人混みの中のひとりです。
大体の人間は地球にすんでいる。
地球は人混みの宝庫だと思う。
今日も私は、動く“ハコ”に揺られて、
人混みの一部になる。
雨、
目が覚めると、雨音。
今日も雨かと、ぼんやり。
やっと、春が来たのに、今年は雨が続き、
『春雨?』と、ふと、呟いてから、
とたんに、美味しそうな名前になったことが
少しおかしくて、笑ってしまった。
朝のまどろみは
ぼんやりと、考え事をすることが
大好物な私にとってはとても、大好きな時間。
なので、いつもはやめに目覚ましをかけて
出掛けるまで、少し長くぼんやり過ごす。
それと、最初に、雨の話をしたが、
別に雨が嫌いなわけではない。
むしろ、ぼんやりと過ごす時間に、
雨音は最高のBGM となるから好き。
でも、そんな幸せな時間は長く続かない。
なんせ、私はまだ、大学生だ。
怠けがちな私だけれど、授業は楽しい。
お金を払って受けているのだから、
なるべく休むことは避けたい。
ただ、億劫なのは、毎日の通勤ラッシュ。
人混みは、低身長の私には、酷な時間。
ため息をひとつ。
思い腰をあげた。
日課になってる節約のためのお弁当を
鞄にほおりこんで、三びきのいんこにあいさつしてから
家を出ると、パラパラの雨。
パラパラの雨を見ると、
傘をささずに、歩きたくなってしまうのは
何故なんだろうか?
なんて、考えながら、駅までの道を歩く。
駅まで15分。大学まで電車で一時間半。
本を読むのも大好きなのだけれど、
電車ではどうも酔ってしまう。
人混みも苦手なので、もうどうしようもない。
なので、いつも、大好きな音楽を
聴きながら、考え事、あるいは
外を眺めたり、人間観察をしたり。
人間観察?
そう、私は人間観察が好き。
人混みは嫌いだが、逆を言えば
人がたくさん集まるのだから
人間観察にはもってこいだ。
観察しつつ、その人について考えるのが好きなのだ。
青い集団
こんなにも、
お互いのことを全く知らない人たちが
一斉にひとつの動く“ハコ”のなかに、
入って、いつもより近い距離感で
一定の時間を共に過ごす、この不思議な感覚が
小さな頃から好きだった。
高校に入学し、電車通学になり、
通学ラッシュを経験した頃から
この不思議な時間を
有効に使う手はないかと考え始めた。
読書や携帯をいじるのは、
ひとりでも、電車ではなくても
出来ることなので、
なぜか電車内でそれをしてしまうのは、
もったいないことに思えた。
そこで、思い付いたのが“人間観察”だった。
これは、とても楽しい。
例えば今日も目に留まった人達ががいる。
私はいつも通りに、扉の横のポール(手すり?)に
しがみついて立っていた。
つり革は背の低い私としては
腕がみるみると疲れてしまい
気を抜くとバランスをすぐ崩してしまう。
まぁ、そんなことはさておき。
私の近くに座っている推定20歳ぐらいの
グループが電車に乗ったときから
気になってしかたがない。
全員男の人で、他人同士なのか、知り合いなのかは
いまいち、つかめない感じなのだが、
とっても目を引く。
だって彼らは青かったから。
全体的に青い。ひとりひとりが
部分的な青。
例えば右端の彼は真っ青のカーディガン。
その隣は、青のリュックを膝に抱えて。
次の彼は青いメッシュの髪に、渋い藍のズボン。
左端の彼は、青い繋ぎを着ている。
なぜ、こんなに青い人がそろってしまったのかと、
私はおかしくて堪らなかったのだが、
みなさんは、気にもならないようで
とてももったいないなぁと、ひとり。
ただ、またすごいのが、全員世に言う
“雰囲気イケメン”。
様になっていて、何かの撮影現場に
見えてしまうこと。
私服だから大学生なのかな?、とか
お友だちなのかな?とか、
わざとかな?
今日の通学時間はそのことばかり
考えていた。
大学生活
『なにぼーっとしてんの?』
『わ!いきなり声かけんといてよー、
おはよ、ゆーちゃん。ぶっ!!』
『何朝っぱらから人の顔見て吹き出してんのよ
ほんま失礼なやつやなぁ 』
だって、ゆーちゃん。
あなたの服装まで真っ青だったからつい。
ゆーちゃんは、大学の学籍番号が前後だったため
大学で、一番最初に話した人。
馬が会うので二年間変わらず、ずっと友達だ。
そして、ゆーちゃんは世間で言うべっぴんさんだ。
本人は否定しているが。
そんな人がなぜ、こんな私なんかと
一緒にいてくれるのかが不思議なぐらいで。
ただ、それと同時にかなりの変人でもある。
昔から私のまわりにはなぜか、変な人しか集まらない。
人混みの中のひとりです。