スパイラル➕α

唯一の理解者

20年間、ずっと一人だった。

人並みに恋もしたけど、あと一歩のところで相手は逃げてしまう。

「どうせ俺とは遊びなんだろ?」

「心の中で俺の事をバカにして見てるんだろ?」

どんなに話しても信じてくれない。

“違う。バカになんかしてない。”

心の中で思って言おうとしても、相手にすらしてくれない。

言う前に、もう逃げられちゃう。

「お願い、私の話を聞いて?」

この一言が言えたら、どんなに楽だろう。

言ったところで、相手は真剣に聞いてくれるだろうか。

男の人だけじない。私に対する陰口を言う女子は少なくない。

「頭がいいから、絶対に私達の事をバカにしてるよね。」

「ってか私達の事を友達だと思ってないんじゃない?」

そんな事を誰もいなくなった教室で話していたのを、私は聞いてしまった。

いちいち否定するのが面倒で、知らないフリをした。

気にしていたら、やってられない。

その態度が気に入らなかったのか、いつの間にか事実として噂が広がっていった。

周囲からは嫉妬と警戒心の視線が向けられる毎日。

“表面上だけ仲良くする。”

そんなマニュアル本のような対応をしてくる。

“どうせ本心を言っても誰も信用してくれない。”

最初は感じていたけど、だんだん思う事すらなくなった。

というか、麻痺していった。

でも、人間不信にはならなかった。

そんな私の唯一の理解者がいたから。

あいつは気づいてないだろうな。

どれだけ私が救われたか。

いつか言えたらいいな。

“ありがとう”って。

スパイラル➕α

スパイラル➕α

勉強も出来て運動神経も抜群な主人公 四ノ宮 果奈。誰にも言えない悩みがあった。それは20年間彼氏がいないこと。 悩みとは反対に周囲の人間は信じてくれない。 そんな中、唯一の理解者が、、、、、

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-04-24

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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