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回転木馬もゆめをみる
いつだったか、形をとらずに同じことだけを繰り返す僕らの関係を「メリーゴーランドのようだ」と君が言った。てっきり皮肉かと思ったものだから「じゃあ付き合おうか」と切り出したのに二言目には「嫌だ」とあっさり切り捨てられた。
「壊れますよ、と言われた乗り物に喜んで乗る奴はいないだろ」
初めての告白を断った理由を眈々と述べたあとで、宥めるように柔らかな唇が触れた。付き合うのが嫌なわけじゃないよ、でも恋人になるのは嫌なんだと言ったあいつの言葉の意味を分かることはなかったのに妙に納得したのを覚えている。このメリーゴーランドのような恋の終わりは、どちらかがブザーを押すまできっと来ない。
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