蒼の黎明

「お疲れ様でした。」

日曜の深夜の飲食店。
いつもは弊店までの作業が主であるが、今日は閉店を待たずに帰ることができる。
週末はいろいろと面倒な作業が待っている中、俺は帰る。

夕方6時からお客様の入りが爆発し、非常に忙しかった。
オーダーミスやら連携のミスなどもあり、忙しいのは覚悟していたが
余計なことでストレスが溜まり結局いつもどおり、クタクタである。

入社3年目、これでも一応学生時代は格闘技を嗜んではいた。
体力には自信があったはずなのに、そうもいかなかったのは精神面・ストレスか。

それはともかく今日の俺にはいつも以上に嬉しいのだ。
日曜深夜0時で帰れるのが嬉しいのもあるが、もうひとつ理由がある。

明日から2週間お休みをいただいたのだ。



「正直この休みのために、頑張ってきたよな・・・」


今日この日を迎えるために、どれだけ自分を酷使してきたのか。
人員が足りないために昼へ夜へ駆りだされ、もはや自分が店にいない日が
存在しないようなそんなシフトを毎日続けてきた。

そして店長との確執。
俺が教育してきたアルバイトを店長が嫌だからという理由で続々辞め
当の本人は特に反省もせず、いつもどおりのふてぶてしい態度で

「まぁ、しょうがないんじゃない」

正直、この・・・いやこいつには尊敬の念すらなくなった。
シフトが重なる日には幾度となく対立し、嫌悪感しかなくなっていた。
こいつの顔をしばらく見なくなるのも嬉しいの一言。


時たまに思うことは、何故俺は頑張るのだろうかと考えたことがある。
仕事を辞めるにしても、昨今の経済状況の中での再就職は難しい。
しかしその決断を実行に移す事なんて、考えもせず今を生きている。



続く

蒼の黎明

蒼の黎明

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-07-07

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted