夢幻

うっすらとした意識
途絶える寸前のようなその意識は
水面に揺れる一輪の花のようにユラユラと揺れていた
あぁ・・・遥か彼方に光が見える
手を伸ばせば届くだろうか?
踏み出せばたどり着けるだろうか?
そんなことを考える思考さえも危うく揺れる
そしてゆっくりと落ちるまぶた
混沌へと意識は落ちていく・・・

意識が形を成したとき
自分の周囲に目を向けた
真っ暗な空間の中に淡い光がいくつも浮かんでいる
ある光は赤く燃え上がるような色
ある光は青くすんだ色
ある光は薄桃色の儚い色
多種多様な色の淡い光が漂うこの空間は何故か妙に懐かしく感じる

遠くで自分を呼ぶ声がする
長い間共に歩んできた友の声
答える代わりに歩み出す自分
その時いくつもの光の中に友の姿を見つけた
これは自分の記憶だ・・・。

目覚めるとすぐ近くに友の笑い顔がある
その顔を見ながら先程の事を思い出す。
あれは夢だったのか?
それとも幻だったのだろうか・・・?

夢幻

夢幻

非現実なのにどこか現実的で 不思議なのに何故か驚かない そんな夢幻の世界で自分は自分を振り返る

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-04

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