パンドラボックス

 僕のいる学校には色々な噂が流れてる。なかでも有名とされているのが一つ有るそうだ。「それはね、この学校にパンドラの箱があるんだとか。」信次がそういうと、外で雷が、そして雨が降り始めた。
 僕は少し気持ち悪くなり、恐る恐る聞いてみた「なあ、それってもしかして伝説とされてる開けたら最後は永遠的闇に引き込まれるって奴だろ。」信次はのんきな顔で再び話始めた「でさ、それがよくわからないんだけど、真夜中の0時頃に理科室で警備員が消えたって言うんだよ、悲鳴とともに。」僕は怖くなり、それでも弱みを見せずに「なんだそれしき、どうせただの噂にすぎねーよ!」と言ってしまった。もう自分でも意味が分からない。信次は目を輝かせた「よし、いっしょに今夜0時前に理科室集合でいいか?お前となら行けそうだ。」意味が分からない、信次は行きたがっているようだが、僕は行く気なんて全くない。
 いつの間にか授業も始まっていたが、俺は一人ソワソワしていた。バカのように。学校が終わると、信次は小さく僕によろしくと伝え、去っていった。夜飯も食い終わり、目覚まし時計を0時にセットした。こんな時間にセットする事があるなんて......
 「ピピピ」小さく鳴っている目覚まし時計を止め、ベットから飛び降り、そして、お母さんにばれずに家を出ていった。理科室は2階のグランド側に面していて、外からでも見えるようになっている。もう信次は先についていた、僕も背後に隠れ、0時ぴったにドアを開けた。 0時に鳴り響く時計の音、理科室にはいると中は霧で辺りが見えない。僕は信次と目で確認を取り、理科室内の机の上から床までを集中して探し回った。前とは違い、恐怖感よりもドキドキ感の方が強く感じられた。信次が突然「あっ!」と声をあげたので、僕はすぐにそばに駆けつけた。すると霧の中にうっすらと黒い箱が見えた。近くによって見ると、思ったのとは少し違い、輝きを見せていた。
 信次が僕に開けてみろといったので、僕は震えた手でボックスにてをあてた。恐る恐るふたを開けていくと、突然眩しい光が辺り一面に放たれた。あまりにも眩しかったので、僕は目を閉じた。段々ボックスに引き寄せられていく、もうだめだ。僕達は悲鳴とともにボックスに吸い込められた。ここにもう戻ってこれないのだろうか。
 目を開けると、そこは森の中だった。見たこともない、もしかしたら夢かと思い、森の中を走り回ったが、信次を見つける事もできない。森を走っていると、骸骨の模型のようなものにであった。おかしな事に、洋服をきている。しかも、信次の着ていた洋服によく似ている。
 果ての無さそうな空、意味の分からないこの人体模型。すると、何処からか声が聞こえてくる。「よく聞け、人間ども!そこにある骸骨は紛れもなくお前の友達だ。面白いだろう、お前もその姿にしてやるよ。」僕はあまりに許せなかった、いくら僕達がこの箱を開けたからって、そこまでする必要あるのかよ。「僕の友達を返せ、確かにあいつは人任せで人に嫌われやすい性格だ。でもな、これだけは教えてやるよ、友達がこんな状況の時に見過ごす奴がいるかってんだ」目から涙が出てきた。「笑わせてくれるじゃねーか、一つ教えてやるよ。こいつは俺を倒せば助かる。来い、待っててやろう。楽しくなりそうだ!」
 何の手掛かりもなく、僕は森の中を歩き回る。箱の中だというのに段々と日がくれはじめ、辺りはうっすらと暗くなる。仕方なく何か食べられそうな果物を探してみる。これだけのジャングルとなれば、リンゴの一つはあるだろう、そう思った。森の奥に入っていくと、奥の無さそうな洞窟を見つけた。ここで一晩寝られる、早速木の枝や果物を集め始めた。これで2日はもつだろうと思った僕は、再び洞窟に戻り、枝に火を付けた。
 灯りを便りに奥へ進んで見ることにした僕は、恐る恐る火を灯した枝の一つをしゃがみながら持ち上げた。一歩一歩進んで行くと、以外とあっさり行き止まりになってしまった。何にもないのかとがっかりし、入り口付近に歩き始めたその時の事だった。突然壁面に光のゲートが現れ、僕は勇気を出してその中へと入り込んだ。
 中は辺り一面光にかこまれており、目の前にはある真っ黒な石がおかれてあった。僕はその石に飲み込まれてしまいそうだった。すると、何処からか再び声が聞こえてきた、だが以前とは違い、その声は優しかった。
 「あなたは今、あなたの唯一の友達を助けなければいけません。それはあなたにとって、大変な冒険になると思います。一人では決して乗り越えられない壁がある。その時に、あなたには頼れる友が必要になると思います。」
 それをいい終えると、目の前にあった黒い石が段々と虹色へと変わり、そして、目の前にある少女が現れた。
 「私の名前は雪、これからあなたと一緒にあなたの友達を助けるために力になります。よろしく」
 僕はどうしても気に入らなかった。僕の友達は自分で助けなければ意味がないのに......「なあ、お前の友達じゃないのに、何で力を貸すんだよ」すると雪は振り返ることもせずに 
 「一人って寂しいし、それにあなたの友達を助けたいっていう目が教えてくれたから、かな」
 僕の目が、その意味がよくわからなかった。とにかく信次を助けるには、雪についていくしかないみたいだ。

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  • 掌編
更新日
登録日
2013-05-05