『鎮まらないキモチ』
貴方と出会って迎えた、初めてのクリスマス
場所を決めて、時間を決めて、携帯を握りしめて
あの人を待つ
昨日の夜は緊張して、あまり眠れなかった
仕事が忙しいのに、あの人は時間を作ってくれた
だから今日は、私が考えたプランであの人を喜ばせたい
約束の時間まで、あと10分
待ち合わせの駅前には、30分前に着いた
あの人はどんな服装かな
どんな髪型かな
想像するだけで時間は過ぎていく
約束の時間まで、あと5分
突然、携帯からメロディが流れる
急いで画面を見ると、待ち受け画面にはあの人の名前
初めて、あの人からの電話に出る
普段よりも近くから聞こえるあの人の声に
私の心臓は破裂しそうなぐらい動きを速める
電話が終わってから、しばらくドキドキしていた
心臓の上に手を当てて、落ち着かせる
そのときにまた、コール音
電話に出ると、声がだぶって聞こえた
振り返ると、そこには笑顔で手を振るあの人の姿
携帯を閉じてコートへしまったあの人が、私のもとへ来る
つないだ手から
貴方の熱が伝わってきた
――メリークリスマス
笑顔で告げられた後、私の薬指で
プラチナリングが輝いた
『鎮まらないキモチ』