詩篇 6 支配の中で息吹く

詩篇 6 支配の中で息吹く


○言葉は駄目だ
 結局、言葉はそれぞれの箱から出ることができない
 形を手に入れたものは、その形に閉じ込められるだけである○  
 
少女はチェロを弾く。
弓を、弦を、心臓を、震わせる。
音はすべりながら、流れ落ちる。

それらは、僕の呼吸に染み込み、
僕の体の芯の方から一本の細い糸になる。
きゅっと絞られた糸をどこまでも引き伸ばして、そして手放す。
濡れたような、音。

 意識はなくとも、降りかかる声で、背中から湿っていく。

声よりも、声。
言葉よりも、言葉。
と言ってしまったら、それは声でも言葉でもないのかな。
 
○音○

だけどそれは、声よりも声で、言葉よりも言葉な、音。

それは壁にも椅子にも床にも、いたるところに沈み、脈打っている。
果たして消えていくのか、沈殿していくのか。

薄く色付いた酸素のようなそれは、
はたはたはた、と消えてくのかもしれないが、
それこそ、延々と、永遠と、
僕達の声よりも、言葉よりも、不確かで、しかし絶対的に確かであるのかもしれない。

詩篇 6 支配の中で息吹く

詩篇 6 支配の中で息吹く

いつも不思議な言葉という伝達。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-04-25

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