病みの物語

境遇は、責められることはない。
今日も元気に入院中。
あ、吐しゃ物ですよ。

ここは大体許される

ここは大体許される
放り込まれた牢獄に無限に広がる世界
群がるカリギュラの愛とコンコルドの希望
何をしても異常でもなけりゃ当たり前でもない
概念はおろか常識すら居場所がない

僕はオセロが巧い
面白いゲームだ
いつも消火栓に頭ぶつけ続けてる婆さん
なかなかいい試合をする
勝ち負けは数えない
最後にペプシか烏龍茶を奢れば終わる

じり貧な徘徊者
虚ろな目はいつも何かを見てる
その先は僕には見えない
だから妄想ごっこが成り立ったりする
あの観葉植物の精霊はきっと与えてくれる
目に宿る生気を喰って今日も機嫌がいいのさ

語りたがる少女
付きまとうのはヤりたがってるから
薬の交換は魅力的な打算
傷の舐め合いとくだらない価値観
相槌だけの僕に言葉を虚飾して悦に入る
お気に入りの人形たちはいつだって無表情に嘲笑う

牙を剥くモラトリアム
孤高に立ち苛立っては獲物を探してる
攻撃的なのは嫌いじゃないさ
目が合ったときが打ち合いの合図
保安官が来るまではせいぜい殺し合おう
ちょうど僕もそういう気分なのさ

ここは大体許される
与えられた舞台に収縮を図るストーリー
群れるナイチンゲールの患者とゲーテの思想
何か冒せば変化もなけりゃ不変でもない
他人はおろか僕ですら居場所がない

病みの物語

おかしくはないしおかしくもなれない。
しっかり生きてます。

病みの物語

概要とかさ、ないよ、そんなものは。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-04-24

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted