日ですね!!
もう日付変わってしまいますが...

もう少し進められたら
良かったんですけど
と言うより、
その予定だったんですけど
申し訳ないです(><;)

もっとスムーズに出来るように
頑張っていくつもりです!!

どうか最後まで見てください!!!!!

気付いてよ...バカ -5-

  • 小説
  • 短編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-06

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